#19 模倣犯(クリミナル・マインド11)

2017/01/18

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■シリアル・キラーを模倣するシリアル・キラー
インターポールのプレンティスから捜査協力の依頼が入る。2年前から追っている、模倣連続殺人犯が、アメリカに渡ったというのだ。犯人はこれまでに、ロシアでチカチーロの最初の犯行を模倣して10歳の少女を殺害、次にイギリスで切り裂きジャックを模倣して3人を殺害していた。インターポールは、スコットランドヤードと協力して囮捜査を敢行するも、あと一歩のところで犯人を取り逃がしたうえ、囮役の女性刑事も殺害されてしまった。その捜査を指揮していたプレンティスは、刑事の死に責任を感じ、以来、悪夢にうなされる日々を送っていた。その犯人が今度はアメリカのボストンで、ボストンの絞殺魔を、さらにニューヨークでサムの息子を模倣して犯行を行ったのだ。


■模倣からの逸脱
プレンティスとBAUはニューヨークで落ち合って捜査に向かう。サムの息子の模倣で殺された被害者は、26歳のバーテンダーのカミール・ハリソン。車に乗っていたところを、頭を一発撃たれていた。しかしサムの息子は、最初の事件で女性2人を撃っており、BAUは車にはもう1人同乗者がいたと考えた。やがて現場付近で足を撃たれた女性が病院に収容されていることが判明する。彼女はエスコート嬢をしていたことが発覚するのを畏れ、強盗にやられたと主張していたが、プレンティスの気迫に証言をはじめ、犯人が白人のアメリカ人であることが判明する。さらにサムの息子の模倣は続き、今度は、企業弁護士と広告代理店の役員のクライン夫妻が殺害された。犯行に使われたのはサムの息子同様の44口径だが、元の犯行とは異なり、過剰殺傷なうえに男性の被害者の口には高級腕時計が押し込まれていた。犯人はシリアル・キラーを模倣するうちに、暴走し、自分の欲求に目覚めはじめたのだ。これまで犯行が世界を股にかけていることから、犯人は外交官などの裕福な特権階級と見ていたが、このことから分析を修正する。

■プロファイル
BAUは犯人を「ナルシストの殺人者。模倣は通常、自己評価の低さから他者を真似るのだが、この犯人は自身に溢れている。世界を股にかけて、活動しているが、活動時期は3月から9月で、残りの期間は仕事につき、活動のための資金稼ぎをしていると思われる。被害者かその家族、あるいは加害者の家族として事件に接したことがあり、犯人の意識下にはシリアルキラーへの憧れが植えつけられている」と分析する。リードは犯人の移動の可能範囲と連続殺人分布図を重ね合わせ、犯人が次はシカゴに行くと予想をたてる。その予想を裏付けるように、シカゴのバス発着所の防犯カメラが犯人の姿を捉えた。ガルシアはその画像から身元を割り出そうと照合をはじめるが、データが膨大すぎてなかなか進まない。BAUは、犯人は快楽を得るために犯行を冒しているのに、休止期間があることに着目。仕事は季節限定なだけではなく、稼ぎがよく、かつアドレナリンが出るような危険なものだと分析。さらにプレンティスが犯人はフィッシャーマンズ・ナイフを手にしていたことを思い出したことから、一気に範囲が狭まり、ベーリング海で操業するカニ漁船の作業員マイケル・リー・ピーターソンの名前が浮上する。

■最後の模倣
ピーターソンはイリノイ州ジュリエットの出身で、父親は元強盗犯。2年前に死亡しており、その死が引き金と思われた。父親が服役していた刑務所には、シリアル・キラーのリチャード・スペックとジョン・ゲイシーが収監されており、刑務所に面会に行ったピーターソンは幼心に刑務所のヒエラルキーを学習し、シリアル・キラーに憧れたのだ。故郷に帰った彼が模倣するのは、スペックかゲイシー。スリルを求めるのだとすれば看護寮を襲ったスペックだ。BAUがシカゴの学校や学生寮に警告を流したところ、ノースイースト大学の学生メーガンから犯人を見たとの通報が入るが、電話は途中で切れてしまった。捜査陣はノースイースト大学の女子寮に急行、捜査陣が突入すると、追い詰められたビーターソンは、メーガンを人質にとる。しかしプレンティスが彼の自尊心を巧みにくすぐり、隙きをついて射殺。突入前に1人が殺害されたものの、メーガンを救出することに成功する。

