2019/11/29 up

師走を爆走せよ! 映画に登場するクセが強いドライバー名鑑

「TAXi ダイヤモンド・ミッション」12/6(金)よる9:00他

文=佐々木優

 歴史の節目となった令和元年、2019年も残りわずかとなった。いろいろなことがあった1年をハッピーに締めくくるためにも、最後までエンジン全開で駆け抜けたいもの。そこで、この12月、WOWOWで放送される車にまつわる作品の中から、"クセが強いドライバー"をピックアップ。常にわが道を行く彼らの生きざまをヒントに、慌ただしい師走をパワフルに乗り切ろう!

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スピード狂の問題児警官×間抜けなタクシー運転手の新生凸凹コンビ

 フランスのマルセイユを舞台に、陽気な世界最速タクシー・ドライバー、ダニエル(サミー・ナセリ)と、ドジな新米刑事エミリアン(フレデリック・ディーファンタル)の活躍を描く「TAXi」シリーズ。リュック・ベッソンが製作&脚本を手掛けたこの大ヒット・シリーズも、5作目の『TAXi ダイヤモンド・ミッション』('18)でキャストを刷新しての再始動となった。
 今回、新たにバディを組むのは、パリ警察からマルセイユに左遷された警官マロ(フランク・ガスタンビドゥ)と、ダニエルのおいにあたるタクシー・ドライバーのエディ(マリク・ベンタラ)。ダニエルの愛車だった伝説のプジョー407を見つけ出した新生凸凹コンビが、フェラーリやランボルギーニを駆り、世界最大のダイヤモンドを狙うイタリア人強盗団を追ってマルセイユの街を爆走する。

detail_191201_photo02.jpg『TAXi ダイヤモンド・ミッション』
©2018 - T5 PRODUCTION - ARP - TF1 FILMS PRODUCTION - EUROPACORP - TOUS DROITS RÉSERVÉS

 マロは飛び抜けたドライビング・テクニックで検挙率No.1を誇るスーパー警官なのだが、スピード狂かつプレーボーイで、自分は花形の特殊部隊こそがふさわしいと豪語するかなりの自信家。一方のエディはといえば、ダニエルのDNAを受け継ぎながら運転はからきしダメで、やることなすことが底抜けに間抜けな男。とはいえ、マルセイユの街を隅々まで熟知するエディの、人の良さからくる幅広い人脈が後々大いに役立つことになる。
 目を合わせると危険なサイコパス男や、食べ物と男に目がない女性警官といったマロの同僚たち、さらに本作でマルセイユ市長に成り上がったことが判明する名物署長など、本作はクセが強い人間たちの見本市さながらだ。

detail_191201_photo03.jpg『TAXi ダイヤモンド・ミッション』
©2018 - T5 PRODUCTION - ARP - TF1 FILMS PRODUCTION - EUROPACORP - TOUS DROITS RÉSERVÉS

一晩で50台の高級車窃盗に挑む伝説のカー泥棒

 『60セカンズ』('00)は、ニコラス・ケイジ主演の痛快カー・アクション。主人公のレインズは、どんな車も60秒以内で盗み出すという高級車専門の窃盗のエキスパート。一度は足を洗った彼が、兄に憧れて同じ道に進んだ弟の命を救うため地元に帰ってくる。弟に貸しをつくった裏組織の要求は、3日以内に50台の高級車を盗み出すこと。彼は散り散りになっていたかつての仲間たちを呼び寄せ、一晩で一気に50台を盗む電撃作戦を立案。前代未聞の危険なミッションに挑む。

detail_191201_photo04.jpg『60セカンズ』12/20(金)午後0:30他
© Touchstone Pictures

 自分の腕には絶対の自信をもつレインズは、その一方で家族を愛し、仲間との絆を大切にする単純明快な熱い男。その元カノをセクシーに演じたアンジェリーナ・ジョリー、ベテラン・メカニック役のロバート・デュヴァルをはじめとする個性豊かな脇役も光る。ド派手なカー・アクションはもちろん、俗にいう高級車からスポーツ・カー、マッスル・カーや歴史的なビンテージ・カーなど盗みのターゲットとなる車の豪華さも見どころだ。

