ジェイソン・ボーンと、その時代(2015/6/23配信)

2015/06/24

ジェイソン・ボーンと、その時代_re.jpg

今回のテーマは『ジェイソン・ボーンと、その時代』
中井圭さん、松崎健夫さん、梨衣名さんでお送りしました!
記憶を失った敏腕工作員の奔走を描いた「ジェイソン・ボーン」シリーズ。この日はシリーズ成功の背景やアクション論が展開されました!

ボーンシリーズは02年の「ボーン・アイデンティティー」からスタート。04年に「ボーン・スプレマシー」、07年に「ボーン・アルティメイタム」、12年に外伝として「ボーン・レガシー」が公開されました。
徐々に人気が尻上がりになったシリーズで、1作目では本国より半年ほど遅れて日本での公開となったことから、さほど映画会社のラインナップとして期待されていなかったことが分かりますが、その間隔は段々と短くなり、「ボーン・レガシー」は1か月後の公開。人気が上がるにつれ製作費も上がり、興行収入も3作目では1作目の倍ほどの額を記録しました。

シリーズの人気の特徴はいくつかありますが、まずその一つは原作と映画で内容や設定が違うこと。
このシリーズはロバート・ラドラムの小説を映画化したもので、原作は80年代に書かれたもの。当時はまだ東西冷戦の最中。色んな国を周る上で東西冷戦は鍵となっていましたが、ソ連崩壊からも10年以上たち、今の話へと変えざるを得ませんでした。小説自体も有名なシリーズで、原作ファンには全然違うという人もいるかもしれませんが、映画化では別物にし、当時小説を読んでいた人も現代に置き換えて楽しめる事が、人気の秘訣じゃないかと語られました。

そして内面性を描いたのも特徴的。
従来のスパイ映画はその時々にいろんな仮想敵国を見つけ対立構造を作ってきましたが、東西冷戦が終わった後の世界で何を敵にするのかを探したときに、ボーンシリーズは自国の中に敵を作ったのがポイント。
映画で描かれるものは時代の鏡だからこそ、00年代の時代を投影しているという側面も。さらに自分達の中に敵がいるということは、倒せばいい相手が明確である場合とは違い、何も信用できず自分の立場から考えることが増えたことで、アクション映画の複雑化にも繋がること。そしてボーンシリーズ以降、自分の敵は自分の中にあるという物語がハリウッドに凄く増えたとも語られました。

脚本を書いたのはトニー・ギルロイ。シリーズ中、キャストや物語やアクション演出の変化はありますが、ずっと関わり続けているのは彼だけ。ややこしく破綻しそうでもある作品が体を成しているのも、彼が芯となり引っ張ってきたからということも考えられます。
その上で、これまでのアクション映画と変わったところは女性の描き方。従来のいわゆるヒロインは添え物的扱いで、ロマンスを生み出すための要素でした。しかしボーンシリーズではそういった点には重点を置かず、声高ではなくとも女性の地位向上・平等が反映されていることが、映画をスマートにさせている要素。また、このシリーズにはボーンに敵対する暗殺者が必ずいて、その役を演じた俳優が後に注目されていくのも面白いところです。

さらに2作目が跳ねたのは、監督が変わったのがポイント。
1作目の監督はダグ・リーマン。このシリーズは元々原作を読んでいたダグ・リーマンが、映画にしたくて本人から持ち込んだ企画でした。しかし、彼は色んな映画で製作途中に揉めてしまう人。1作目は成功したものの、2作目を作るにあたりまた喧嘩をして監督はやらず、制作に回りました。そこで白羽の矢が立ったのがポール・グリーングラス。彼の映像はドキュメンタリータッチであることが特徴的で、2作目では手持ちカメラでボーンと一緒に動いていく映像が増えたのです。1作目が公開された同年には様々なスパイ映画やアクション映画が公開されていますが、「ボーン・アイデンティティー」は他作ができなかったアクションにおける肉体性のリアリティを描きました。2作目ではそのアクションのリアリティにプラスして、ドキュメンタリー的要素をアクション映像に取り入れたことでよりリアルさが増し、作品のトーンが変わったことが飛躍の理由だと語られました。
また、2作目と同年に公開された「アルティメット」でパルクールが取り入れられていたのもポイント。このパルクールのアクションは後に様々な作品に影響を与えますが、ボーンシリーズでは3作目に取り入れられます。窓から窓を飛ぶようなアクションも、カメラも一緒に背中から追いかけて飛んで撮影していて、そうしたパルクールが生々しいドキュメンタリー的な映像で良く活かされていたのです。