【格言】
「独創性とは、賢い模倣に他ならない」フランスの哲学者で作家、ヴォルテール(1694年11月21日-1778年5月30日)の言葉。
「闇の中を友と歩むのは、光の中を1人で歩むより、いいものだ」ヘレン・ケラー(1880年6月27日-1968年6月1日)の言葉。ヘレン・ケラーと言えば努力の人で、太陽をまっすぐ見つめるようなポジティブ発言が多いのですが、こんな名言も残しているんですね。

【プレンティス】
モーガンが去って寂しくてしょうがないBAUに、懐かしいプレンティスが登場。プレンティス捜査官は、シーズン2でチームに入り。身を隠すために死を偽装して一旦BAUを離れる(S6#18「もう一人のプレンティス」)が、その後、復帰。しかし一度死を偽装したことで複雑な心境を抱え、「みんな大好き、だけど、元の生活には戻れなかったの。何もなかったことにはできなかった」と語り、インターポールへ出向を決めた。BAUとは公私共に連絡を取り続けており、情報提供のみならず、JJの危機にはロンドンからかけつけている。まだ先の話だが、BAUに復帰するとの噂も......。

【ブルドックの44口径】
サムの息子が犯行に使用した銃のこと。チャーターアームズ社のブルドックと呼ばれる銃で、1973年に発売された。小型で5連発のリボルバー。安価であることからベストセラーとなり、警察でも使用されていた。リボルバーなので薬莢は自動では排出されない。

■模倣されたシリアルキラーをはじめ、捜査上で名前のあがった殺人鬼や事件をざっと紹介しておこう。
【チカチーロ】
本名アンドレイ・チカチーロ(1936年10月16日-1994年2月14日)、別名ロシアの食屍鬼、ロストフの殺し屋。ウクライナ生まれのシリアルキラー。1978年12月22日に、ロストフ近郊で9歳の少女を強姦しようとしたが、生まれつき性的不能であったため、少女の性器をめった刺しにして殺害する。当初は娼婦や子供を標的に選んだが、犯行がエスカレートし、男女年齢を問わず誘拐するようになった。それだけではなく、抵抗されることで性的興奮を覚えると、被害者の両目を抉り、遺体を切断し、その一部を食べたり持ち去るようになった。被害者の性別・年齢、犯行地域に一貫性がないために組織的な捜査が遅れたが、1985年のモスクワ郊外での犯行を機に、KGBが捜査に乗り出し、大規模なおとり捜査やパトロール体制がとられる。そんななか、1990年11月6日に返り血を浴びて歩いていたチカチーロが見とがめられ、捜査により、出張履歴が殺人と合致していることが判明。1990年11月20日に逮捕される。逮捕後、チカチーロは精神疾患による無罪を狙って56件の犯行を自供。裁判でも奇矯な振る舞いを続けたが、1992年10月14日、52件の殺人罪で有罪となり、1994年2月14日銃殺刑に処された。

【切り裂きジャック】
未解決。1888年8月31日から11月9日にロンドンのイーストエンドやホワイトチャペルで連続発生した猟奇殺人事件で、少なくとも売春婦5人を殺害した。メスのような鋭利な刃物で喉を掻き切った後に、臓器を摘出していることから、犯人は医師か精肉業者という分析もある。最初の犯行はホワイトチャペルの路地での42歳の娼婦メアリー・アン・ニコルズの殺害で、頸部、腹部、陰部が切られ、内臓が露出していた。新聞社に犯行声明を送り、ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)と署名しており、劇場型犯罪の元祖と言われている。

【ボストンの絞殺魔】
マサチューセッツ州ボストンで1962年から1964年にかけて起きた連続殺人事件。19歳から75歳からまで、計13人の女性が性的な暴行を受けた上で殺害された。最初の犯行は1962年6月14日。55歳の女性アンナ・スレッサーズが自宅で殺害された。1964年、300件の連続婦女暴行事件「グリーンマン事件」で逮捕されたアルバート・デザルボが、自分がボストンの絞殺魔であると告白。犯人しか知り得ない情報を多々口にするが、しかし物的証拠がないことから、グリーンマン事件でのみ裁かれ、終身刑となる。1973年11月26日に収監先のマサチューセッツ刑務所で、刺殺体で発見される。厳重な監視体制にある刑務所内で起きた事件だが容疑者を特定できておらず、ボストンの絞殺魔事件に関しても、冤罪説、複数犯行説などがあがっている。

