吉田大八監督を語る。(2015/9/29配信)

2015/09/30

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今回のテーマは『吉田大八監督を語る。』
中井圭さん、松崎まことさん、早織さんでお送りしました!

ぷらすと、吉田大八監督を語るってよ。ということで始まった今回の吉田大八監督論。
伝説回となった "朝まで生桐島"をはじめ、「桐島、部活やめるってよ」でぷらすととも馴染み深い吉田監督。
この日は吉田監督の映画作品を辿りながら、吉田監督の映画表現を語っていきました!

まことさんの大学の直系の先輩だという吉田監督。まことさんは「桐島、部活やめるってよ」を通して吉田監督と初対面を果たしたと思っていたそうですが、実は大学の映画サークル繋がりで当時一緒に飲んだこともあったのだとか!そんな大学時代のエピソードも振り返りつつ、まずは吉田監督の簡単な経歴について伺いました。

吉田監督は鹿児島県出身。中学生から超進学校に通っていましたが、高校生の頃はそこまで勉強しなくていいやとロック少年だったそうです。地方に住んでいたので、東京に出れば音楽と接点を持てるのではと浪人した時に上京。テレビっ子だったものの、下宿にテレビがなく、仕方なく近くの名画座に行って映画を観出したそうです。音楽の延長ではあったものの映画に面白いと興味を持ち、大学で映画サークルに入って8mmで映画を撮っていたそうです。

でも、当時は職業映画監督になる方法はなく、就職を考えなければならない状況。そこで、吉田監督はCMの世界へ。最近ではEDWINのCMなども手掛けられています。
吉田監督はCMディレクターから映画監督になって成功した人ですが、日本で同じ様に成功している人は、決して多くはありません。それは、CMと映画では、文法も見せ方も表現する世界も根本的に違うから。往々にして相性が良くない場合があります。それでも吉田監督は上手くいった非常に稀有な監督なのです。

CMで培って、映画に活かされているものがいくつもある吉田監督。
今までの映画作品は全て原作ものですが、原作映画はその原作をどう捉えるかが映画化でのポイント。それはCMが対象の商品をどう撮るかと似ていて、吉田監督はそこをうまくスイッチすることができているのだそう。
また、ロケ地の見つけ方の上手さもCMで培ったのだろうとまことさん。
CMはパッと見て何かわかるのが大事。そういうところを見つけるのが上手く、「桐島、部活やめるってよ」の校舎の既視感の無さや、その立体感や構成なども秀逸。ロケハンを全部自分でしている訳ではないかもしれませんが、指示などもトータルとして強いと語りました。
さらに吉田監督の5作には、共通するキャスト・脚本家がほとんどいないのも特徴。
"吉田組"がいないことは、今後メリットになるかデメリットになるかは分かりませんが、適材適所の掴み方はとてもCM的です。

そんなCM出身の吉田監督が映画の世界に行ったのは、偶然、本谷有希子さんの戯曲「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」に出会ったことがきっかけ。吉田監督は映画に行くまでにCMディレクターの生活を20年やっていて、その最中は別に映画監督になる気もほとんどなかったのだとか。ところが、00年代になってCMディレクターが短編映画を撮るのが流行。クリエイター的には新しいことやりたいなと思ううちに映画にフォーカスしていったところはあったようです。
そんな中、たまたま駅で手に取った文芸誌の中に載っていたのが「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」。それを読んだときに、カチカチと画が組み立てられ、映画にできると思ったのだそう。そこで自分で企画書を書き、企画が通って、映画界に足を踏み入れることに。

そのデビュー作、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」では役者のコマのはめ方・引き出し方が凄いなあと感じたまことさん。佐津川愛美さんは映像作品の中ではベストアクトではとも評価。
「桐島、部活やめるってよ」では初めて映画出演する若い役者がいっぱいいた中、彼らの持つ少ない引き出しの中で対応する為に、ひとりひとりに合わせたアプローチ。
また、現場に行って新しい発見をしたいと思っている吉田監督。できる準備はするけれど、なるべく自分は真っ白でいて、現場で準備をした以上に面白い経験をしたい。その思いはキャスティングに関しても同じ様に働いているのではとまことさんは考察。
「紙の月」でも宮沢りえさん以外にも候補がいた中で彼女を選んだのは、一番どうなるか分からなかったから。結果的に想像以上に良くなり、そういうものを楽しんで作られたそうです

これまでに作られた5作の内、デビューからの2作品は自分で企画書を書いて作られた作品で、3作目以降は他の人が持ってきた仕事。吉田監督的には他の人からの仕事の方が自分っぽいと思っているようです。
でも、「桐島、部活やめるってよ」の話をプロデューサーが持ってきた時は、若い人の話は分からないし、手がかりがないし、どうやって断るかを考えていたのだとか。そんな中で引き受けた理由は、読後感でこれだ!というシーンが浮かんだから。「桐島、部活やめるってよ」でそれにあたったのは最後の前田と弘樹が屋上で2ショットになるクライマックス。吉田監督にとって、読後感は作品化するうえでの決め手。脚本全体も読後感にこれだと思ったひとつから発想して、そのシーンにもっていくために逆算して工夫を重ねているのです。

また、吉田監督の作品はどんでん返しがあるのは特徴的。でも、そのどんでん返しにドヤ顔感がないのです。
脚本を作る上で、一個デカいサプライズがあれば何となく成立するんじゃないかという作り方は往々にしてやりがちだという中井さん。でも、そこを盛り上げれば上手くいくというわけではなく、そこに至るまでの人物たち描き方や、観てる人にじわじわ感を予期させる積み重ねが超大事。単に大きいだけのサプライズは、インパクトはあっても、余韻も何もなく終わってしまう可能性だってあります。しかし、吉田監督はそこに至るまでに描くものをどういう風に見せるかがしっかり積み重ねられているので、ドヤ顔ではなく良い形でどんでん返しが活きるのだと語られました。

さらに、「桐島、部活やめるってよ」ではモノローグにこだわらないことを徹底しているのも特徴的。原作はモノローグが多いのですが、映画は原作に即さず一切排しているのです。
それは、吉田監督が画面で起こっていることが目で見てわかることを大事にしているから。
これは「紙の月」でもセリフ・説明無しに心模様や前後の状況を見事に描写。地下鉄のシーン、時計の描写、ホテルのグレードなどを通して、人と人との関係性が上手く描かれているのです。

「吉田大八話なら一晩中でも話せる!好きさで言うと日本で一番好きな監督かも!」と吉田監督について様々なお話をたっぷり語ってくれたまことさん。ここまでちゃんとステージアップしているし、これからもきっとおそらく2年に1本ペースで作るのだろうし、もうすぐ52歳で映画監督的にはピークを迎えるから今後どうなるか注目だと期待を寄せました。

まだまだ5本と寡作なので今から追うこともできる監督の一人!もう次回作も期待しかないですね!

WOWOWでは吉田大八監督作【紙の月】を10/18(日)よる9:00~初回放送!
吉田監督の演出によってより一層凄さを引き出されている主演の宮沢りえさんの演技にも注目です!
作品詳細はコチラ

また、『「桐島」、ぷらすとで話すってよ』のアーカイブもYoutubeにて公開していますのでこちらも是非チェックを!


今回のぷらすととあわせてお楽しみ下さい!

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