監督と語る! 「野火」塚本晋也(2015/7/21配信)

2015/07/22

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今回のテーマは『監督と語る! 「野火」塚本晋也』
中井圭さん、塚本晋也さん、松崎健夫さん、浅賀優美さんでお送りしました!

7/25(土)公開の『野火』。今回は塚本晋也監督をお招きし、監督の情熱溢れるお話を直接伺う貴重な機会となりました!

まずはみんなで予告編をチェック!
『野火』の原作は大岡昇平さんの小説。フィリピン戦線で負傷して分隊を追い出された兵士が死を覚悟して放浪する姿を描き、その途中途中で様々な人に会い、出来事に遭遇する中で戦争のことを考える物語。1959年に市川崑監督が一度映画化していますが、今回塚本監督により、新たにカラーで撮影された作品です。

塚本監督は高校生の頃に原作の小説を読んで衝撃を受け、その頃から映画にしたいという思いがあったのだそう。小説だから文字なのに、フィリピンの大自然の美しさと、人間が泥だらけになって愚かなことをしているというコントラストが、まざまざと目の前に見えてきたことが印象的だったという塚本監督。分隊を追い出された主人公が、人を殺さなければならないしがらみから解放されて、残りわずかな時間をフィリピンの美しい原野の中で自分の時間として生けることに共感。その後の戦争地獄にも没入して特殊な体験をした気がして、原野の美しさと人間の恐ろしさがとても大事なものに感じ、ずっと描きたいと思っていたと語られました。
昔から様々なインタビューの中にも『野火』を撮りたいという思いが表れていましたが、その渇望の根底には原作から受け取った衝撃があったようです。

戦争に行った体験者の方々に、10年前にインタビューをした塚本監督。その方々はインタビュー当時80歳前後。今は90歳前後ということになります。あさがゆちゃんが、「自分の世代はおばあちゃんとかに戦争の話を聴ける世代ではあるけれど、将来子供を産んだときに、子どもたちの世代は戦争を直接経験した人と話す機会がなくなる。だから戦争の経験をそのまま誰かに伝えるために、映像として残していくのは大事だと思った。」と感想を話してくれたように、これから先は、戦争の記憶・経験を持つ方々が、少しずついなくなってしまいます。だからこそ、塚本監督もその方々のお話を聴いておかなければとインタビューを行い、そのお話を体にしみこませて、映画に感情を叩き込めたのだと話されました。

『野火』は特に中高生など若い人に見てもらいという塚本監督。それは、良いトラウマを持ってもらうため。塚本監督は子供の頃に「はだしのゲン」を読んでトラウマだったそうですが、そのトラウマが今自分が平常心で居られる根本に。そのトラウマがなく、ただ夢の様に良いものばかりが空気の様に彷徨うだけでは良くない、と塚本監督。でも、それはあくまでも創作物からくる良いトラウマでなくてはならなくて、実際に戦争に行き、悪いトラウマで一生の傷になってしまうのは避けなければなりません。

健夫さんはスピルバーグの描く戦争を例に、塚本監督の暴力の描き方について指摘。これを受けて、「スピルバーグの戦争の描き方は大人だなと思っていたけど、自分には不向きだった」と塚本監督。「自分は映画自体が暴力の塊で、見終るまでは暴力をただぶつけられ、終わって映画館の外に出たら、晴れた世界にほっとする映画が良いんじゃないかと思っている。暫くそうじゃない方も模索したけれど、結局ガンッと見せつける方法をやっている。」と語られました。
『野火』の描写の強さは相当なもの。その残酷描写には異論が出るかもしれません。でも、だからこそ感じるものがあるはず。結論を導き出すような描き方ではなく、考える余地を与えているから、この映画を見た人が、「平和的に対話で解決する方法はないのか」と思ってもいいし、「もっとこの国を強い国にしよう」と思う人がいてもいい。いずれにしても、映画の中の恐ろしい状態には近付きたくないと、理屈ではなく肌合いで感じてもらえるといいなという塚本監督。残酷描写が行き過ぎているからこそ、トラウマで嫌な気持ちになり、何か自分の中の基準になるものができるんじゃないかと、『野火』に込めた思いを教えていただきました。

塚本監督は最後に、「映画そのもので政治的なメッセージや特別な思想を描いている訳ではないので、あくまで大岡昇平の素晴らしい世界を浴びて、2日くらいガクッと来て、その後に感じたものをご両親や友達と話してもらう材料にしてもらいたい」とメッセージ。

今、多くの注目が集まる戦争。終戦70年の今年、『野火』は、まさに今観るべき1作。塚本監督は配給にあたり、全国を行脚。上映してくれる映画館一つ一つにお届けするような感じでご自身も足を運ばれているそうです。
まんべんなく全国で上映されるので、是非お近くの劇場に足をお運びください。
劇場情報はコチラから

今回はこの他にも、予算がなくて当初は三脚で自撮りしようと思っていたお話、父親の遺産を使ったこと、リリー・フランキーさんの出演経緯、消防署に断っていたにも関わらず大爆発のシーンで消防車が7台も駆けつけてしまったことなどの撮影秘話や、
キャスティングをするときに考えていること、自身が演技をするときのこと、さらに『桐島、部活やめるってよ』の中に『鉄男』が使われていることについてなど、貴重なお話を沢山伺うことができました。
近日アーカイブを公開予定なので、鑑賞の前後にぜひご覧ください!

そしてWOWOWでは≪終戦70年 戦争映画特集[邦画編]≫と題し、日本で作られた戦争映画7作品を特集。
ラインナップはコチラ

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