ヒゲ学入門(2015/11/4配信)

2015/11/05

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今回のテーマは『ヒゲ学入門』
立川吉笑さん、丸屋九兵衛さん、池田裕子さんでお送りしました!

ヒゲに隠された文化史的な意味に迫った今回の配信。ゲストはぷらすとファミリー随一の特徴的なヒゲを持つ丸屋さん!伸ばし始めたのは20代末、編み始めたのは去年、ほどくと乳首に届くくらい長い、鼻風邪を引きやすくて鼻をかんでお肌パリパリになりがちだったけれどヒゲのおかげでばっちりプロテクト!といった、知られざる丸屋さんのヒゲ事情も明らかに!

≪社会的側面から見たヒゲ≫
番組はまず社会的側面からヒゲを考察。ヤッピーやヒップスターなど意識高い系の人たちとヒゲの関係や、立場が高い、威厳がある、男らしい、ちゃんとお手入れしないと汚い、といった様々なヒゲのイメージが挙げられました。
日本ではサラリーマンや採用試験の場でヒゲ面の人は少ないというイメージがありますが、各国でのヒゲへの賛否やヒゲへのイメージは、宗教や歴史によって大きな差があるのです。

≪宗教的視点でのヒゲ≫
そこで、まずは宗教的視点でのヒゲから掘り下げました。
今回は旧約聖書を持ってきてくれた丸屋さん!レビ記によると、「彼らは頭の頂を剃ってはならない、ヒゲの両端を剃り落としてはならない」という意味のことを書かれた部分がいくつかあります。つまり、旧約聖書の根本思想は「ヒゲは剃るな、髪は伸ばせ」。それが顕著に出ているのがユダヤ教徒で、神が与えた物だから傷つけるなというのが基本です。
他にも旧約聖書に影響を受けているのはキリスト教の中のアーミッシュや、ジャマイカのラスタファリアンが。特にラスタファリアンにとって旧約聖書は聖典、全ての生活の基本が旧約聖書です。

髪もヒゲも爪も、何かわからないけどほっとくとどんどん伸びて行くものは神の力や魔力を感じさせます。だからこそ、呪術を書けるときに相手の髪や爪の切れ端を用いられるのかも。また、伸びるということはそれだけの時間経過を表すということ。それは、どれだけ神に帰依したかということを具体的に見せる事でもあるのです。

ちなみに、ヒゲと一口に言っても部分によって名称は違います!
口ヒゲ:髭(し)/mustache
あごヒゲ:鬚(しゅ)/beard
頬ヒゲ:髯(ぜん)/whiskers
実はこれを全部一言でヒゲというのは日本だけなのだとか!漢字も英単語も全然違うのです。

そして、髪を伸ばさずに丸めるのが仏教。これは、仏教の前にあるヒンドゥー教の出家僧が髪を伸ばしっぱなしであることへのアンチテーゼとして丸めた説があるという丸屋さん。同じインドでも、例えばヒンドゥー教とイスラム教を批判的に統合したと言われるシーク教は髪もヒゲも伸ばします。イスラム教はもともと旧約聖書に基づきますが、口ヒゲは整える・あごヒゲは伸ばしまくる、というのが基本。しかし、ムハンマドより前のアラブの皆さんはあごヒゲを剃って口ヒゲを伸ばしていて、ムハンマドは古いアラブの伝統を破壊する為に丸っきり逆をしたというお話も語られました。

≪歴史上のヒゲ≫
さらに、歴史上のヒゲの変遷も深掘り!
ヒゲはある意味、権威に負けない従わぬ者の象徴。なので、戦国武将は基本ヒゲがデフォルト装備。ないとまともに見てもらえないので、豊臣秀吉はしょうがなく付けヒゲをしていたほど!それが16世紀を通じてありますが、江戸時代が訪れ、徳川幕府体制が固まって刃向かえなくなったとき、戦国的気風を排除しようとヒゲ禁止令が発布されます。加藤清正の様にさりげなく拒否した人もいますが、基本は町人も武士もヒゲがありません。
ところが黒船がやってきて欧米のパワーとヒゲを見せつけられ、文明開化で髷を切ると同時に、"何となくヒゲかっこいいかもブーム"が到来。伊藤博文、板垣退助、大久保利通など明治の偉い人はみんな基本的にヒゲ。19世紀後半のヒゲとタトゥーは、俺はこんなに金と時間があるアピールだったのです。

