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「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」9/20(木)よる11:00ほか

英国男優総選挙2018

 サーカスなどにおいて「滑稽な格好で観客を笑わせる」という役割を担っているピエロ。この"ピエロ"="道化役者"の存在は、古代エジプトまで遡ることができるほど、長い歴史と変遷を持っている。中世のヨーロッパでは、王家のお抱えとなるような<宮廷道化師>が、歌や踊り、奇術などの芸で支配者層の人々を楽しませていたと伝えられている。この<宮廷道化師>の特徴は、絶対的君主であった王に対して、何でも言えるという唯一無二にして特異な存在であったという点。厳しい階級社会の中で、下層の人間は権力を持つ人間に対して何も言えない時代。<宮廷道化師>は、常に戯け、馬鹿を装っているからこそ"笑い"によってのみ、政治や権力に対してからかうことが許された存在だったのだ。

 イギリスで1969年に放送の始まった「空飛ぶモンティ・パイソン」は、シュールな風刺コメディで今なお人気の高いTV番組。<スケッチ>と呼ばれるコントでは、宗教や人種、政治家や芸術家、さらには共産主義者やナチスなど、扱えるものであればどんなものでも笑いのネタにしていた。そんな<スケッチ>の中でも、不敬なまでにネタの対象とされていたのがイギリス王室だった。このタブーとも思える事象を笑いのネタにできるのは、イギリスが階級社会の歴史を持ち、<宮廷道化師>の精神というものが庶民の中に今なお脈々と宿っているからでもある。もちろん歴史の流れの中で、どんなに批判があろうとも王室が存在し続けてきたこととも無縁ではない。

 思い返せばイギリスは、<喜劇王>と呼ばれ、笑いで世界を席巻したチャールズ・チャップリンが誕生した国でもある。イギリス人の持つ独特のユーモア精神は、例えば、ダニー・ボイル監督が演出を担当した2012年の夏季ロンドンオリンピックの開会式でも実践されていた。ジェームズ・ボンドに扮したダニエル・クレイグが、エリザベス女王をエスコート。バッキンガム宮殿からヘリコプターに搭乗し、ボンドと女王がパラシュートで降下する(※実際に降下したのはともにスタントマン)という予想外の演出には、世界中が驚いたことで記憶に新しい。

 映画は王室をからかうが、王室もまたそれを利用するという相互関係があるのだ。そして、「空飛ぶモンティ・パイソン」を制作していた放送局がBBCであったというのも重要なポイント。BBC(英国放送協会)は、日本のNHKにあたるような公共放送であることを考慮すれば、その公平性と自由度の高さをうかがい知ることができるだろう。イギリスでは、政治的権力とお笑いの立場が同等なのである。

 一方、民間放送局ITVで1990年から'95年まで放送され、日本でも人気を博したのが、ローワン・アトキンソン主演のコメディTVシリーズ「Mr.ビーン」。このシリーズでも、王室は常にブラックジョークの対象となっていた。注目したいのは、ローワン・アトキンソンと共に脚本家として参加していた人物である。その一人、リチャード・カーティスは『フォー・ウェディング』(94)で映画の脚本を担当。それまで日本では"英国美青年俳優"という印象の強かったヒュー・グラントに対して、一躍ロマンティック・コメディのイメージを定着させたという功績がある。2人は『ノッティングヒルの恋人』(99)や『ラブ・アクチュアリー』(03)でも組んでいるが、ハリウッド製のロマンティック・コメディとひと味違うのは、悲喜こもごもな人生の機微を感じさせるという作風にある。タイムトラベルを題材にしながら、人生のあり方をも考えさせられる監督作『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(13)は、その好例といえるだろう。

 近年ではエドガー・ライト監督が、ゾンビ映画を考察した『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)で同様の作風を垣間みせている。"ゾンビもの"という<ジャンル映画>に対するパロディとして始まる本作は、恐怖を味わうはずのゾンビ映画で「笑える」という点がポイント。"ゾンビもの"のルールを知っているからこそ理解できるという批評性あふれる展開は、世界中に熱狂的なファンを生んだ。しかし終盤、物語はシリアスな一面を見せはじめ、人生の機微を感じさせるような難易度の高い着地をしてみせていることがうかがえる。その後もエドガー・ライトは、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(07)で"刑事もの"を、『ベイビー・ドライバー』(17)で"ケイパー(強盗)もの"を変容させていたように、ハリウッドの<ジャンル映画>に対する批評性を持たせた作品を世に送り出し続けている。

