2019/12/01 up

12月のWOWOW初放送映画 厳選3作品

「かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-」12/1(日)よる9:00他

 映画アドバイザーのミヤザキタケルが、各月の初放送作品の中から見逃してほしくないオススメの3作品をピックアップしてご紹介! これを読めばあなたのWOWOWライフがより一層充実したものになること間違いなし!のはず...。

 今月は、家族の愛やつながりを感じさせてくれる3本を紹介します。

文=ミヤザキタケル


『かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-』('18)

 地方のローカル線を舞台にした"RAILWAYS"シリーズ第3弾。夫の突然の死をキッカケに、連れ子とともに夫の故郷を訪れ、鉄道の運転士を目指すことになる主人公の晶を有村架純、亡き夫の父で鉄道の運転士として働く節夫を國村隼が演じる。夫・父・息子、それぞれにとって愛する人を亡くした家族の姿を通し、形だけの家族が本当の家族へと変化していく様をつづる。

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detail_191129_photo02.jpg『かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-』
©2018「かぞくいろ」製作委員会

 劇中で語られるように、線路はどこまでも続かない。人生もそう、始まりがあって終わりがある。誰もが終点へと向かうレールの上を走りながら生きている。幼い頃は親がレールを敷いてくれていた。整備が行き届いたレールなのか荒れたレールなのか、細かな差異はあれど、幸福な時間であったと思う。しかし、大人になれば自分でレールを敷く必要もあり、切符を買い、歩みを進めていかなければならない。途中で停車せざるを得ない事態に陥ることもあるだろう。別ルートを検索し乗り換えるか、ひたすら待つか、歩み方も向き合い方も人それぞれ。本作は、一度歩みを止めてしまった心の列車が再び走り出すまでの物語だ。

 過去と今を比較しながら生きるのは非常に辛い。今がよっぽど充実しているなら別だが、過去の方が充実していたと思っているのであればどうしようもなく胸が締め付けられる。作中で並行して描かれる、夫が生きていた頃の回想シーンは、観る者にとってそのどれもが輝いて見えて仕方がない。でも、僕たちが生きているのは"今"。輝いたり魅力を放ったりしなければならないのは、今この瞬間。失ってしまった大事なものと同等のものなんて、一朝一夕では手に入れられない。だが、何かを失ったのなら、囚われ続けるか、他の何かで補おうとするのが人間というもの。ただ、それは空いた穴を埋めるための代用品であってはならない。必要なのは、今を肯定できること。より良き今を築いていこうとする強い意志。それを手にすることが何より困難なのだが、一度手に入れられたのなら、並大抵のことでは揺らがない。また、新しい何かを得たからといって、過去を捨て去る必要もない。手探りながらも道を模索していく晶たち。その努力や葛藤や愛情が色となり、無色であった形だけの家族に「かぞくいろ」という名の色が着色されていく。僕たちが生きるこの人生のあらゆる想い、心洗われる瞬間が詰まっています。

detail_191129_photo03.jpg『かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-』
©2018「かぞくいろ」製作委員会


『しゃぼん玉』('17)

 直木賞作家・乃南アサのベストセラー小説を林遣都×市原悦子の共演で映画化。親の愛を知らずに育ち、引ったくりの果てにナイフで人を刺してしまった青年、翔人(林)が、逃走中に迷い込んだ椎葉村で老婦人のスマ(市原)と出会い、それまで知ることのなかった他者の善意に触れ、自身の生き方を見つめ直していく。

detail_191129_photo04.jpg『しゃぼん玉』12/15(日)よる9:00他
©2016「しゃぼん玉」製作委員会 原作:乃南アサ『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)/ 企画協力:新潮社

 この手の作品には、一種のテンプレートが存在する。何かしらの罪を犯した者が、罪を償わぬまま幸せな時間に触れ、困惑し、その幸せが一時的なものでしかないことを悟り、葛藤する。自責の念に駆られ、己の罪と向き合い始める。当然本作もテンプレート通り。翔人は光を浴びれば浴びる程に自らの影が濃くなり、目を背けられなくなっていく。そして自分の罪と向き合わざるを得なくなっていく。だが本作は、そんなテンプレートと少しだけ違っていた。(翔人とスマに血縁はないが)親が子を想う気持ち、即ち「無償の愛」という要素が上乗せされていた。それまで愛を知らずに生きてきた翔人。そんな彼が愛に触れていく様は、親からこんな風に愛情を注がれてきたのだなと、こうやって人生の大切なことを教わってきたのだなと、僕たち自身を客観視しているような錯覚へと導かれる。

 スマが言っていた。「大切だと思える人に嘘をついてはいけない」と。そう、とても当たり前のこと。だけど、忘れたり疎かにしてしまいがちなこと。ド派手な展開も、魅力的なファンタジーや恋愛もないけれど、翔人が進む道は、きっと一歩踏み出すための勇気を与えてくれると思います。

detail_191129_photo05.jpg『しゃぼん玉』
©2016「しゃぼん玉」製作委員会 原作:乃南アサ『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)/ 企画協力:新潮社


『それだけが、僕の世界』('18)

 『国際市場で逢いましょう』('14)のユン・ジェギュンが製作総指揮を務めるイ・ビョンホン主演作。たったひとりで生きてきた元プロボクサーの兄ジョハ(ビョンホン)と、母に守られ生きてきたサヴァン症候群の弟ジンテ(パク・ジョンミン)の出逢いを通し、人生を歩んでいくために必要な家族の絆を映し出す。

detail_191129_photo06.jpg『それだけが、僕の世界』12/10(火)よる6:45
© 2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED

 家族だからこそ許せることもあれば、家族だからこそ許せないこともある。最悪の場合、他人であれば縁を切ってしまえば良い。やがていつかは風化し、記憶の彼方へと消え去っていく。しかし、家族の関係性だけはそうもいかない。血のつながりだけは断ち切れない。許せなくとも許したいと願ってしまうのが、許したくとも許せないと胸を締め付けられてしまうのが、家族のつながりというものではないだろうか。

 偶然の再会を機に、絶縁状態にあった母、存在すら知らずにいた弟と暮らすことになるジョハ。本来であれば幼少時代から成人するまでの間に経験しておくべき家族の時間を過ごしていくなかで、彼に欠けていたものが何なのかが徐々に浮かび上がってくる。そして、己の経験を糧に弟をより良き道へ導こうと、兄としての役目を果たしていく。血のつながりに関しては初めから家族であるけれど、劇中で描かれていくのは、家族が本当の"家族"になっていくまでの時間。人それぞれに家庭事情も異なるため一概には言えないが、家族の絆を知っている人が観れば、それが欠けている彼ら家族の絆が構築されていく過程を繊細に感じ取ることができるはず。往年の名作『レインマン』('88)を彷彿とさせる兄弟のつながりと同時に、母親との関係性も色濃く絡む親子ものとしての側面も宿したあたたかい作品です。

detail_191129_photo07.jpg『それだけが、僕の世界』
© 2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED

 三者三様の愛や絆のあり方を感じさせてくれる3作品とともに、今月も素敵なWOWOWライフをお過ごしください。

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  • 文=ミヤザキ・タケル
    長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。


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[放送情報]

かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-
WOWOWシネマ 12/1(日)よる9:00
WOWOWプライム 12/3(火)よる7:45
WOWOWシネマ 12/20(金)よる6:50
WOWOWシネマ 1/29(水)午後4:15

しゃぼん玉
WOWOWシネマ 12/15(日)よる9:00
WOWOWシネマ 1/10(金)午後1:25

それだけが、僕の世界
WOWOWシネマ 12/10(火)よる6:45

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