丸屋さんにとって有名なヒゲの人として挙げられたのは関羽ですが、あの時代の漢民族の男性は全員長髪で長ヒゲ。これには伸ばさなければいけない社会的圧力があります。それは、伸ばしていないと宦官だと思われるから。
宦官とは去勢された公務員の事。去勢してしまうと男性ホルモンが出ず、だからひげが伸びないと思われるのです。宮中で働く男性は去勢しておかないと、大奥で女性に手を出すかもしれない、そして子孫を残せると自分で王朝を作ろうとするかもしれない、という君子にとって2重の意味での安全保障なのです。宦官となるのは罪人の場合、戦争捕虜の場合、何も持たない家庭の子供の唯一の出世手段、など色んなパターンがあり、宦官は世界中様々な地域で行われていますが、とくに漢民族やオスマン帝国の宦官人口は世界でも多いところだそうです。

≪生物学的なヒゲ≫
ここまで様々な文化的側面からヒゲを考察してきましたが、そもそも生物学的にヒゲとはどういう役割があるのかにもフォーカス。
ヒゲの役割のひとつにセックスアピールがあります。その例として挙げられたのがライオンのたてがみ実験。アフリカでは、涼しいところに生息するライオンの雄はたてがみがモワモワで、熱いところだとたてがみが無いという違いがあります。そこに、たてがみがない地域に、たてがみモワモワのライオンのぬいぐるみを持っていくと、それに怖れをなす傾向があるのだとか。これは人間におけるヒゲと同じで、性成熟の証明。ヒゲは第二次性徴を迎えて初めて生えるもの。ヒゲもたてがみも、自分は性的に成熟しているという目印なのです。
これをもっと原始的な時代で考えると、その証明をもって女性が子供を作れると判断しているが故に、ヒゲがあるorヒゲが濃い男性の子供が多くでき、その分多く残り、ヒゲが濃い遺伝子がどんどん蓄積されたという説も。
動物のヒゲと人間のヒゲは根本的に違うもので、人間のヒゲは猿人だった先祖から毛が薄くなり、顔から毛が消滅した後で二次的に獲得したものですが、それがここまで立派に成長したのは、性成熟を見込んだ女性に選択されてきたから。そう考えると、宦官にヒゲが伸びなくなるのが男性ホルモンと関係することも理屈として合点がいきます。

人類の進化という点では、東アジア人の身体的特徴はバイカル湖セオリーで説明できると丸屋さん。
東アジア人の先祖が進化したのがシベリアのバイカル湖周辺。このあたりは風の湿り気も考えると北極より寒いかもしれないと言われる極寒の地域。ここでの進化が今の東アジア人に至りますが、例えば鼻が高くないというのは、鼻を低くしようとしたわけではなく、鼻が高いと凍傷で落ちてしまうために淘汰されたから。ヒゲを含む体毛が薄いのは、毛が水分を保持すると凍ってしまうから。この理論で様々なことの説明ができるそうで、いまでこそ手足が長く、鼻高で、目が大きい白人も北方にも住んでいますが、本来は暖かいところの出身。ルーツはインド人系の形質で、色が白くなったのは二次的適応なのだそうです。

≪エンディング≫
この他にも黒人がヒゲを伸ばす理由、ファンタジーの中のヒゲ、ゲイカルチャーとヒゲ、などなど様々な角度からヒゲを掘り下げた今回。
形も意味も多くのタイプが生まれてきましたが、今はヒゲの意味も非常に多様性がある時代。女装男子におけるヒゲのベクトルの変化や、男装女子がヒゲを装着するのかが今後の注目ポイントだと丸屋さんは語りました!

WOWOWでは、口ヒゲがトレードマークのインチキ美術商モルデカイが、幻の名画をめぐる陰謀に巻き込まれる【チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密】を12/12(土)よる9:00~初回放送!
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ぜひ今回のぷらすととあわせてお楽しみ下さい!

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