 さらに、イギリスのコメディ映画を手掛ける映画人には、ある共通点を見出せる。例えば、ローワン・アトキンソンやリチャード・カーティス、ヒュー・グラントやモンティ・パイソンのメンバーであるマイケル・ペイリンやテリー・ジョーンズは、オックスフォード大学の出身。そして、モンティ・パイソンのグレアム・チャップマンやジョン・クリーズ、エリック・アイドルは、ケンブリッジ大学の出身。みな高学歴という共通点があるのだ。つまり、英国流コメディは単なる"おバカ"な作品ではないのである。教養に裏打ちされた"おバカ"な笑いであるからこそ、世相批判を含有させながら社会的な影響も持っている。そういう姿勢によって"笑い"というものを武器にしながら、権力に屈しない<言論の自由>をも勝ち取ってきたのだ。時代と寄り添いながら権力を笑い飛ばすからこそ、時代が変わっても英国流コメディの魅力は枯れることがないのである。

文=松崎健夫

◆あなたにとっての英国No.1コメディ俳優は誰?

SCREEN×シネフィルWOWOW主催の、英国男優人気ナンバーワンを決める〈英国男優総選挙〉。昨年は、コリン・ファースが総合1位を、ベネディクト・カンバーバッチが総合2位を受賞した。『モネ・ゲーム』などでファースが、ドラマ「SHERLOCK シャーロック」などでカンバーバッチがみせるように、彼らのコミカルな一面も大きな魅力だ。
今年開催となる〈英国男優総選挙2018〉では、現在投票を受け付け中。締切の9月24日までに応募すると、抽選で豪華商品がプレゼント! ブリティッシュヒルズ宿泊券が2組4名に当たるほか、Amazonギフト券 3000円分が20名に、「刑事モース~オックスフォード事件簿~」オリジナルクオカード 500円分が50名にそれぞれ贈られる。また、〈英国男優総選挙2018〉の結果発表号となるSCREEN12月号が5名にプレゼントされる予定。


英国男優総選挙2018

[放送情報]

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
WOWOWシネマ 9/20(木)よる11:00ほか

ベイビー・ドライバー
WOWOWライブ 9/9(日)午後5:30ほか

英国男優総選挙2018

英国男優総選挙2018

 英国俳優たちの世界的活躍は今に始まったことではないが、彼らの多くに共通している魅力は、舞台などで鍛え上げられた多彩な演技力や、アメリカ俳優とはどこか一味違う屈折感や、そこはかとないノーブル(高貴)な雰囲気。そしてもう一つ意外な共通点がある。それは探偵や刑事、スパイに扮した代表作を持っていることだ。

 世界的に有名な探偵キャラといえば、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロ。彼らはともに英国の作家が作り上げた探偵で(厳密にいえばポワロはベルギー人でイギリスには移住したという設定)、その映画化作品では当然のごとく英国俳優が躍動してきた。シャーロック・ホームズ役はこれまで多数の俳優が演じてきたが、近年、何といっても印象深いのは、TVシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチだ。世間から浮いたクセ者的なキャラが、カンバーバッチ本人の個性と絶妙にマッチ。彼の人気を決定づける役となった。さらに相棒ワトソンを演じたマーティン・フリーマンに、この作品で虜になった人も多い。

 映画『シャーロック・ホームズ』ではホームズ役をアメリカ人のロバート・ダウニー・ジュニアが演じ、ワトソン役は英国出身のジュード・ロウが妙演している一方で、エルキュール・ポワロ役にはアルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフ、ケネス・ブラナーといった歴代の英国の名優たちがチャレンジ。TVシリーズ『名探偵ポワロ』のデヴィッド・スーシェは24年にもわたって演じ続け、生涯の当たり役にもなっている。基本的に原作でポワロが活躍するのは中年期以降なので若手俳優が起用されることはないが、どこか屈折も抱え、シニカルな視点も持ち味のこの探偵は、英国の機知を熟知した俳優にうってつけなのである。

 探偵と同じ"捜査"が仕事ながら、ひそかな諜報活動や肉体能力も要求される"スパイ"という役では、何と言っても『007』の伝統がある。これまで主人公のジェームズ・ボンドを演じてきたショーン・コネリーをはじめとする俳優6人のうち5人が、アイルランドとスコットランドも含めた「英国圏」出身者だ。現在のボンドを演じるダニエル・クレイグも、この役がなければここまで世界的にブレイクしなかったかもしれない。『007』ではQ役のベン・ウィショーのように、ボンドのサポート役で個性を発揮する英国俳優にも注目が集まる。

