その名はビジランテ(2015/7/14配信)

2015/07/15

その名はビジランテ_re.jpg

今回のテーマは『その名はビジランテ』
中井圭さん、添野知生さん、松崎健夫さん、浅賀優美さんでお送りしました!

"ビジランテ"という言葉、いまいちピンとこないという方も多いのではないでしょうか?日本語に訳すと自警団。アメコミ映画によって日本でもそれなりに定着してきましたが、日本にはない概念なのでわかりにくいところもあるかもしれません。

そんなわけでまずはビジランテの定義付けからスタート!
添野さんは「主にアメリカが舞台で、普通の人が、身内が凶悪犯罪の犠牲になったことをきっかけに、法律に反して自分で社会正義を行うこと」と定義。
ポイントは警察や裁判所の代わりに自分の思う正義を実行すること。そして単なる復讐だけではなく、それをきっかけに社会正義を行う側面までに入っていること。
健夫さんはビジランテと復讐物は似通っているけれど、復讐ものに含まれる場合もあれば、復讐ものではないビジランテものもあると語りました。

いま皆がビジランテのひな形だと思うような作品が作られたのは70年代。この頃から「狼よさらば」や「わらの犬」など身内に何かが起こった時に復讐するという話がいっぱい作られ始めました。
しかし、はっきりとはしないものの、その歴史はもっともっと古くからあるようです。
1919年には「シェパード・オブ・ザ・ヒル」という自警団を描いたサイレント映画が作られましたが、このモデルとなったブラッドノップスは1880年代の自警団。そして、30,40年代の西部劇の頃から、タイトルにビジランテという言葉が使われた作品は多数。ビジランテとしてイメージされるものは70年代に形成されたものですが、映画として扱われたのは1910年代頃が最初で、思想や概念自体はさらにそれ以前からあったようです。

この背景には17世紀に君主制から法治国家体制ができたことがあるという添野さん。法治国家になったことで、国家による暴力の独占が提唱され、民間で軍隊や警察の真似をしてはいけないという社会契約が発生。それに反して実行するのがビジランテ。それまでの君主制にはそもそも法の支配の概念がないため、ビジランティズムとは言いようがなかったのです。
このことがアメリカで顕在化したのが西部劇の世界。法の支配が及ばない世界で、自分で自分の身を守り、自分達の決まりで悪者を退治するしかない、という状況下で自警主義が発達していきました。
とはいえど、私的制裁、暴動の扇動、人種差別との結びつき、私的賞金稼ぎの発達、相互監視の世界など、19世紀では負の側面をあわせもつ言葉だったとも語られました。

続いて注目されたのは最近のビジランテものの流行について。
「キック・アス」などを起点に、一般の人がヒーローの真似をする作品がいっぱい作られていますが、この手の作品がアメコミと違うのは、最終的に相手の命を奪うこと。
健夫さんの中では、相手を殺すまでしてしまうのがビジランテものだと思うからこそ、バットマンを典型とするようなアメコミがビジランテに入っていることは違和感があるのだそう。
これに添野さんは、ビジランティズムがちゃんと考察されているか否かが大事だと返答。アメコミ映画の中でも、ヒーローが自分は殺さないヒーローになるぞ、と決意をするところが含まれていいないとダメ。そこが描かれず、最初から殺さないことが前提になっているアメコミ映画はビジランテとは言い辛いと語りました。
その上で、「キック・アス」以降のメタアメコミヒーロー映画は必ず、殺すかどうかや普通の人がビジランテヒーローになることの是非や善悪を問う形で打ち出しているので、どれもビジランテ映画になっているのです。

また、ビジランテものの描かれ方は、世相を反映して変遷しています。その一例として挙げられたのが動機付け。
メタヒーローものには、主人公がヒーローになりたいという動機がありますが、これは恨みや社会正義が動機だった昔のビジランテとは違うところ。また警察が腐敗していてあてにならないから自分が立ち上がる、という動機はビジランテもので良く見られるシーンですが、「キック・アス」ではいじめられている高校生にとって、見て見ぬふりをする大人が頼りにならないという動機付けも。
さらに悪役や恐怖の対象の変遷についても語られましたが、同じビジランテというテーマを扱っていても、その時々の社会状況に沿って、描かれ方が変わっていくのです。

時代を経て変遷することは、役者や監督の中にも観ることができます。
特にクリント・イーストウッドは自分の正義と悪があり、その判断が時代によって変化している人。アメリカの捉え方を常に映画の中で体現しているので、イーストウッド自身の変化を捉えると、今アメリカの市民がどう考えているかが浮き彫りになることも多いと語られました。

そして最後は健夫さん添野さんのビジランテムービー・ベスト5を発表!

◆健夫さん
『狼よさらば』『エクスタミネーター』『ローリング・サンダー』『蛇の道』『ストリート・オブ・ファイヤー』

◆添野さん
『ワイルド・タウン/英雄伝説』『狼たちの処刑台』『追想』『レモ/第1の挑戦』『牛泥棒』

そして中井さんは『グラン・トリノ』をオススメ!
王道からちょっとひねった作品まで、色んなタイプの作品を紹介していただきました!

ビジランテムービーは、正義の価値観やビジランテの立ち位置に世相を反映しながら変遷していくもの。きっとこの先もビジランテ作品は作られていくだろうけれど、何か復讐をする話というだけではなく、社会が反映されながら描かれるカテゴリとして見ていくと更に楽しめるはず!
そして作品に現れる時代性は、その時はわからなくても、後にわかってくるもの。だからまた10年、20年後とかに、その時々の意味を見てみたいと健夫さんは語りました。

WOWOWではデンゼル・ワシントン主演のビジランテムービー、【イコライザー】を7/20(月・祝)よる9:00~初回放送!
80年代に全米で人気を博したTVドラマの映画版で、2014年的解釈がされたビジランテモノです。
ぜひ本日のぷらすととあわせてお楽しみください!

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