インターステラーを味わいつくす。(2015/10/13配信)

2015/10/14

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今回のテーマは『インターステラーを味わいつくす。』
中井圭さん、堺三保さん、添野知生さん、松崎健夫さんでお送りしました!
今回のぷらすとは、めがね100%、男だらけのインターステラー回!映画的視点、SF的視点、それぞれからインターステラーを掘り下げました!

まずはこの作品の立ち上げのエピソードから。
企画が立ち上がったのは05年。プロデューサーのリンダ・オブストがSF映画を作りたいということで理論物理学者のキップ・ソーンと二人でプロットを組み始め、07年にあらすじと科学解説を作成。それをもとにクリストファー・ノーランの弟で脚本家のジョナサン・ノーランが脚本を執筆。脚本家組合のストライキ、当初予定されていたスピルバーグ監督の降板、別作品の製作などで紆余曲折を経て、クリストファー・ノーランが監督になり12年の年末に契約がまとまって撮影へ。
今作のキーパーソンとなるのがキップ・ソーン。原案者であり、製作総指揮という位置付けでアドバイザーの役割も担っています。彼は電磁気学の権威であるジョン・ホイーラーの弟子で、ブラックホールや重力理論の研究で有名な第一人者。劇中黒板に書いてある数式はキップ本人が現場で書いているそうです。
キップはスピルバーグが監督予定だった最初の段階では、"物理法則には絶対従う事""物理法則的にまだはっきりしてないところのSF的アイディアの飛躍はあってもいいけれど、科学的妥当性があることに限る"ということでシナリオを進めていたそうですが、ノーランの段階では科学的におかしくても気にしなくていいということにもなったそう。ジョナサンの作り上げた脚本にクリストファーが考えていたプロットを混ぜたものが作品となりましたが、最終的には、キップ的に絶対譲れない点はクリストファーに取り下げてもらったそうで、それ以外は納得しているとのこと。作品には出ていないのでわかりませんが、どんなプロットがあったのかは気になるところです。

撮影的にはIMAX撮影をしていることがポイント!ノーランはこの映画以前から部分的にIMAXのカメラを使った撮影をしていますが、今作では全部ではないながらもできる限りIMAXカメラで撮影。健夫さんは今回16mm、35mm、IMAXのフィルムを持ってきてくださいましたが、IMAXフィルムは一同驚愕の大きさ!70mmふたコマ分の大きさです。そのフィルムが束になるので、カメラのサイズも相当な大きさ。据え置いてしか撮れずパンするのも難しいような機動性のサイズですが、インターステラーでは実物大宇宙船のセットの中などもIMAXで撮影。そのために、手持ち用カメラのシステムも組んでいるのです!
フィルムが大きいということは、その分情報量が多く詰まっているということ。そしてデジタルとフィルムでも情報量は圧倒的に違います。4Kはまだフィルムに勝てないと言われるほどで、フィルムの情報量の多さを踏まえながら、ノーランのフィルム上映へのこだわりや目指すものについても語られました。

そして、さすがノーランならではとも言うべきは、普通はCGでやればいいのに思うシーンを、しっかり現場でセットや特撮を使って撮影していること。
砂嵐を実際に吹かせ、宇宙船の外や5次元の世界はプロジェクターで投影し、TARSをはじめとしたロボットは板の裏に人が入って動かし、人はCGで消すというほどのこだわり。
しかも、家族が住む家は、中での撮影の光の具合も見据えて、方角まで計算して建築。さらになんとトウモロコシ畑は、標高が高くて本来トウモロコシは育たないと農家に言われた土地であの高さになるまで育てているのです!
撮影地のカナダに住む人からすればリアリティがないかもしれません。でも、植物が育たないという映画の中の世界を現実でも実践すれば、本来なら育たないものが育つ画になるという意図のもと、わざわざトウモロコシが育たない、山が見える場所を選んでいるのです。
なんとノーラン、「俺の映画ではここでトウモロコシが生える」と言い切ったのだとか。もはや「CGでやれよいい加減にしろ」という技術スタッフの舌打ちが聞こえてきそうな徹底ぶり。細かいところに気を使わないのではなく独自の美学があって、"現実がどうであれ俺の中の現実を映画化するから譲らん"というのがノーランの哲学のようです。

