突然ですが、一挙放送を記念して、「ゴッドファーザー」3部作クイズです。

godfather1.jpg(1)ヴィトー・コルレオーネを演じた俳優は何人?

 答えは3人。
 ヴィトー(日本語字幕ではビト)・コルレオーネは、ニューヨーク市のイタリア系マフィア組織、コルレオーネ・ファミリーの初代ドンです。第1作『ゴッドファーザー』ではマーロン・ブランドが、第2作『ゴッドファーザーPART II』では、時代を遡って青年時代をロバート・デ・ニーロが演じました。
 だから2人と言いたいところですが、もう一人、『~PART II』には少年時代のヴィトーも登場します。彼が移民船でニューヨークのエリス島に到着するところは名シーンと言っていいでしょう。演じたのはイタリア人の子役オレステ・バルディニ君といって、当時9歳。今はイタリアのテレビ界で声優として活躍しているとのことです。

 『ゴッドファーザー』3部作は、犯罪組織の内部をリアルに描いたギャング映画であると同時に、20世紀にイタリア南部の寒村から移民してきたイタリア系アメリカ人たちの、家族の歴史を描いた年代記でもあります。
 パラマウント社の撮影所長だったロバート・エヴァンスは、原作の出版前に映画化権を取得。しかし監督を決める段階で、錚々たる顔ぶれの監督たちから断られてしまいます(リチャード・ブルックス、コスタ=ガヴラス、エリア・カザン、アーサー・ペン、ピーター・ボグダノヴィッチらが断ったと言われている)。誰もが、これはイタリア系の監督でなければできないと尻込みし、また撮影所の側にも、従来のマフィア映画の失敗は、イタリア系社会のことを知らない者に映画を任せたのが悪かったという反省がありました(アーサー・ペンの『Mickey One』とかマーティン・リットの『暗殺』とか)。
 脚本家としては『パットン大戦車軍団』でアカデミー賞を受賞したばかりとはいえ、監督としてはヒット作の実績ゼロだった若手のフランシス・フォード・コッポラ(撮入時31歳でした)に白羽の矢が立ったのは、彼がロバート・エヴァンスの知っていた唯一のイタリア系監督だったからと言われています。
 一方、コッポラの側にもこの仕事を断れない事情がありました。コッポラのゾーエトロープ社は、ジョージ・ルーカス監督の『THX1138』を製作したおかげで多額の借金を抱えてしまい、ルーカスの勧めもあってコッポラはこの難しい企画を引き受けることにしたのです。ジョージ・ルーカスのSF映画の興行的失敗がなければ、『ゴッドファーザー』という映画は存在しなかったかもしれません。


godfather2.jpg(2)ソフィア・コッポラが出演しているのは何作目?

 答えは3作全部。
『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』、そして最新作『SOMEWHERE』で、今や映画監督として名望高いソフィア・コッポラですが、最初に注目されたのは、父フランシス・フォード・コッポラの短篇「ゾイのいない生活」で脚本を書いたこと、そして『ゴッドファーザーPART III』のヒロイン、メアリ・コルレオーネ役に(降板したウィノナ・ライダーに替わって)急遽抜擢されたことでした。
 だから3作目と答えた人が大半だと思いますが、ソフィアはそれ以前からもちょこちょこ、父親の映画に子役やエキストラとして顔を出していたのですね。『ゴッドファーザー』では、クライマックスの教会のシーンでの洗礼を受ける赤ん坊が、『~PART II』では、移民船のシーンの幼児が、ソフィアだそうです。

 フランシス・フォード・コッポラは、映画製作の仕事をファミリー・ビジネスと捉えているようで、子供のエキストラが必要であれば自分やスタッフの家族を使うし、そのほうが活き活きとした表情をとらえることができるといいます。また、音楽家の父カーマイン・コッポラには作曲や演奏を任せ、「ゴッドファーザー」3部作ではコルレオーネ家の長女コニー役に自分の妹タリア・シャイアを起用しています。
 3部作では、パーティのシーンなどで、楽しそうに遊ぶ子供たちの姿がくりかえし登場しますが、あれこそがまさに家族を大切にするイタリア系アメリカ人の姿であり、コッポラの人生の反映であり、演出術だというわけです。


(3)原作者のマリオ・プーゾはかつて第4作の構想を練っていました。それはいつの時代を描く予定だったでしょう?

