2018/04/26 up

「あの作品がWOWOWで観られるとは!」「友罪」瀬々敬久監督の推しは90年代台湾の名作

 近年精力的に新作を撮り続けている瀬々敬久監督が、薬丸岳の長編小説『友罪』を映画化した。ある町工場で働き始めた、元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。町工場で出会い、同じ寮で暮らすうちに次第に友情を育んでいく二人だったが、ある事件をきっかけに益田は鈴木が17年前の連続児童殺害事件の犯人"少年A"ではないかと疑い始める。

「現実の事件がスタートにあったことは事実ですけど、僕たちが作っている"少年A"は実際の事件の"少年A"とは違う。だからこそできる限り現実からは離れようと割り切って、映画ならではの希望を託そうと思ったんです」

 事件そのものではなく、事件のその後、取り返しのつかないことに対してどう向き合うのかというテーマ性に惹かれたという瀬々監督。「答えを探すために作っているようなところがある」のだという。

「『友罪』でも、明快な答えではないですけど、感触のようなものにたどり着けたという思いはあります。生田くんと瑛太くんが『俺たちも外で飲もうよ』というシーン。最後に瑛太くんが、恥ずかしそうなんだけど、ちょっとにこやかな表情をするカットがあるんです。ああいう小さな部分に、2人の結びつきみたいなものが見える。脚本に書かれてはいないし、僕も想像していなかった役者の表情が、作品にもたらすものってすごく大きいし、そういう積み重ねが映画をある方向性に導いてくれたと思います」

 WOWOWの放送ラインナップではエドワード・ヤン監督の『クーリンチェ少年殺人事件』にいち早く目をとめて、「まさか『クーリンチェ~』がWOWOWでかかる時代がくるとはすごい」と声をあげた。

「『クーリンチェ~』は最近になってリバイバルされるまで、長らくVHSしか出てなかったんですよね。僕は90年代に劇場で観たんですが、やっぱり伝説になるだけの映画だと思いました。台湾には独特の歴史があって、本省人と外省人と言いますが、台湾にもともと住んでいた人(本省人)と、1945年以降に中国大陸から渡ってきた人(外省人)との間の争いがずっとある。そういう民族内部の対立の歴史をちゃんと描きながら、不良の少年少女たちのやんちゃなドラマになっているんです。エドワード・ヤン監督は都会派の青春映画が得意なんだけど、ここまで歴史を描いたことはなかった。歴史という大きいものと青春という小さいものが混然としているのがいいんです。あと、なんといっても主演の2人の初々しさが素晴らしい。チャン・チェンは今も活躍していますけど、あの女の子は今どうしてるんだろうなあ(笑)」

detail_180426_photo02.jpg©1991Kailidoscope

 エドワード・ヤン以外にも、台湾映画の巨匠ホウ・シャオシェンの映画に感銘を受けて、台湾の歴史にも興味を持つようになったと語る瀬々監督。

「80年代後半から、当時の僕は20代後半でしたけど、台湾映画にハマりました。ホウ・シャオシェンの『童年往事 時の流れ』なんかもすごく歴史性を背負った作品ですよ。映画によって知らない国のことを教わることって多いですし、大きな役割だと思うんです。『友罪』も、意識したわけではないですけど、やはり時代を背負っている部分はある。SNSで個人的な発信をする時代で、そこには功罪もあるし、一方で旧態依然とした雑誌社みたいなマスコミも動いている。そういう"われわれが生きている時代"を作品が必然的に背負うことになったとは思いますね」

取材・文=村山章
撮影=坪田彩


WOWOW FILMS『友罪』

5月25日(金)TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー
監督・脚本:瀬々敬久
原作:「友罪」薬丸岳(集英社文庫刊)
出演:生田斗真 瑛太 夏帆 山本美月 富田靖子 佐藤浩市
gaga.ne.jp/yuzai

detail_180426_photo03.jpg©薬丸岳/集英社 ©2018映画「友罪」製作委員会

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