またSF的観点からは、巨視的な宇宙SFにヒューマンファクターをどう取り入れて映画にするかに正面から取り組んでいるのが凄いと添野さん。小説ならできても映画では難しいというのはまさにこの要素で、本来、巨視的宇宙SFにヒューマンファクターはいらず、人間ひとりひとりがどうなろうと知ったこっちゃないのです。世界が滅びようとしているなかで一家族の話を追いかけるという、個人の話と世界の話を繋ぐバランスは難しく、必然性がないと物語として出来上がりませんが、そのドラマのつなぎ方が上手だと堺さん。これまでにもそういう映画は何本かあり、ヒューマンファクターの扱いはそれぞれでしたが、同じ流れの過去作をどう乗り越えて行くか、先行例を良く研究されているとも語られました。

また、ノーランは本当に科学好きなのに、SFファン的には細かい描写や設定に違和感を感じてしまうところがあるという堺さん。何か一言でも説明や映像があれば意味が通るのに、と惜しく感じるところもあるそうです。そこで、なぜマンの星の氷の雲は浮くことができるのか、高重力で1時間が7日分の星なのになぜ立って歩くことができるのか、などなどSFファン的疑問点を補足してもらいました!凄く細かい点ではありますが、例えば日本を描いたハリウッド映画で着物の着合わせが逆くらいの違和感のようです。

とはいえ、もちろんSFファン的にも素晴らしいところもいっぱいある!と堺さん。とくに、キップが気合いを入れて作ったガルガンチュアの映像は絶賛!降着円盤が周りにあって、宇宙ジェットが噴出しているブラックホールの画をあんなふうに視覚化した人は今までいないのだそう。ブラックホールはすごい重力で、普通は潮汐力で死ぬと考えられていますが、今作では死ぬ前に時空の水平線に入るということなのでした。

今作で音楽を担当したのはハンス・ジマー。なんと今回はほぼ全編オルガン!パイプオルガンは空気使うので空気の振動が出ますが、それは音色だけでなく音楽の中に含まれることもハンスは意図。振動や空気の出し入れをすることで音が鳴るということ自体が、宇宙空間で人が生きる呼吸に繋がるという意図でオルガンでの楽曲製作を始めたのだそう。

また、12というのは今作でのキーとなる数字。鍵盤も1オクターブは12鍵、母船も12個に分かれていて、12は時を表す数字でもあり、母船がくるくる回るときに音が回ることと鍵盤を組み合わせて弾いていくこと自体も同期されているのだとか。ちなみにサントラは星座表になっていて、盤に書いてある日付と時間を合わせると今の夜がどう見えるかわかるという良くできた仕様なのです。

この他にも、重力についてや5次元の世界の考え方についてなどSF的解説も含めたっぷりインターステラーの世界を掘り下げた今回の配信。トウモロコシ畑しかり、物理法則しかり、新たな発見も沢山ありました!
中でも健夫さんが鳥肌立ったという発見がアン・ハサウェイ演じるアメリアの名前が呼ばれない理由。エンデュランス号が生還した探検隊の船から験を担いで名付けられているように、アメリアは遭難した飛行士がいるので名字でばかり呼ばれていたのです。すごく細かい事ですが、どれも全部意味を持って作られているインターステラー。もう一度細部までじっくり見返したくなる配信となったのでした!

【インターステラー】は10/15(木)よる7:00~吹替え版を、10/17(土)午前11:00~字幕版を放送!
さらに、10月は【インターステラー】の初放送を記念して、SF映画26作品を絶賛放送中!
現在次回の放送予定がないものもWOWOWメンバーズオンデマンドにて配信中なので、ぜひ合わせてお楽しみ下さい!
ラインナップはコチラ

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