 答えは、1926~45年。マイケル・コルレオーネが成長し、大学から陸軍に志願し、第二次世界大戦後に帰国するまでの時代です。
 イタリア系アメリカ人の小説家マリオ・プーゾは、1969年発表の『ゴッドファーザー』でベストセラー作家となり、映画界にも進出。3部作すべての脚本に参加しました。99年に亡くなるまで、第4作の執筆を考えていたといいます。

 3部作で描かれた時代は、
『ゴッドファーザー』 1945~1954年
『ゴッドファーザーPART II』 1901~1925年/1958~1959年
『ゴッドファーザーPART III』 1979~1997年
であり、『~PART II』の過去のシーンの終わりから『ゴッドファーザー』冒頭までの20年間が大きく抜けています。マリオ・プーゾが4作目として、その空白の時代を埋めて、アメリカ現代史を完成させようと考えたのは自然なことでした。


godfather3.jpg(4)第1作『ゴッドファーザー』に登場するイタリア系のスター歌手・俳優ジョニー・フォンテーンをめぐる事件は、本当にあったことなの?

 答えはいいえ。
 ジョニー・フォンテーンのモデルはフランク・シナトラだと言われました。シナトラがトミー・ドーシー・オーケストラとの契約に縛られてソロ活動ができずにいたときに、マフィアが契約を安く買い取ったという40年代のゴシップ記事がもとになっていると思われます。現在ではこれは誤報だったことがわかっています。
 また、シナトラにとって起死回生の復帰作となった映画は『地上(ここ)より永遠(とわ)に』で、製作会社はコロンビアですから、劇中に登場する大物プロデューサーのモデルは、同社のハリー・コーンということになりますが、この事件もまったくの創作でした。
 ちなみに、フランク・シナトラには、『~PART III』のとき、ドン・アルトベロの役がオファーされましたが、さすがに断ったとのこと。替わりにその役を演じたのは、37年前にフランク・シナトラに負けて『地上より永遠に』の主役を譲ったイーライ・ウォラックでした。


(5)時、場所、人物などを示す字幕がまったく出ないのは何作目?

 答えは1作目。
『~PART II』『~PART III』には、「ヴィトー・コルレオーネ、エリス島、1901年」といった字幕(タイトル)が何度も出ますが、『ゴッドファーザー』にはそれがまったくありません。
 1作目の『ゴッドファーザー』では、状況説明のナレーションや字幕が一切使われていません。そのシーンが何年何月で、ヴィトー・コルレオーネというのはどういう人物で、息子マイケルのおかれた状況はどんなものか、といったことは、すべて物語の進行の中で見せていく、観客に平易に理解させる、ストーリーテリングの強度が極めて高い、そんな演出が最初から最後まで貫かれています。
 2つの時代を並行して描き、場所も大きく移動する『~PART II』では、どこかで状況説明をしないわけにはいかないし、逆に字幕を多用することで、前作とは異なる物語の大きさ、年代記としてのおもしろさを獲得しているように見えます。

『ゴッドファーザー』という映画にはさまざまな特質・美点があり、だからこそ何度見ても飽きないし、見始めるとつい最後まで見てしまうわけですが、いま改めて見直したときにもっとも驚かされるのは、脚本の緻密さであり、これが何よりも脚本家の映画であるということではないでしょうか。



<オンエア一覧>
「ゴッドファーザー」
[191ch][HV][5.1][字] 3月19日(土)午後0:30

「ゴッドファーザーPARTII」
[191ch][HV][5.1][字] 3月20日(日)午後0:00

「ゴッドファーザーPARTIII」
[191ch][HV][5.1][字] 3月21日(月)午後0:00



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