detail_191201_photo05.jpg『60セカンズ』
© Touchstone Pictures

殺された息子の復讐に燃える、根は真面目な除雪作業員

 ノルウェーのハンス・ペテル・モランド監督が自作『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』('14)をハリウッドでセルフ・リメイクした『スノー・ロワイヤル』('19)。リーアム・ニーソン演じる主人公ネルズ・コックスマンは、冬はスキー・リゾートとしてにぎわう米コロラド州の田舎町で長年、除雪作業員として従事してきた。しかし、彼の穏やかな人生が一変し、人格が様変わりする悲劇が訪れる。愛するひとり息子がヘロインの過剰摂取で死亡したのだ。
 息子が麻薬組織の手違いで殺されたことを突き止めた彼は、怒りのあまり3人の実行犯を立て続けに殺害、最終ターゲットを組織のボスに定める。そしてその復讐劇は、ボスが雇ったヒットマン、麻薬組織、敵対するネイティブ・アメリカンのマフィア、地元警察をも巻き込んだ血みどろの抗争へと発展していく。その様は、まさに時間差の死屍累々。

detail_191201_photo06.jpg『スノー・ロワイヤル』12/27(金)よる9:00
©2019 STUDIOCANAL SAS ALL RIGHTS RESERVED

 目的遂行のため、片道3時間をかけて何度も州都デンバーを往復し、犯罪小説を参考にした手法で黙々と死体を処理しつつ、その間も決して除雪作業は忘れない。純粋な復讐心に燃えた、真面目で勤勉な男が手を染めていく犯罪は、それが純粋で真面目であるが故にブラックな余韻を残す。クセ者ぞろいの登場人物や二転三転するストーリーテリングはクエンティン・タランティーノ作品を想起させるが、ペテル・モランド監督が生み出した世界観は、いわゆるハリウッド映画とは一線を画して独特の魅力を放っている。

detail_191201_photo07.jpg『スノー・ロワイヤル』
©2019 STUDIOCANAL SAS ALL RIGHTS RESERVED


まさかの実話! 麻薬カルテルも翻弄する老齢の運び屋

 最後に、クリント・イーストウッドが監督&主演を務めた『運び屋』('18)は、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事をもとにしている。
 主人公は、かつてはユリの新種開発で成功したものの、インターネットのフラワー・ビジネスに駆逐され、90歳を目前に無一文になったアール・ストーン。社交的で友人たちには愛されている反面、ないがしろにした家族とは断絶状態で孤独をかこっている老人だ。金に困った彼は、メキシコの麻薬カルテル関係者のスカウトを受け入れてコカインの運び屋になり、一度に十数億円相当の大量のブツを運ぶ仕事を次々に成功させていく。
 ラジオから流れる懐かしのオールド・ソングを口ずさみながら、町から町へと気ままにピックアップ・トラックを走らせるだけで転がり込んでくる大金を何のためらいもなく受け取り、新たな生きがいとばかりに悪事にのめり込む。

detail_191201_photo08.jpg『運び屋』12/29(日)よる9:00
© Warner Bros. Entertainment Inc.

 とはいえ、彼にとってその仕事は、自分のそれまでの生き方を問い直し、失われた家族との時間を埋め合わせる作業でもあった。口は悪いのに会話は機知に富み、麻薬カルテルのボスの前でも動じることなく泰然自若。ボスがあてがってくれた美女を相手に年がいもなくハッスルしてしまう。家族に対してはすまないと思いながらも、その気持ちをうまく表すことができない。そんな複雑な人間像を、イーストウッドは軽々とチャーミングに演じてみせる。その名演を、心して目に焼き付けたい。

detail_191201_photo09.jpg『運び屋』
© Warner Bros. Entertainment Inc.

  • 文=佐々木優
    映像エンタメ誌やweb媒体を中心に執筆する映画ライター。編集プロダクション、出版社、ピンク映画などを経てフリー。1964年生まれ。


[放送情報]

TAXi ダイヤモンド・ミッション
WOWOWシネマ 12/6(金)よる9:00
WOWOWプライム 12/9(月)よる8:15
WOWOWプライム 12/31(火)午後5:50

60セカンズ
WOWOWシネマ 12/20(金)午後0:30
WOWOWプライム 12/30(月)よる8:00

スノー・ロワイヤル
WOWOWシネマ 12/27(金)よる9:00

運び屋
WOWOWシネマ 12/29(日)よる9:00

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