アカデミー賞ウィーク 撮影編 (2015/2/19配信)

2015/02/23

アカデミー賞ウィーク 撮影編_re.jpg

今回のテーマは『アカデミー賞ウィーク 撮影編』

中井圭さん、松崎健夫さん、宇野維正さん、池田裕子さんでお送りしました!



アカデミー賞ウィーク4日目となった今回は撮影賞を中心に技術部門を掘り下げました!

なんと今回は配信後のニコ生アンケートでも「とてもよかった」が99%を占有!しかも「まぁまぁよかった」が1%でポジティブ100%と、まさに神回と言える濃密な配信となったのでした!

撮影賞は監督や俳優部門ほど目立つ賞ではないが故に、ともすればさらっと流されがちな部門ですが、撮影に携わっていたことのある健夫さんの経験や知識などマニアックなお話が炸裂!配信中、「今までこんなに語ることなかったし嬉しくてしょうがない!」と健夫さんは語っていましたが、すごく勉強にあるお話をたくさんしていただきました。

 

番組冒頭ではまず、そもそも撮影賞の対象となる撮影監督ってどんな仕事をする人なのか教えて頂きました!

撮影監督の役割とは、画を作ることに対して全面統括をすること。カメラオペレーションをする人ではなく、照明をはじめとした画の全てを設計します。

そもそも撮影監督にはオペレート権がなく、カメラを覗いて確認することはできても回してはダメ。

これはASCという撮影協会の規定で決まっていて、その組合に属する限りは、オペレート件はオペレーターに渡さなければならないと決まっています。

しかしカメラマンとして自分で回したいという撮影監督ももちろんいて、組合に入らないという人もいます。しかし、アカデミーでは組合に入っていないと敬遠される傾向にあり、ノミネートはされても受賞にはまず至らないのだとか。

つまり、基本的には絵がどうなっているかを確認する立場。カメラはどう動いているか、照明や美術は適切か、という現場の確認から、現像したものをラッシュで確認する作業、その素材がどうなっていて編集の際に色味はどうするかなどの決定など、多岐にわたります。

また、撮影監督の仕事を見ると、ノミネーションにおいてどういう点が評価されているかがわかるとも語られました。

ノミネーションは撮影のプロフェッショナルの投票で決まるので、単に画が綺麗だとかだけではなく、今までやったことのない取組など技術的な面が評価されます。とはいえ、ノミネーション後の受賞への投票は技術職者以外の人もするので、結果手の込んだ映像美が評価に繋がるという場合もある様です。

 

では今回の撮影賞にノミネートされている監督達はどんな手法を行ってきたのでしょうか。

 

◆エマニュエル・ルベツキは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡』の撮影監督を担当。

この作品は、光りの使い方や長回しを特徴とするルベツキの集大成であり決定盤。

今回もポイントとなったのが光の使い方。長回しであることからずっと動きっぱなしで移動も多いため、照明バレを避けるためにはその場にある蛍光灯やランプに頼らざるを得ない。そのためなるべく自然光で撮るということ、そしてなるべく日中に撮影を行っています。

そして長回しの移動撮影を可能とするための機材も注目点。

アリ社のアレクサというカメラを使っていて、これはデジタルで最近一番良く使われているカメラ。XTMという機種で、レンズ側本体と記憶をする本体は別になっている小さいカメラで、大きいカメラでは不可能だった狭い通路での撮影を可能にしています。さらに、そうして別々となっているカメラを更にステディカムにすることで機動性を増すような撮影手法を場面によって使い分け。撮影部の注目点は機材面にも及ぶと語られました。

 

ルベツキは昨年の受賞から二年連続となることがどう作用するかは気になりますが、今回の超本命。ルベツキが今まで評価されなかった理由は、ルベツキよりオペレーターがすごいんじゃないかとか言われてしまったりしたこともあるのだそう。とはいえルベツキとオペレーターはいつも一緒に仕事をするコンビではありません。それでも毎回高クオリティの画を撮るというのはすごいことで、ルベツキが撮影監督だからこそのクオリティだろうとも語られました。

 

◆『グランド・ブダペスト・ホテル』を撮影したロバート・イェーマンは今回初ノミネート。

日本でも工事現場で見るようなバルーンライトを使っていることが今回の特徴のひとつ。電球の周りを白い布で大きく風船状に囲うことで拡散光となり、柔らかいタッチになります。さらに使っているレンズもポイント。ざっくりと分けるとクック、ツワイス、アンジェというレンズがあり、この順で堅い画から柔らかい画になります。今回使われてるのはクックとアンジェニで、硬軟をはっきり使い分けているのだとか。

また他のノミニーとの違いは、唯一フィルム撮影を行っているということ。組合員はフィルム派が圧倒的に多く、アカデミーでもデジタルは長らく認めていませんでした。2012年の「ライフ・オブ・パイ」でやっとデジタルの扉が開きましたが、そういう意味でもフィルム撮影を行っていることは強み。アナログなことをしながらデジタルも併用し、その中で画の齟齬が無いようにするという苦労も見え、細かい画作りに対するこだわりが伺えます。

