「昼顔(2017)」4/21(土)よる8:00-10:15ほか
WOWOWで4月21日に放送予定の映画『昼顔』。本作は、上戸彩と斎藤工がドロドロの不倫カップルを演じ、一世を風靡したドラマの続編。別れてから3年後に再会した紗和と北野を待ち受ける運命が描かれます。
『昼顔』の大ヒットもあって、再び注目を集めた「不倫の恋」ですが、その愛の形はさまざま。一線を越えず純愛とも呼べる関係から文字どおり泥沼にはまっていく破滅の恋まで、今回は禁断の愛を描いた作品を紹介します。
不倫映画として有名な作品の一つは、ベストセラーとなった小説でも知られる『マディソン郡の橋』。監督はクリント・イーストウッド。交わることのない人生を送ってきた農場の主婦フランチェスカ(メリル・ストリープ)とナショナルジオグラフィックのカメラマン、ロバート(クリント・イーストウッド)。そんな二人に訪れた生涯に一度の本物の愛を描いた、わずか4日間の濃密な物語です。
『危険な情事』も公開時に大きな話題をさらいました。一夜限りの遊びのつもりだった男と、本気になってしまった女の気持ちとのズレが、恐ろしい出来事の幕開けに......。軽い気持ちの遊びが巻き起こす不倫の怖さを描いたスリラーになっています。
邦画なら、渡辺淳一の小説とともに社会現象にまでなった『失楽園』。元敏腕編集者・久木(役所広司)がやるせない日々を送る中で、美しい書道講師・凛子(黒木瞳)と出会い、やがて不倫の恋にはまっていきます。欲望のままに互いの肉体に溺れていく、大胆なセックス描写が話題になりました。「だんだんあなたの皮膚と自分の皮膚との区別がつかなくなってきたわ」とまで言わしめる姿が不倫の底知れぬ闇を感じさせます。出会いから衝撃のラストまでを黒木瞳が体当たりで演じているのも見どころ。
ここからは、いわゆる大作とは一線を画した作品をご紹介。
ウォン・カーウァイの『花様年華』は、トニー・レオンとマギー・チャンの共演による大人のラブ・ストーリー。雑然としたアパートに住まう二人が親しくなり、やがて互いの妻と夫が不倫していることに気づきます。いつしか惹かれ合うようになりますが、その抑えた愛情表現が見事。騒々しいアパートの中と二人がすれ違うスローモーションの対比、美しい音楽と映像に息を呑みます。二人は一緒に食事をしたり仕事を手伝いながらも、決して一線を越えようとはしません。タクシーの中で指先が触れ合う場面は観ているこちらがドキドキするほど。後半、二人が雨宿りをするシーンの美しさと切なさは秀逸。どんなに相手への想いがあっても、プラトニックなまま終わる恋もまた美しいもの。そんな風に思わせてくれる映画です。マギー・チャンが着こなすチャイナドレスの美しさにも惚れ惚れ。
切ない不倫なら『フランス組曲』も。原作はアウシュヴィッツの犠牲者となったイレーヌ・ネミロフスキー。2004年に出版され、フランスでベストセラーになりました。ナチス占領下のフランスで戦地に行った夫を待ちながら義母と暮らしていたリュシル(ミシェル・ウィリアムズ)と、そこに滞在することになったドイツ軍の中尉・ブルーノ(マティアス・スーナールツ)のやるせない恋の話。敵同士であるはずの二人が音楽を通じて心を通わせるようになりますが......。「いつかまたあなたに出会う。兵士としてではなく」という中尉の言葉が胸に響きます。
ちょっとあり得なーい! という設定が面白いのは、二人の美人女優、ナオミ・ワッツとロビン・ライトが共演した『美しい絵の崩壊』。大親友の二人にはそれぞれ一人息子がいて、息子もまた親友同士。当たり前のように日常を共にするうち、なんと母親たちは互いの息子と許されない関係に。スタイル抜群の二人の水着姿を楽しむもよし。美しい海辺に暮らす贅沢すぎる生活にツッコミを入れながら鑑賞するもよし、女性同士で観ても盛り上がりそう。
最後はウディ・アレン監督の『マッチポイント』。元テニスプレイヤー、クリス(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は、大企業の御曹司・トムと親しくなり、妹のクロエと恋仲に。ところがトムの婚約者ノラ(スカーレット・ヨハンソン)に一目惚れし、関係を持つように。出世を目論んだクリスはクロエと結婚しますが、ノラと再会し不倫の関係に。官能的なセックスの虜になっていきます。ノラの妊娠が発覚し、焦ったクリスがとった行動とは......。
ネットに引っかかったボールは、さてどちらに落ちるのか。男の行く末をハラハラしながら楽しめる極上のサスペンス作品です。なんと言っても魔性の女を演じるスカーレット・ヨハンソンの色気が半端ない。挑発的な視線とぽってりした唇の持ち主であるノラに見つめられたら、よろめいてしまうクリスの気持ち、女性でも思わず納得です。
以上、許されない恋を描いた8作品。あなたならどの恋に共感を覚えるでしょうか?
文=野田佐和子
[放送情報]
昼顔(2017)
WOWOWシネマ 4/21(土)よる8:00-10:15ほか
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