今年のアカデミー賞、皆さんリアルタイムでご覧になりましたか?それとも字幕版やダイジェスト版をご覧になったのでしょうか?いずれにしても例年になく期待を超える結果が出て驚かせてくれました。生中継中のスタジオで大勢のスタッフやキャストの方々と見ていたのですが、やっぱりこうしたイベントは大勢で集まってみるに限ります!結果が発表される度にスタジオは「オー!」「えー!?」の大歓声。トリビュート関連も名作の映像をゾクゾクするような編集で見ることが出来、至福の時を味わえました。来年も是非こういう形で楽しめたらいいなと思いました!
そしてついに見ました「ラストキング・オブ・スコットランド」。番組見ている人には今さら説明の必要がないフォレスト・ウィテカー主演のドラマですね。描かれるのは1970年代、ウガンダで独裁政権を指揮したアミン大統領の姿。私が子供の頃は「食人大統領アミン」なんてドキュメンタリー映画があったものですから、個人的にも大変興味がありました。映画の語り部となるのは、スコットランドの青年医師ニコラス。彼の視点で映画は語られていくのですが、こいつがかなりいい加減な若者で、ゆきずりの現地人とすぐベッドインしたり、とっても過酷な派遣先で一生懸命仕事をしている医者の妻にも手を出しそうになります。因みに医者の妻は「Xファイル」のジリアン・アンダーソン。ふとしたことからアミン大統領とニコラスは近しい関係になるのですが、こんないい加減な奴なので、アミンの第2夫人にも手を出してしまいます。結果、どうなるかは映画を見てもらいたいのですが、三池崇史監督の映画のような強烈な拷問シーンが待っています。でも何といっても見どころはフォレスト・ウィテカーのなりきり演技。歴史上、最悪の暴君の一人をあまりにもリアルに演じきって、緊張しっぱなしです。こちらは10日から公開なので、是非ともお見逃しのないよう!
あと昨年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた「パラダイス・ナウ」という映画も見ました。これはパレスチナの青年兄弟が自爆テロに至るまでを描いた作品で、昨年のオスカー時期には賞を受賞させないよう運動も巻き起こったようです。お金のかかったハリウッド大作のようなテイストはありませんが、本当に危険な地域で撮影をしており、その緊迫感はただ事ではありません。面白いのはこの作品がパレスチナ人の監督とイスラエル人のプロデューサーで作られたことです。実社会では衝突している民族が映画製作では手を取り合っている。アカデミー協会はパレスチナを国家とは認めていないのですが、この作品はフランス、ドイツ、オランダとの合作になっていたので、昨年ノミネートを受けることができたようです。こちらも公開は10日からです。必見ですよ!(飯塚克味)