そこで注目されたのがアクションのリアリティ。生身の役者本人が演じることの凄さはありますが、一方で肉体的限界があるのも事実。その大きな要因となるのはやっぱり年齢。マット・デイモンも1作目の時は32歳。丁度いい時期。でも3作目は37歳。ちょっと厳しめです。その結果、遠景で撮ることでアクション全体を映し本当にやっていることを見せる一方、殴り合うようなシーンではカットを沢山割って繋げることでアクションをしている様に見せたり、カーチェイスが増えたりしているのです。梨衣名ちゃんも自身が習っている武術の動きから1,2作目と3作目の身体面の違いに注目!中井さんも、上半身だけを見せるのがポイントで、下半身を連動させるのは難しく、カメラワークでカバーしているところがあると話しました。
そもそもマット・デイモンはアクションスターと言うイメージではなく、本人にとっても不安材料だったのだとか。シリーズものをする時はほとんどの作品で3部作契約をするそうですが、マット・デイモンはそれを断ったほど。しかも、1作目の撮影後すぐに出たのはなんと「ふたりにクギづけ」!結果的にヒットしましたが、本人はお金のかかっている映画で失敗作だと言われた時に行くべき道も探していて、ファレリー兄弟作品と言う意外性に一同衝撃が走ったのでした!

さらに今後のハリウッドにおける身体性の重要度についてもトーク!
もともとボーンシリーズも、ボーン役はシルベスター・スタローンやラッセル・クロウにオファーされていました。キャスティングの真意はわかりませんが、中井さんはシリーズに必要な内面性を表現する為の演技的素養とのバランスを見たのではと考察。明確な敵がいて倒すことが目的ならガチアクション勢でも十分かもしれないけれど、物語自体が内側に向かっていっている現代の作品にとって、演技ができて尚且つ身体性がある人は貴重な存在。ハリウッドにとって今、誰が動けるのかは重要なファクターであり、アクションの無いビッグバジェットなブロックバスター映画はほぼ無いからこそ、アクションに耐えうるネクストスターを探しているのだと語られました。

続編の有無が注目されるボーンシリーズですが、最後はシリーズが面白くなるために必要なことについても考察!
現在公開されている「マッドマックス 怒りのデス・ロード」も、今夏公開予定の「ジュラシック・ワールド」も、共通するのはストーリーが面白いわけではないという事。物語が単純だったり、展開が読めたり、それでも面白いと思えるのは、エピソードの転がり方や1つ1つのシーンの細かい魅せ方で、観ている方がドキドキすることができるから。「ボーン・アルティメイタム」にも話があったかと言われると、1作目の様な謎解きよりもアクションのつなぎがメイン。でも、そのアクションとアクションを繋ぐ工夫で面白くなっているのです。これは「マッドマックス」や「ジュラシック・ワールド」も同じこと。話の筋道はシンプルでも、その中に何を見せるかに特化することで傑作となっていくのではないかと語られました。

シリーズの変遷から、気付けばアクション論にまで派生していった今回。ボーン・シリーズのみならず、今後公開される作品やジャンル、俳優など様々なことに興味が広がる配信となったのでした~!

WOWOWでは≪吹替で見る!ジェイソン・ボーンシリーズ一挙放送≫と題し、シリーズ3作品を6/23(火)~連日放送中!

さらに、パルクールを取り入れたことで話題となった「アルティメット」シリーズも、7/26(日)に3作品を一挙放送!


ぜひあわせてお楽しみください!

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