「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」12/16(日)よる9:00
斎藤工さんと板谷由夏さんが、話題の映画の魅力を語り尽くす映画情報番組「映画工房」。今回は、第二次世界大戦中、ナチスドイツ占領下のポーランドで、動物園の園長夫妻が300人ものユダヤ人の命を救った実話を映画化した『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』を取り上げます。主演は『女神の見えざる手』(16)、『モリーズ・ゲーム』(17)など、話題作への出演が続く実力派女優、ジェシカ・チャステイン。
斎藤「これは、動物ものでもある。動物という切り口から考えると、また歴史の捉え方が変わってくる」
板谷「うん」
斎藤「人間だけの歴史じゃなくて、動物たちがどういう状況にあったかを知ることによって、当時の歴史が自分の中でより色づいていくきっかけになります」
1939年、ナチスドイツのポーランド侵攻により、第二次世界大戦が勃発。当時ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいたヤンとアントニーナ夫妻だが、貴重な動物はドイツ軍に没収され、その他の動物たちは殺されてしまう。もはや閉鎖するしかない動物園を、ヤンはドイツ兵の食料となるブタを飼育する「養豚場」として存続させることを提案する。それはすなわち、「ユダヤ人の隠れ家にする」ということでもあった。
板谷「ヤンを演じているベルギー出身のヨハン・ヘルデンベルグ。私、この人すごく好き」
斎藤「わかります。『魔女の宅急便』(89)に出てくる、パン屋の亭主に似ている。朴訥さとサイズ感と、ちょっとの悲壮感と、正義感」
板谷「優しさもね。アントニーナという人がフューチャーされた映画ではあるけど、夫婦で一緒になって300人を救ったわけだから。このヤンという人も素晴らしいと思う」
斎藤「そうですね。旦那なくしては」
板谷「本当に。ヒトラー直属の動物学者を演じたダニエル・ブリュールもいい味を出しているよね」
斎藤「見事でした。彼の表情一つで緊張感が漂う。彼が穏やかな表情をしていればしているほど緊迫する」
板谷「怖かったです」
斎藤「当時の政治とか戦争にある、ナチスの"影"みたいなものを全部一人で背負っていた」
動物園を舞台にした本作には、シマウマやラクダ、ゾウ、トラ、ライオンなど多くの動物が登場する。空襲によって動物園の檻が破壊されパニックに陥った動物たちが脱走する姿や、アントニーナがゾウに銃を向ける兵隊たちを必死に止めるシーンも描かれ、戦争の恐ろしさや悲惨さを表現する大事な役割を担った。
斎藤「こういう状況下における動物の"価値"。動物を愛してやまない動物園の経営側と、軍事的思考というものが、どう摩擦を起こすか。その被害者は誰なのかということも含めて、人と動物の距離から見えるものを、かなり考えさせられました」
板谷「今もワルシャワ動物園はあるって言っていたね」
斎藤「この家族と、一緒に経営していた人たち。彼らがしっかり守った証だと思います。この作品には、拍手をせざるを得ない」
今回は12/14(金)公開の映画『春待つ僕ら』から平川雄一朗監督がゲスト出演。作品へのこだわりや、キャストとのエピソードなどについて語りました。
12/14(金)全国公開
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会
最近あまり映画を観ていないあなたにこそ観てほしい作品を、映画解説者の中井圭さんが紹介する、「ナカイの1本 ナカチョイ」のコーナー。今回は『あなた、そこにいてくれますか』(16)を紹介します。
WOWOWシネマ 12/12(水)よる7:00
©2016 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
【話題の映画やWOWOWシネマならではの特集の魅力を、映画好きの俳優、斎藤工と板谷由夏が語りつくす。映画との新たな出会いを提供する映画情報番組・映画工房】
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