人形アニメーションの父を語る(2015/7/30配信)

2015/08/03

人形アニメーションの父を語る。_re.jpg

今回のテーマは『人形アニメーションの父を語る』
立川吉笑さん、添野知生さん、真賀里文子さん、福永マリカさんでお送りしました!

WOWOWで放送される【ノンフィクションW 人形アニメーションの父・持永只仁の約束 ~未完のシナリオが繋ぐ日本と中国~】。
今回はこのドキュメンタリーで迫った持永さんのこと、人形アニメーションのことを、持永さんの愛弟子である真賀里さんをお招きして深掘り!
パワフルで、チャーミングで、ユーモアあふれる真賀里さんに、大変貴重なお話を聴かせて頂きました!
持永さんはもちろんですが、真賀里さんも人形アニメの第一人者という超レジェンドなお方。添野さんはレジェンド登場に緊張しまくりだったのでした!

番組ではまず、人形アニメーションの手法を生み出した偉人、持永只仁さんにフォーカス。
持永さんは佐賀県で生まれ、佐賀県と中国の満州と東京都の3点を行ったり来たりしながら育ちます。持永さんは中国で人形アニメの手法を生み出し、戦後も中国の撮影所に日本人スタッフとして残って、中国の後進たちを育てるために舵を切りました。さらに、持永さんの教え子が韓国へ行って初めて人形アニメーションを作るなど、日中韓3国の人形アニメーションの道を作った人なのです。
持永さんのキャリアは平面アニメーションからスタート。立体アニメーションへの転身は、中国で政治風刺の漫画を短編映画にしたことがきっかけに。最初はマリオネットを使って作るつもりでしたが、現場に操れる人がおらず窮していた時、糸で操るのではなくコマ撮りにしたらいいんじゃないかと閃いたそうです。これはある種のエンジニア思考が強い独立独歩な人だったからこそできたこと。持永さんは自分が好きな絵や物を作るということを、どんどん一人で極める特異な育ち方をされました。もしもその時閃かなければ、その後の全てがないということに。この他にも、もしも持永さんがああしていなければ、こうしていなければ、世界のアニメーションの歴史は全く違っていたかもしれない、ということがたくさんあるのです。

真賀里さんはもともと、舞台系の美術のアルバイトをしていた中で、持永さんが人形映画製作の美術を探しているということを聞き、アルバイトをしに持永さんのところへ。でもアニメーションのこととは知らなかったそうで、持永さんのアニメーションを見て、なんてものが世の中にあるんだと衝撃を受けた真賀里さん。当時は、「もしかして私はこれをするために生まれてきたのではないか」と思い、持永さんの助手にしてください、誰かが欲しいと思った時には真っ先に私を呼んでください、とお願いして持永さんの助手になったのだそう。

そして今回は、持永さんと真賀里さんがご一緒に制作された作品の映像やスチール(ピノキオ/人魚姫/スモーキーベア/マッドモンスターパーティー/くるみ割り人形)、そして真賀里さんの特撮系の作品(ウルトラQ第4話「マンモスフラワー」/帝都物語/へんしんポンポコ玉/コメットさん)の映像を見せて頂きました!

CGで何でもできる今とは違い、人魚姫の水のきらめきや灯りなども全てコマ撮り。カメラワークや動かす人形にもよりますが、「くるみ割り人形」のネズミとくるみ割りのおもちゃのシーンなどは、頑張っても1秒撮るのに1日かかるということも!1秒撮るということは、当時は24回、今は30回動かすということ。相当な時間がかかります。でも、立体アニメが大変という事ではないという真賀里さん。「絵を描く人も、彫刻をする人も、どの仕事もそれぞれの大変さがある。でも、その中に面白さがあるし、どの人もその大変さがたまらなく好きで、そこが良いところじゃないかな」と語られました。