【サムの息子】
デヴィッド・リチャード・バーコウィッツ(1953年6月1日 - )、別名サムの息子。ニューヨーク・ブルックリン区の出身で、リチャード・デヴィッド・ファルコと名付けられたが、誕生してすぐに養子に出されて、改名されている。子供の頃から、窃盗・放火癖があった。1974年に陸軍を除隊し、郵便配達夫となる。1976年から1977年にかけて、ニューヨークで13人を銃撃、6人を殺害し8人に重軽傷を負わせた。最初の事件は1976年7月29日。ブロンクスで18歳のドナ・ローリアが車から降りようとしたところを首を撃たれては死亡、ジョディ・バレンティは太腿を撃たれたが、クラクションが鳴ったために犯人が逃走して助かった。その後、バーコウィッツはクイーンズ地区で毎月のように犯行を重ね、逮捕までに6人を殺害し、8人に重軽傷を負わせた。犯人にマスコミがつけた名前は「44口径キラー」だが、その後、犯行現場に捜査陣宛の手紙を残し、そこに「サムの息子」と署名したことから、その名前で呼ばれるようになる。1977年8月10日、ニューヨーク市に隣接するヨンカーズで逮捕され、その後、殺人とともに2000件の放火を自供。終身刑で現在も服役している。

【シカゴの殺人鬼たち】
◎H・H・ホームズ(本名ハーマン・ウェブスター・マジェット)は、シカゴの自ら経営するホテルに秘密の通路や、ガス室や拷問室などの設備を設け、宿泊客をはじめ従業員など多くの人々を殺害した事業家。27人の殺害を告白しているが、被害者は200人にのぼるという説もある。
◎ウィリアム・ハイレンズは別名「リップスティックキラー」。1945年に連続して3人を殺害。殺人現場の壁に、真っ赤な口紅で「これ以上殺す前に頼むから僕を捕まえてくれ!自分をコントロール 出来ない」と記したことからこう呼ばれている。
◎カポネの血のバレンタインは、1929年2月14日に起きた事件で、聖バレンタインデーの悲劇とも呼ばれる。アルカポネ率いるサウスサイド・ギャングが、抗争相手であるノースサイド・ギャングの構成員を殺害、一般人3人を含む計7人が殺害された。
◎リチャード・スペックは、1966年7月12日、シカゴの看護学生寮に侵入、9人を拘束。ベッドの下に隠れて難を逃れた1人を除き、8人を殺害した。さらに別れた妻に似ているという理由からうち一人に対してはひどい性的暴行を行った上で絞殺している。
◎ジョン・ウェイン・ゲイシーは、キラー・クラウン(殺人道化、殺人ピエロ)の異名を持つ。犯行は1972年1月から1978年にかけてで、少年を誘って強姦した後に殺害するなど、犠牲者は33名を数えた。





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ライター:三村美衣(みむらみい)
書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。

コメント(4)

モーガンがいなくなった次の回にエミリー登場でモーガンロスは少し回避できたものの、来週が心配。それにしても「ああ、やっぱりエミリー大好き♪」と再確認したエピソードでした。

エミリーにあんたは駄目と言われてしょげたリードがかわいい
それにしてもOPテーマの集合シーンの淋しいこと言ったらもう

流石の「女モーガン」ぶり全開(笑)★☆プレンティス&モーガンが共にBAUで活躍していた時代を懐かしく感じさせる、良い回でしたね★ロッシ、ホッチ、モーガン、リード、プレンティス、JJ、ガルシアの7人体制BAUがこれまでドラマ内で1番長い(多い)面子パターンだった事もあり、一際感慨深く嬉しかったです!!

前回で、モーガンが居なくなり寂しいと思っていたのでエミリーに会えて嬉しかったです(*^^*)
事件は…犯罪者だった父親をなくした模倣犯。模倣して名を残そうなんてバカげてる。

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