また、30年代のスタンダードサイズ、60年代のシネマスコープサイズ、現代のビスタサイズとシーンによって画面サイズが変わるというトリッキーな手法は今までになかったこと。それを全うに評価するかしゃらくさいと思われるかは評価の分かれ目だと宇野さんは語りました。

 

◆『イーダ』を撮影したのはウカシュ・ジャルとリシャルト・レンチェウスキ。

この作品の特徴はモノクロであること。しかし、撮影はカラーで行われています。これはデジタルで撮っているから必然的にカラーになってしまうのだそう。

メイキングもモノクロで確実にはわからないとしながらも、おそらく出力モニタでモノクロの画を確認しているだろうと健夫さんは考察。

あるライティングに対し、モノクロとカラーでは見え方が全く異なります。白と黒のハイコントラストがどうなるかなど、カラーとモノクロの違いをちゃんと確認しているということは一つの評価点。

さらに、今の時代にスタンダードサイズで作られているということもポイント。この作品はアリ社のアレクサXTプラスという機種を使用していて、あんまり使われないのだそう。この機種は35mmのフォーマットで16:9で撮れるけれど、撮影現場で4:3にもできるというカメラ。

それを使っているということ、わざわざモノクロを撮っていることへの驚きもノミネ―トされた要因のようです。

 

◆ディック・ポープは『ターナー、光に愛を求めて』を撮影。

彼は2回目のアカデミー賞ノミネートで、ASCの協会員でないということがミソ。

この作品の素晴らしさは、ウィリアム・ターナーが見ていた風景を再現しているということ。ターナーは淡い光の作品を描き、印象派の先駆けとなった作家。ターナーの見た景色を再現するのは相当技術力が必要ですが、当時の絵画を参考に光の使われ方を再現しました。

絵画で描かれている自然光を表現する為の決まりごとがあるのだとか。それは屋内には自然光やランプ以外の光を使わないということ。とはいえ足りない光りがある場合は、窓から入ってくる外光として外に照明を立てて作られているそうです。

昔からフィルム感度の問題で照明は必要とされてきましたが、デジタルだからこそできるこうした自然光での撮影に高い評価が集まっているようです。

 

◆『アンブロークン(原題)』を撮ったのはロジャー・ディーキンス。

ディーキンスといえば、アカデミー賞に12回ノミネートされながらも未だ受賞には至っていない無冠の帝王。

撮影自体は非常に素晴らしく、『スカイフォール』の素晴らしさの半分はロジャーの功績だとも語られました。

闇と光の人という印象で、ぎりぎり見えるか見えないかを狙った露出で陰影を作り出すことが特徴。日本ではテレビの信号帯の問題で明暗の扱い方が難しくなっている中、ぎりぎりの暗闇を狙うプロの表現は羨望を浴びるほど。

自然光に限らず、暗闇の中での照明が得意。照明はあてることだけが全てではなく、隠すことも照明。光の反射を抑えることで黒を引き立たせることもディーキンスの上手さだそうです。デジタルは映りすぎるからこそ影を作ることも重要だと語る健夫さん。宇野さんはルベツキが光の魔術師ならディーキンスは闇の魔術師だと例えました。

 

ここで今回も出演者の皆さんの予想を発表してもらいました!

 

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』...中井さん、宇野さん

『グランド・ブダペスト・ホテル』...健夫さん、裕子氏

と言う結果に!

宇野さんはルベツキ時代が始まるんじゃないかと予想。健夫さんはASCの会員であるとかフィルムを撮っているということを加味すると『グランド・ブダペスト・ホテル』だとしながらも、一方で『イーダ』にも注目。ヨーロッパ出身の撮影監督がノミネートをきっかけにハリウッドに呼ばれて主流な撮影監督になるということはよくあり、もし撮らなくても今後活躍していくだろうと語りました。

 

さらにその他の技術部門についても大予想!

◆美術賞

『グランド・ブダペスト・ホテル』...中井さん、宇野さん

『インターステラー』...健夫さん

 

◆衣装デザイン賞

LAヴァイス』...宇野さん

『グランド・ブダペスト・ホテル』...健夫さん、中井さん

 

◆編集

『アメリカン・スナイパー』...宇野さん

『グランド・ブダペスト・ホテル』...健夫さん

6才のボクが、大人になるまで。』...中井さん、裕子氏

 

となりました!

 

果たして技術部門の行方はどうなるのでしょうか?!

【生中継! 第87回アカデミー賞授賞式】は2/23()午前9:00から放送!

http://bit.ly/17XI1Tq

 

そして健夫さん、裕子氏が予想する【グランド・ブダペスト・ホテル】が早くもWOWOWに登場!!

http://bit.ly/1DFVECg

3/8()よる9:00WOWOWシネマでお届けいたしますので、ぜひ今回の配信で伺った様々なポイントにも注目してお楽しみください!

 

今回は技術部門が俄然楽しみになる配信となりました!

授賞式当日はぷらすとでソーシャルビューイングを行いますので、ぜひ皆さんでアカデミー賞を楽しみましょう!


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