そしてなんと、人形の実物も見せていただくことができました!!
番組内で動かしていただいたのはちびくろサンボと、「マッドモンスターパーティー」のジキル。実際に真賀里さんの手で動かされる生き生きとした人形たちに、みんな感動しっぱなし!
この人形たちの中には関節が入っています。関節は人形が気持ち良く動くのに必要なもの。関節は自由に動くこと、正しく動くことも大切ですが、ポイントはピタッと止まること。アニメーション表現の上でも、止まる(フィックス)ことは凄く大切。動くときは状況を伝えているけれど、フィックスが伝えるのは心情。フィックスのポーズや表情で、皆にわかって欲しい心情や、動いていた理由を伝えることができるのです。

動かし方は人間観察をしてそれぞれが工夫して身につけるそうです。自分が鏡の中でやってみたり、ストップウォッチで測ってみたりという場合も。メモを取るというよりは、あの時のあれが良かった、という覚え方をしていて、ハートに来るものがあるのかもという真賀里さん。
それは、持永さんが中国で人形アニメーションの制作をしたことにも通ずること。母国語じゃない国で言葉じゃないものを読み取ろうとし、向こうのクリエイターと心を通わせたことが製作のプラスになったのではと語られました。

真賀里さんは、持永さんのすぐそばで持永さんのアニメーションを見て、持永さんが触った途端に人形が息づくことにゾクゾクッとする感覚だったと当時を思い返します。持永さんがふわっと触ると、木偶が生きてくる。その衝撃が凄くて、人形と心が通っていた現場を見られて本当に幸せだったと語りました。
人形のことを考えている時も、動かしている時も楽しいと話した真賀里さん。人形は同士であり分身。撮影中も「今度は向こうを向くからね」など会話しながら動かしているそうですが、この日も人形を置くときに、「ちょっと待っててね」と声をかけていたのでした。

持永さんの作品のテーマや目指していることは、子供が喜ぶものを作りたいということ。子供たちが楽しんで、喜んで、豊かな子供になってくれればと願って作品を作られてきました。それは師匠から愛弟子の真賀里さんへときっちり引き継がれたことでもあるのでした。

人形は人間にとっての祈りだと思うという真賀里さん。祈りの中の魂が優しさやクリエイティブを生み、そのすぐそばにあるのが人形だと思っているそうです。「人間の10本の指は物凄く大きいことができる。3Dも10本の指で作られるものかもしれないけれど、直接人形に触って動かすアニメーションは、アニメーターの心の迷いや揺るぎが映り、人に届きやすいと思う。そこが人形アニメの良さかなと思うので、受け手の人ももっと心豊かになって、人形アニメを好きになってくれたら、日本はもっと文化度が上がると思う」と語られました。
マリカちゃんも、プロセスこそ楽しいと感じられるものや、手の温度を感じられる思いの通ったものを普段の生活の中でも選んでいくことで、温度のあるアニメーションがもっと広がりやすい日本になって欲しいと同意。マリカちゃんの素敵な意見に拍手が起きたのでした。

持永さんのハートを受け継いだ真賀里さん。すごくグッとくるお話を沢山聴かせていただくことができました。


本作は持永さんと、持永さんが"芸術的な戦友"と呼んでいた中国人アニメーション監督・特偉さんがともに作ることを約束したシナリオ「二つの太陽」に込められたものを紐解くドキュメンタリー。
同じ景色が見たいと思う人に出会えることの尊さに触れ、感想を話しながらも思い出して涙ぐみ、見られてよかったと話したマリカちゃん。
持永さんと特偉さんという、同じ世界で、同じ気持ちを持った人達のお話、ぜひ今回のぷらすととあわせてお楽しみください!

アーカイブ

2018年

2017年

2016年

2016年3月

2015年

2015年3月
2015年6月
2015年7月

ブログを購読する ブログを購読する

WOWOWぷらすと 公式Twitter

WOWOWぷらすと 公式Facebook

ぷらすと 公式Instagram

WOWOWは初月料金なしでお得!ご加入はこちら

▲ページTOPへ