2018/01/18 up

「帝一」が本当にいるとしか思えない! 菅田将暉の絶大な説得力

「帝一の國」2/24(土)よる8:00
「帝一の國」©2017 フジテレビジョン 集英社 東宝 ©古屋兎丸/集英社

2017年は菅田将暉の年だった。5本の映画に出演し(4本は主演)、大河ドラマ『おんな城主 直虎』では徳川家康に仕え、歌手デビューまで果たした。総理大臣を目指す高校生を熱演し、興収19.2億円のヒットとなった『帝一の國』などが評価されて第42回報知映画賞主演男優賞にも輝いている。

実は2016年だって菅田将暉の年だった。公開された映画はなんと9本。TVドラマのレギュラーは2本。加えてCMやバラエティ番組と顔を見ない日はなく、あまりの売れっ子ぶりに健康は大丈夫かと余計な心配までしてしまう。

しかも、これだけ露出しているにもかかわらず、菅田将暉にマルチタレントという冠は似合わない。掛け値なしの"役者"、それも"映画俳優"という印象は揺らがないのだ。元・仮面ライダーという前歴を背負って活躍している俳優は大勢いるが、スター性と演技力がハイレベルで拮抗しているという点で逸材といえる。

菅田が若手役者として注目を集めたのは、第37回日本アカデミー賞 新人俳優賞に選ばれた2013年製作の『共喰い』。暴力的な性衝動を父親から受け継いだ高校生のやるせなさを見事に演じ、翌2014年公開の『そこのみにて光輝く』では田舎で鬱屈を積もらせた若者像を体現。2014年度全国映連賞の男優賞など演技賞を総なめにした。

しかし菅田の底知れなさを思い知らされたのは、むしろ少女マンガ原作の『海月姫』('14)だったかもしれない。演じたのは女装を好む美少年の蔵之介。一見して女性と見まごう美しさ――という時点で、普通ならマンガやアニメでしか成立しないキャラだろう。ところが菅田はこの役のために10kgの減量に臨み、メイクのりのいい端正な顔立ちだけでなく、スタイルそのものから"美女"になり切ってみせたのだ。

この"コミック映え"とでも呼ぶべき菅田の"3次元化"の能力は、肉体改造をしたというだけでは説明がつかない。2次元にデフォルメされているコミックのキャラクターに、表情や体の動きで生命を吹き込み、絶妙なセンスでファンタジーとリアルの中間地点をつかみ取る。そんな才能は2部作合計で60億円超を稼ぎ出した『映画 暗殺教室』('15)&『暗殺教室 卒業編』('16)の赤羽業役でも生かされていたが、もはや名人達人のレベルに達していたのが『帝一の國』で演じた赤場帝一ではなかったか。

異常なまでの権力欲を持ち権謀術数にたけているが、同時に一本気でピュアな帝一に菅田は愛嬌までもたらしてみせた。すばらしいのはマックスから地べたまでテンションが急降下と急上昇を繰り返す帝一という過剰なキャラを、身体能力の高さでもって完璧に表現してみせたことだ。バーチャル入試バトルとも呼ぶべきライバル相手の答案対決で、一喜一憂するおかしさ(点数を発表する父親役・吉田鋼太郎とのコンビも最高!)。宿敵・菊馬とのタイマン喧嘩で見せる、弱いけれど意志の強さだけは感じさせる独特の動き。せりふ回しもさることながら、動きのひとつ一つが帝一そのもの。菅田将暉はまさに"全身全霊で帝一"だったのだ。

小松菜奈の顔にツバを吐きかける『溺れるナイフ』('16)のコウ役から、『何者』('16)の等身大の若者、光太郎役まで、さまざまな役を演じ分ける菅田が若手随一の"カメレオン俳優"であることは疑う余地がない。が、彼が名優である理由は、どんな役にでも成り切るからではない。主演だろうが助演だろうが、どんな役でも「こんなキャラクター、現実にもいるかも」と思わせてしまう絶大な説得力。これを、数多い出演作を見て浴びるように感じていただきたい。

[ピックアップ映画]

『陽だまりの彼女』
WOWOWプライム 1月24日(水)午前10:30

『映画 暗殺教室』
WOWOWプライム 1月29日(月)午後5:45

『暗殺教室 卒業編』
WOWOWプライム 1月29日(月)よる7:45 ほか

『何者』
WOWOWシネマ 1月30日(火)午後5:00

『溺れるナイフ』
WOWOWシネマ 1月31日(水)午後5:00

『二重生活(2016)』
WOWOWシネマ 2月15日(木)深夜2:45

『帝一の國』
WOWOWシネマ 2月24日(土)よる8:00 ほか

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