「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」11/24(土)よる8:00ほか
1977年に登場するや、世界中を熱狂の渦に巻き込んだ『スター・ウォーズ』シリーズ。2005年、エピソード3でシリーズ生みの親ジョージ・ルーカスが6部作にピリオドを打った後、ディズニーの主導の下で再起動し、2015年から新シリーズが始まったのは、ご存知のとおり。
製作体制が変わったとはいえ、『スター・ウォーズ』が特別な存在であり、筋金入りのファンに支えられているということを、作り手も理解している。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』('18)のロン・ハワード監督は、かつてルーカスに「シリーズの監督をしてほしい」と打診されたことがあるベテランだ。そんな彼がここでこだわったのは、CGに頼らないライブ・アクションと、アメリカン・ニューシネマを意識した切ないドラマ作り。シリーズに欠かせない伝統を守りながら、どのようにやりたいことをやっていくか? シリーズの面白さは、そんなクリエイターのこだわりにある。
6部作の続きであり、その再開を高らかに宣言した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』('15)では、TVドラマ『LOST』などでお馴染みのヒットメーカー、J・J・エイブラムス監督が、6部作の偉大な遺産にオマージュを捧げつつ、そのスピリットを継承して冒険アクションを作り出した。何者でもない主人公が宇宙へと飛び立ち、運命の劇的な転機を迎える。これまでのシリーズを踏まえた、そんなストーリーは新旧のファンに好評を博した。子どもの頃から『スター・ウォーズ』ファンで、そのエッセンスを吸収してきたエイブラムスだからこそできた技ともいえる。
続く『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』('16)は、『ハン・ソロ~』と同様にシリーズの外伝的な物語。6部作の物語の転換期というべき"クローン戦争"のエピソードを描いている。ここで監督を務めた『GODZILLA ゴジラ』('14)のギャレス・エドワーズも、エイブラムスに負けず劣らずの子どもの頃からの『スター・ウォーズ』フリークだ。『スター・ウォーズ』といえば"フォース"と呼ばれる特殊能力の使い手であるジェダイ騎士の活躍がクローズアップされがちだが、エドワーズは、フォースを持たない名もなきならず者兵士たちの奮闘を紡いだ。困難なミッションに命を懸ける彼らの奔走は、『ナバロンの要塞』('61)などの戦争アクションの名作を彷彿とさせるほどアツく、胸を揺さぶられるものがある。
そして『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』('17)の登場だ。監督は『LOOPER/ルーパー』('12)で注目されたライアン・ジョンソンで、エイブラムスやエドワーズと同様に、『スター・ウォーズ』を見て育った世代。彼は新『スター・ウォーズ』を、まったく新しい方向へと推進させようと知恵を絞った。前作で宇宙に飛び出したヒロイン、レイ(デイジー・リドリー)や、その前に立ちはだかる悪の権化カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)、そして彼らを取り巻く戦士たち。そんな若いキャラクターたちの物語を、旧シリーズのキャラに敬意を表しつつ前作以上に全面に押し出しながら、新時代の到来を告げようと試みたのだ。彼らが直面する、それぞれの決断のドラマはシリーズをずっと見てきたファンはもちろん、新世代のファンを驚かせるだろう。もちろん、単に奇をてらったわけではない。それは『スター・ウォーズ』のスピリットをどう次世代に継承するかを考えたうえでの結果。往年のファンのためだけにシリーズを続けるわけにはいかない。時代を切り開くのは、常に若者たちだ。そんな力強いメッセージを感じ取れるのが、本作の強みでもある。
次世代クリエイターたちの才気により、ドラマチックなうねりを見せる『スター・ウォーズ』シリーズ。2019年に公開予定の新3部作完結編の前に、若きエネルギーを体感すべし!
文=相馬学
[放送情報]
スター・ウォーズ/最後のジェダイ
WOWOWシネマ 11/24(土)よる8:00ほか
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