寺山修司の世界 初級編(2015/11/13配信)

2015/11/16

寺山修司の世界_re.jpg


今回のテーマは『寺山修司の世界 初級編』
中井圭さん、笹目浩之さん、松江哲明さん、浅賀優美さんでお送りしました!


今回は寺山修司記念館の副館長、笹目さんが記念館のある青森から番組の為に駆けつけてくれました!ありがとうございます!
今年、生誕80周年の寺山修司。基本的なことはもちろん、初級編と言いつつちょっと踏み込んだところまでお話してもらいました!

≪職業:寺山修司≫
番組は笹目さんと寺山修司との出会いを伺いつつ、そもそも寺山修司ってどんな人?という基本情報からスタート。
寺山修司は、"職業:寺山修司"とも言うべき、非常に多彩な人。俳句、短歌、詩、監督、劇作家、演出、競馬、などなど、各分野で素晴らしい作品を残した表現者です。
特に力を入れていたのが演劇実験室「天井桟敷」。
67年に寺山修司が結成した劇団で、唐十郎の状況劇場(通称:紅テント)、鈴木忠志の早稲田小劇場、佐藤信の黒テントなどと並び、当時のアングラ演劇界のトップで活躍した劇団です。
笹目さんが寺山修司に出会ったのも演劇から。一方で松江監督は文庫本から入り、短編映画のVHSで決定的な衝撃を受けたそう。さらに、中井さんは映画の印象の強さに加え、競馬エッセイの印象も大きいと言います。
この3人の様に、ある一定のジャンルに留まらず、非常に接触面が多い寺山修司。アングラやサブカルチャーの印象が強いですが、俳句や短歌は中高生の教科書にも載っているのです!00年くらいから増えているそうで、トークショーなどでどこから興味を持ったか聞いてみると、最近では教科書からと言う人も増えているとか。
どのジャンルもそれなりに評価できる素晴らしい作品を残している人なので、今から寺山修司に触れる人は入口がいっぱいあるのです!

≪寺山修司のカリスマ性≫
今も引き継がれる寺山修司の人気は、やはりそのカリスマ性が理由。
論客であり、時代に合わせて作風を変え、当時の一人のリーダーとして国を引っ張りました。しかも、不良性やスキャンダラス性がありながら、言っていることは芯を食っていて的確。当時はアウトローな位置付けではありましたが、教科書に載ってもおかしくない人物でもあるのです。
100人中100人が大好きというような万人受けはしないけれど、50人は大好きで50人は大嫌いという風に思い切り分岐するタイプで、そのうち1,2人は人生レベルの影響を及ぼすほどのカリスマ性。時代が寺山に追い付くとも表現されるように、行きついたところに寺山がいたというような才能を発揮しているのです。

≪天井桟敷の演劇≫
番組中盤は活動の主軸ともなった演劇活動にフォーカス。"寺山修司は一人ではなく、天井桟敷の美術や装置や音楽やそのすべてを集合体にして構成したものが寺山だ。"ともよく言われますが、寺山修司という才能に皆が集まり、天井桟敷に関わった人は2000人にも及ぶと言われるほど。交友関係も広く、才能を見つけるのも物凄く上手い人でした。

寺山修司の芝居は難しい、とハードルが高そうな印象を持っている人もいるかもしれませんが、あのシーンが綺麗だったなど、ゆるく考えるのでOKだと笹目さん。芝居は常に劇場の中だけで完結するものではなく持ち帰るもの、というのが寺山修司の考え方。
常に質問を投げかける姿勢なので、ひとつでも感銘を受けたことや、心に残った台詞を持ち帰れば良いのです。

≪天井桟敷と紅テントの乱闘事件≫
アウトロー的イメージのある天井桟敷ですが、どちらかと言うと武闘派集団なのは唐十郎の紅テントの方。天井桟敷はクールで都会的で軟弱な文化系タイプでした。
天井桟敷と紅テントで有名なエピソードといえば乱闘事件。
69年、天井桟敷館が渋谷にでき、紅テントはそのすぐ近所で「少女都市」を上演していました。紅テントは天井桟敷館ができたときに、パチンコ屋さんの前にある様な花輪を盗んで贈ったそう。その意趣返しとして、天井桟敷が贈ったのは葬式用の花輪。それは寺山ではなく、劇団の人が気を利かせて贈ったそうですが、おかしいと思った唐が寺山に話を聞きに行ったところで小競り合いに。天井桟敷館の喫茶店のガラスを紅テントの四谷シモンが蹴って割ってしまったのを通報され、留置されるほどの乱闘騒ぎとなりました。