 スパイ役がスターへの登竜門になった俳優といえば、『キングスマン』のタロン・エガートンが最近の好例。諜報機関の新人エグジーとして苦闘する姿が、俳優としてのブレイク&成長と重なった。同作は、コリン・ファースやマーク・ストロングらベテラン陣の再ブレイクにもなったうえに、かつて映画『国際諜報局』でハリー・パーマーという"サラリーマン"スパイ役でスター街道が開けたマイケル・ケインも出演し、英国スパイ映画の集大成の趣も感じさせる。

 前述のベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングに加え、ゲイリー・オールドマン、トム・ハーディらが共演した『裏切りのサーカス』のようなシリアス系スパイものも数多く、探偵&スパイ映画と、確かな演技力を身につけた英国俳優の相性は非常に良好だ。トム・ハーディの知名度を一気に高めたのは『インセプション』での産業スパイ役だった。

 ゲイリー・オールドマンは『レオン』の悪徳刑事役でスターの座を確立した。刑事役で言うと、英国俳優イドリス・エルバがTVシリーズ『刑事ジョン・ルーサー』で演じるロンドン警察の警部役が大評判。その流れを継いで次なる特大ブレイクを狙うのが、『刑事モース~オックスフォードの事件簿~』のショーン・エヴァンスだ。彼がその若き日を演じる本作は、英国では「好きな探偵」の投票で第1位になるなど、シャーロック・ホームズと並ぶ人気を誇っている。原作では中年の警部として描かれ、過去にTVドラマ化されているが、エヴァンスが扮するのはモースの新米刑事時代。犯罪の捜査では類いまれな才能を発揮するが、私生活では人付き合いが苦手であるなど、そのギャップに"萌え"させるのは、ホームズや『007』のQらと通じるものがある。英国探偵&スパイの魅力が存分に詰まったモース役で、ショーン・エヴァンスがどこまで人気を伸ばすのか。その動向に注目したい。

 文=斉藤博昭

◆ベネディクトも入賞の英国男優総選挙

SCREEN×シネフィルWOWOW主催の、英国男優人気ナンバーワンを決める〈英国男優総選挙2017〉では、コリン・ファースに続いてベネディクトが昨年度の2位を受賞。「こころに響く声」「眼力・眼差し」「表情・表現力」など、5部門中4部門で上位入賞し、その魅力が改めて明らかになった。
今年開催となる〈英国男優総選挙2018〉では、現在投票を受け付け中。締切の9月24日までに応募すると、抽選で豪華商品がプレゼント! ブリティッシュヒルズ宿泊券が2組4名に当たるほか、Amazonギフト券 3000円分が20名に、「刑事モース~オックスフォード事件簿~」オリジナルクオカード 500円分が50名にそれぞれ贈られる。また、〈英国男優総選挙2018〉の結果発表号となるSCREEN12月号が5名にプレゼントされる予定。
こちらの特設ページから、お気に入りの英国男優にぜひ熱い一票を!


英国男優総選挙2018

英国男優総選挙2018

「銀魂」 5/26(土)よる8:00ほか 

 WOWOWで5月、一挙放送されるシリーズの強烈キャラの主人公をピックアップし、作品の魅力をお伝えする、題して【伝説の男】コラム。今回紹介するのは『銀魂』の主人公・坂田銀時。

 コミック原作のヒーローは数多く登場したが、『銀魂』の主人公・坂田銀時もそのひとり。通称・銀さんこと銀時は天然パーマの銀髪に、いつも眠そうな無気力な顔。糖尿病一歩手前になるほどの甘党でパフェが大好き。ふだんはぐうたらなダメ男だが、実は15年前、地球に襲来した宇宙人と戦った攘夷戦争の英雄で、勇猛な戦いぶりから"白夜叉"と恐れられた伝説の志士。その胸の奥には今も熱い炎が燃えていて、いざとなれば仲間たちを守るために命を懸けて戦う。つまり、シリアスなエピソードとギャグを絶妙にブレンドした『銀魂』の作品世界そのものを象徴する人物だ。

