カンヌ国際映画祭の視点(2015/5/12配信)

2015/05/13

カンヌ国際映画祭の視点_re.jpg

今回のテーマは『カンヌ国際映画祭の視点』
中井圭さん、松崎健夫さん、早織さんでお送りしました!


いよいよカンヌ国際映画祭の季節がやってきました!この日は世界三大映画祭の1つであるカンヌの楽しみ方と、今年の意義を深掘り!


世界三大映画祭とは、ベネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、そしてカンヌ国際映画祭のこと。設立順序はカンヌは2番目ですが、国際映画祭としては一番権威があると思うという健夫さん。

よくアカデミー賞と比較されますが、そもそもアカデミー賞は映画祭ではありませんし、投票する人も、集まる作品も、方向性も違います。

どちらも獲得票が多いものが受賞することは同じですが、アカデミー賞はハリウッドに関わるアカデミー会員が投票し、映画祭は毎年選ばれる審査員が投票。そこで特徴的なのが審査員が受賞作品に与える影響が大きいということ。グランプリやパルム・ドールには全体のバランスや傾向で選び、審査員特別賞には趣味趣向を出したり、自分と同じ様な作風の人にはどうしても評価が辛くなっちゃったりと、選ぶ側の視点が強く見えるのも特徴的です。


また映画祭間では、コンペティションに出品する作品が被ってはいけないという暗黙の了解があります。規則ではありませんが、同じ作品は上映しません。カンヌ、ベネチア、ベルリンはそれぞれ開催時期がずれているため、それぞれの賞がそれぞれのコンペ作品を持っています。

作品の選び方は様々で、応募されたものから選考する場合が基本ですが、プログラムディレクターが声をかける場合やセールスカンパニーから売り込みがある場合なども。たまに完成版じゃないものが上映されることがありますが、それは、ぜひともうちで最初に上映したいから、と言っていたら結局間に合わなかったパターン。でも映画祭としてはその人を育ててきたから入れたいという場合や、この人作品なら、と入る場合もあります。


各映画祭中でも、カンヌは新しい才能と創造性を発掘して、賞をあげたり育ててきました。また、カンヌの役割は芥川賞や直木賞に近く、素晴らしいから賞をあげようというより、何度か候補になって出品され、本当に実力があるかを試した結果、この人をカンヌが認めよう、ということで受賞に至る傾向があるので、必ずしも賞を獲る作品がベストとは限りません。

受賞歴を見ていくと、いきなりパルム・ドールを取る人もいるけれど、だんだん格式高いと言われる映画祭に徐々に上り詰めていき、カンヌも最初は監督賞や脚本賞を獲った人が最終的にパルム・ドールを獲るという流れも多く、カンヌの事情ややり方の中でパルム・ドールを決めているのです。


この傾向が近年の日本でも代表的なのが河瀬直美監督。

今年も「あん」である視点部門に出品されますが、初監督作品「萌の朱雀」でカメラドールを受賞したのが最初。今や毎回のようにカンヌに呼ばれていて、2013年には審査員にも選ばれました。これはカンヌが最初に見つけた才能だという事が大きく、河瀬監督が新作を出してきた時には、お披露目はカンヌでという事になるのです。


そして、番組は映画祭として上映以外に行われていることにもフォーカス。実際に映画祭に行ったこともある中井さんに現地の雰囲気も伺いました!

この時期はカンヌの街全体がお祭り!夜9時位になっても日が落ちない季節で、朝も早いのでなんだかんだずっと稼働しています。その間、街ではマルシェと呼ばれるマーケットで映画の買い付けが行われたり、映画館では試写会を開催。街の至る所でベランダからバナーや垂れ幕が下がっているのが見られますが、これはマンションの一室を映画会社が借りていて、そこで商談とかが行われているから。さらにメディアも集まるので、作品が出品されていなくても、メイン会場横のビーチでイベントがあったり、プロモーションの場でもあるのです。


そこで番組は映画の買い付けと値付けのお話へ。

配給権を買う上で、売る側は高く買ってくれた方がもちろん嬉しいわけですが、一方で作品によってはここまで高騰すると回収するの難しくない?という状況も起きえます。

日本でもたまに、この作品をこれだけの大規模で公開してるの辛くない?と言う場合がありますが、これは買い付け価格が高いから!逆も然りです。

また、公開の仕方も色んなパターンがあって、内容的に集客を見込めないなら一気に公開規模を拡げて数週間で終わる場合もあるし、全国順次公開として長期に狙う場合も。長く公開し続けることで公開館数は少なくても、毎回沢山人が入る方が長い目で見ると儲かったり、儲けは少なくても赤字にならないやり方などもあります。