このエピソード、なにより興味深いのが寺山の自意識。笹目さんは後に寺山修司の遺品や天井桟敷の備品を整理していたところ、その事件について書かれた全ての新聞記事が入っている封筒を発見!今私たちがネット上でエゴサーチをするのと同じ様に、寺山修司というフレーズが少しでも出る新聞記事をスクラップしていたのです。

しかもその封筒の表書きには
『路上演劇 葬式の花輪 主演/寺山修司、唐十郎
協力/渋谷警察署 宣伝/朝日新聞、読売新聞』
の文字が!
まさに全てを虚構化するような寺山の意識やスタンスがその封筒に現れているのでした。

≪表現者なら必ず通過する≫
松江監督は寺山修司の影響を"麻疹的"と表現しましたが、必ずかかる麻疹の様に、クリエイターは寺山修司を通過するのです。
つまり、意識していようが、していなかろうが、知っていようがいまいが、気付いたら寺山修司のエッセンスを通過しているということ。たとえば自分自身は寺山作品に直接触れておらず、違う人から影響を受けている場合でも、その影響を与えた人が寺山修司や天井桟敷の影響を受けている、といったように、無意識的に影響されているのです。
ゲリラ撮影、セルフドキュメンタリー、メタフィクションとしての描き方はもちろん、どんな表現も遡ると寺山修司がやっていること。寺山の表現活動がクリエイターに響き、そのクリエイターのファンが寺山に触れ、とどんどん連動して広がっていったのでした。

≪オススメ作品≫
もちろんすでに寺山作品に詳しい方もいらっしゃると思いますが、これから寺山修司の世界に入る人は何から見るのがいいか、オススメ作を伺いました!

初心者はまず初期の短歌集、特に角川文庫の「寺山修司青春歌集」「寺山修司少女詩集」から入るのが、情景が浮かびやすいので分かりやすくて良いのではと笹目さん。
映画ならはATGの3作品「書を捨てよ町へ出よう」「田園に死す」「さらば箱舟」から入って寺山ワールドになじむのがオススメ。
松江監督が好きな「ボクサー」はちょっと上級者向け。凄く珍味的で、いろいろ食べてぐるぐる回った後に、腑に落ちる作品だとのことです。

≪エンディング≫
様々な入口を持つ寺山修司の世界。
たとえば園子温監督のメタフィクション的構成やアヴァンギャルドな感じも寺山修司の影響があると松江監督。だからこそ、園監督作品好きの人は寺山修司にも入りやすいはず!
笹目さんも、田口ランディやサカナクションの山口一郎など寺山DNAを持つ人がたくさんいると言います。寺山作品からヒントを得ることは多いと思うし、寺山修司というものを触媒にして、ぜひみんな遊んでほしいし、チャレンジしてもらいたいと語りました。

また、寺山修司の映画が映画だけで終わらず、もっと本を読みたい・知りたいと思えるのは映画監督としては珍しいと松江監督。寺山修司は個人的な思想や想いを映画でも昇華できた演劇の人。特に今後は映画でない別の表現をやっている人が映画を作るときに、お金をもらって個人的な思想を表現するのが難しくなる時代。だからこそ、寺山作品は見ると他が知りたくなる入口であり、映画として新しいという珍しい人なので、どんどん見つづけてハマって欲しいと話しました。

寺山修司の作品を中心に30年もアングラ演劇を続ける「月蝕歌劇団」。"暗黒の宝塚"と呼ばれる地下アイドル的女優集団の表と裏に完全密着し、その真髄に迫るドキュメンタリー作品です!

様々なジャンルに散りばめられた寺山修司の世界の入口。これから足を踏み入れる人も、もうすでにどっぷりな人も、ドキュメンタリーを通じてその世界の一端に触れてみてください!

アーカイブ

2018年

2017年

2016年

2016年3月

2015年

2015年3月
2015年6月
2015年7月

ブログを購読する ブログを購読する

WOWOWぷらすと 公式Twitter

WOWOWぷらすと 公式Facebook

ぷらすと 公式Instagram

WOWOWは初月料金なしでお得!ご加入はこちら

▲ページTOPへ