映画に描かれる夜(2015/8/4配信)

2015/08/07

映画の中の夜_re.jpg

今回のテーマは『映画に描かれる夜』
中井圭さん、添野知生さん、松崎健夫さん、浅賀優美さんでお送りしました!


この日は以前のぷらすと内でも話題に挙がった、映画に描かれる夜に注目!夜の演出の仕方はさまざま。夜にこだわった映画の数々を取り上げながら、映画の中の夜を掘り下げました!

まずは映画の中に夜を映すために必要な技術的なお話からスタート。
私たち人間の眼は光に対する感度が高く、受け止めて処理する幅も広いため、夜でも目に映るものはたくさんあります。でも、フィルムもデジタルも、人間の眼ほどの感度はありません。夜景が綺麗だなと思って写真を撮っても映らない、映っても見えているように撮れない、という経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。
映画にとって夜は作るもの。夜は基本的に撮影ができず、夜は作らないと映らないものなのです。

夜の表現の仕方、撮影の仕方は色んな手法が生み出されてきました。周りを暗くして一か所だけ明るく見せる方法、画面を濃い青っぽくする方法、カメラにフィルターをかけて光を落とす方法、夜らしい陰影をつける方法、などなど様々な工夫が。そのために照明も物凄く大事なポジションなのです。
近年は技術の発達で夜の撮影も可能になってきていたり、デジタルとフィルムにはそれぞれメリットデメリットがあったりと、テクノロジーの変化で演出や物語の選択肢も増えています。
夜は作るものだからこそ、表現の幅があり、作品によって様々な夜が生まれているのかもしれません。

そこで、夜の映画ってどんな作品があるのか、監督や撮影監督によってどんな特徴があるのか、それぞれ作品を挙げながら話していきました!

ホラー映画と宇宙に行っちゃうようなSFは、設定上暗い画になるケースが多いという添野さん。その典型はヴィン・ディーゼルの出世作「ピッチブラック」。主人公が光線に対して目が敏感で、周りが暗くなると目が使えるという設定もポイント。

健夫さんは名作にも多い、夜の間だけが舞台になる映画に着目。画面が暗いということと夜は犯罪のにおいがするということが結びついて、犯罪映画に一晩のお話が多いと話します。人があまりいないので、無法であることや解放感があり、カーチェイスが撮りやすいなどの理由も。
また、夜は朝が来て明るくなるまでのタイムリミット感があるのもポイント。日が昇ることで状況が変わることの象徴もあります。これを受けて添野さん、中井さんは「30デイズ・ナイト」をピックアップ。1か月間ずっと夜が続く季節がある北端の街を舞台に、バンパイアが来るお話で、これも夜が明ければ救われる設定。あさがゆちゃんも夜はバンパイアのイメージがあると話したように、後の多くの吸血鬼映画に影響を与えた作品でもあります。

そして、夜を撮っているけれど、それを朝や夕方に見せ、誰もそれを不思議に思わないパターンの映画が「天国の日々」。この作品は世界一美しい映画と言われますが、その由縁はほとんどのシーンをマジックアワー(日の出前と日没後の、地平線から光が漏れている時間)だけで撮っているから。そのため全体的に画面が暗いのですが、そこをノーマルの基準とすることで、明らかに夜を撮っていても、午前やお昼の体で見せているのです。

さらに、夜のシーンをこよなく愛する監督、得意とする撮影監督についても話されました!マイケル・マン、デヴィッド・フィンチャー、石井隆などなど夜を映す監督はたくさんいますが、中でも真逆の夜を映すのがクリント・イーストウッドとウォルター・ヒル。イーストウッドは真っ暗なままを撮るのが好きなタイプで、何が映っているか分からないレベルということも。その対極にあるのがウォルター・ヒル。彼は見えやすい夜を撮る監督で、地面を濡らして反射させるなど、明るいものを画面の中に点在させることで情報量を増やし、見る人が美しいと感じるような夜を撮ります。

そして最後に、皆さんのとっておきの夜の映画を教えて頂きました!
添野さんのとっておきは「現金に手を出すな」。ほぼ全編夜の作品ですが、オールロケで昼間に夜のシーンを撮ることはせず、影やネオンを映すなど、様々なテクニックできちっと夜として表現。ヌーベルバーグ出現以前のフランス映画のレベルの高さも良くわかる作品です。

健夫さんが挙げたのは「フィールド・オブ・ドリームス」。撮影経験者ならではの技術的なお話を沢山聴かせて頂きましたが、映画の神様がもたらした奇跡の夜を映したのがこの作品。映画で一番有名な「Is this Heaven? 」「No It's Iowa」のセリフのシーンで、トウモロコシ畑の向こうに幽霊たちが帰って行ったあと、オーロラのような雲が映るカットがあります。実は、突然そのシーンを取り出すと雲が出てきて、シーンを撮り終るとなくなったのだとか。そんな奇跡のワンシーンがあるのも映画の魅力の一つです。

『コラテラル』を挙げたのは中井さん。タクシー運転手が連続暗殺に巻き込まれる話ですが、LAの街頭の光の反射のさせ方を、タクシーのボディに塗料を塗って変化させることで、シーンの表情をコントロールするというやり方をしています。また、この映画ではコヨーテのシーンもポイント。この作品はデジタル撮影ですが、まだ技術がそこまで発達していない頃の作品なので、粒子が荒いようなタッチが逆にリアリティとなってドキュメンタリー要素も感じさせます。

改めて見直すと発見がいっぱい!
映画の雨やロケ地トークも盛り上がりましたが、色んなシリーズでパート2をしたいですね!

WOWOWでは【インサイダー】、【イコライザー】、【ブラック・レイン】をはじめ、夜が印象的な映画を多数放送中!

この3作は健夫さんセレクトの夜の映画!ぜひ今回のぷらすととあわせてお楽しみください!

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