 空知英秋原作の人気コミック『銀魂』は、2006年のアニメ放送開始から中断を挟んで4期のTVシリーズ、2本のアニメ映画、さらに実写版の映画が作られるほどファンを獲得したが、その最大の理由は、こうした普段のぐうたらな姿からは想像もつかない"やる時はやる男"銀時のカッコよさにあると言えるだろう。では、どこがどうカッコよいのか、3本の映画で銀時の名バトルに迫ってみた。

 まずはアニメ映画『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』('10)。銀時は、人工知能を持ち人間に寄生して進化する妖刀・紅桜の遣い手・人斬り似蔵と対決。最初は愛用の木刀・洞爺湖を折られ瀕死の重傷を負うが、2度目の戦いでは、紅桜と同化して生きた刀の怪物となった似蔵と互角以上に渡り合う。かつての志士の戦いの記憶が無意識のうちに甦り、紅桜の進化するスピードに負けないパワーを発揮したのだ。ムダのない究極の剣を目指して作られた紅桜を破壊し、「世の中にムダな物なんてない!」という銀時の想いの強さにシビれること請け合いだ。

detail_180418_photo02.jpg©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

 もう1本のアニメ映画『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』('13)は、5年後の未来に飛ばされた銀時が攘夷戦争で倒したはずの強敵・魘魅と再戦。動きを見切ってしまう魘魅に追い詰められ、絶体絶命の銀時は死んだふりで油断させて倒すが、相手の正体は何と驚くべき人物だった! クライマックスで攘夷戦争の時代に戻った銀時が、仲間たちと共に魘魅の軍団に立ち向かう姿は感動必至だ。

detail_180418_photo03.jpg©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

 そして紅桜による辻斬り事件が大事件へと発展する実写映画『銀魂』('17)は、銀時役の小栗旬をはじめ豪華キャストがコミックのキャラクターそっくりの扮装とメイクで登場し、名シーン&名ゼリフを見事に再現している点が見どころ。紅桜が触手を伸ばして銀時を危機に陥れる場面や、完全体となった怪物紅桜とのバトルなどの見せ場もVFXを駆使して実写化されているが、銀時が新井浩文演じる似蔵の必殺の一撃を間一髪でかわし、急所を外して紅桜を受け止める殺陣など、生身の俳優が演じていることで迫力や臨場感がアップしている。

detail_180418_photo04.jpg©空知英秋/集英社 ©2017映画「銀魂」製作委員会.

 中でも注目なのは、攘夷戦争を共に戦ったかつての盟友・高杉晋助(演じるのは堂本剛)との一騎打ちだ。この2人も実力は互角で決着はなかなかつかないのだが、最初の刀での立ち会いでは銀時が高杉の刀の上に飛び乗るという、アニメ版にはなかった驚くようなアクションが登場。続いて、これも実写版ならではの演出で、2人がボクシングやプロレス技で格闘を繰り広げる肉弾戦が描かれる。以前は同じ目的で戦った同志だったにも関わらず、今は世界を滅ぼそうとする高杉と、その世界とそこに生きる仲間たちを守るために戦う銀時の生き方が全力でぶつかり合う姿は、まさに手に汗握るベスト・バウトだ。

 こうしたアニメでも実写でも同じように見る者の心を捉える、おとこ気あふれるカッコよさが銀時の、そして『銀魂』という作品の面白さを支えているのである。

文=中島紳介

[放送情報]

「銀魂」実写×劇場版アニメスペシャル

『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』
WOWOWシネマ 5/26(土)よる6:05ほか

『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』
WOWOWシネマ 5/26(土)午後4:25ほか

『銀魂』
WOWOWシネマ 5/26(土)よる8:00ほか

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©藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1983 「イニシエーション・ラブ」3/9(金)よる7:00
© 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会 撮影=神保達也、ヘアメイク=鈴木麻水美、スタイリスト=大沼こずえ、衣装=ADORE 「幕が上がる」©2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講 談社 パルコ 写真:AP/アフロ 撮影=坪田彩 ©2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved. 写真:ロイター/アフロ
「生中継!第90回アカデミー賞授賞式」3/5(月)午前8:30~(同時通訳)3/5(月)よる9:00~(字幕版) 撮影=中川容邦 「バレンタインデー(2010)」2/14(水)よる6:45
© Warner Bros. Entertainment Inc. ©Disney Enterprises, Inc. 「チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」©2017映画 「チア☆ダン」製作委員会 「セブン[吹替補完版]」2/10(土)午前11:25 「帝一の國」2/24(土)よる8:00
「帝一の國」©2017 フジテレビジョン 集英社 東宝 ©古屋兎丸/集英社

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