さらに、映画の宣伝物でよく映画の本質的じゃない宣伝もあるけれど、これは普段観てくれない人にも観てもらわないと回収できない買付価格なので、筋違いの宣伝でもターゲットを拡げざるを得ないという理由も。やっぱり商売なので、ビジネス的観点でどうしても回収しなきゃいけない、どうしても拡げなきゃいけないという場合もあるのです。

マルシェにはこうしたビジネスのも力学が働いていて、映画祭は華やかなイメージだけでなく、駆け引きもうごめく、産業やマーケットの機能も果たしています。

また、元々カンヌが始まった当初は9月の開催でした。それが5月になったのは、ベネチアと被らないようにということと、この時期が閑散期だから。閑散期に人を呼ぶため、5月は広告祭やモナコグランプリなど隔週ぐらいでイベントがあって、この時期の地中海界隈は観光客で賑わっています。映画祭はまさにお祭りで、映画関係者が仕事をしに行くというのはもちろんですが、同時に世界中の映画ファンが集まってくるので、地域を盛り上げる機能も果たしています。


さらに、カンヌが世界最高峰と言われる理由には政治的視点が入っていることも大きな要因。

ベネチアは一番最初のグランプリ作品に「民族の祭典」というベルリンオリンピックを描いたドキュメンタリー作品を選びましたが、これは結果的にナチスの宣伝のための映画になっていました。それを最初のグランプリに選んだことに怒りを感じたフランスの人達の反発がカンヌの発祥。世界の動きに対して、それはどうですかって問いかけることも受賞作品に含まれている場合が有り、政治的メッセージを伝えて行こうという姿勢と、それを受け入れる土壌があるからこそ、世界一と言えるだろう権威を今もキープしているのです。


そして後半は気になる今年の特徴をトーク!

今年のカンヌの特徴の一つは女性監督。今年の名誉パルム・ドールの作品とオープニング上映作品が女性監督作品で、コンペ部門にも2人の女性監督が選出。過去の割合と見ても女性が目立つ印象で、それをカンヌとしては今年の色にしたいって意図が働いてる気がするという健夫さん。それらが受賞するかどうかは審査員の判断ですが、意図としてそういうものを潜らせているように見えると語りました。


そして今年の審査員長はコーエン兄弟。「バートン・フィンク」でパルム・ドールを獲っているので、過去の審査員長にもあるパルムドールを取った人を審査員長に迎える流れに則っています。審査員にはブザビエ・ドランが入っていて、今回の審査員陣の中では1人だけかなり若いのですが、それでも選出されているのはやっぱりカンヌが見つけたということと相性が良いとところがポイント。


また日本からの参戦も過去類を見ない程多く、コンペティション部門の是枝裕和監督作品「海街diary」、ある視点部門の河瀬直美監督作品「あん」、黒沢清監督作品「岸辺の旅」をはじめ、日本人俳優出演作や出資作、4K上映作も含め、全部で8作品!中でも「あん」は健夫さんが河瀬監督の最高傑作だと思うという一作です。


さらにその他のコンペ出品作品のラインナップを見ながら各作品についてもトーク。その中で話されたのが、今年のもう一つのポイントは役者が出演したいと思う国際的な監督であるということ。

今年のラインナップを並べて見ると、アメリカじゃない監督の作品にハリウッドの名だたる名優が出ている傾向が。本当ならハリウッドのメジャーな作品にしか出ない俳優が、こぞって今回のカンヌ作品に出ているのが特徴で、それは逆に役者達が本当にやりたい役はハリウッドにない事の現れかもしれません。


今年のカンヌはいよいよ本日から開催!今回お話したように見どころが盛りだくさんです!

WOWOWではカンヌ国際映画祭特集2015と題し、過去の受賞作をオンエア!

今年の出品作品の監督の前作品も入っているので、流れを見るにはピッタリです!今回のぷらすとをガイドに観ると、また違った楽しみ方ができるはず!ぜひあわせてお楽しみ下さい!

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