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2018/04/06 up

福田雄一の演出術 ~"本気"のパロディとギャグが役者の新たな一面を引き出す

「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」4/13(金)よる9:00

 2017年の日本の実写映画で興収第1位のヒットとなった『銀魂』。その演出を手掛けたのが、今最も注目の監督、福田雄一だ。大学時代に旗揚げした劇団を抱えつつ、TV番組の制作プロダクションに入社。退社後は構成作家、やがてTVや映画、舞台で演出家として活躍するように。一般に広く注目されたのはTVドラマ『33分探偵』と『勇者ヨシヒコ』シリーズだろう。その卓越したパロディ精神とギャグ・センスで、見る者をとりこにする作品を次々と打ち出した。

 そもそも日本では"面白い"要素を持ち、そこに感動やとがったセンスなどを感じさせる人の作品に人気が集まる傾向がある。例えば人情喜劇で人のおかしみに焦点を当て続けてきた山田洋次。ニール・サイモンやビリー・ワイルダーを愛してシチュエーション・コメディに特化したハートウォームな作品が多い三谷幸喜。ダメ人間の弱さ愚かさにロック魂をブレンドし、バカバカしさの中に切なさも光る作品を発表してきた宮藤官九郎。今までも笑いをメインにしてきた監督&脚本家はたくさんいるが、福田雄一のスタンスはちょっとオモシロイ。彼の場合、コメディというより、ストーリーとは関係ないギャグのセンスで作品の面白さを彩っているからだ。

 今回放送の『銀魂』『HK/変態仮面』『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』などはその究極版。例えば『銀魂』なら、『COUNT DOWN TV』のパロディで入り、やり直しまで行なわれるオープニング、カブトムシ確保のためにふんどし姿やカブトムシ着ぐるみで暴れ倒す人々。「ストーリーと何の関係もねーじゃん」とツッコミたくなるシーンがてんこ盛りだ。しかもそれらを笑いのシーンだからと力を抜いて扱ったりはしない。どんなくだらないシーンであろうとテンション・マックス、ギャグを茶化さず大真面目に"本気"で演出するのが福田流なのだ。「HK/変態仮面」シリーズで主演を務めた鈴木亮平が語っていたが、最近は笑いの部分は役者任せにする監督もいるなか、福田監督は笑いに対するビジョンが明確で「最初のセリフだけ声を裏返らせて」など、かなり細かく指示がくるのだそう。

detail_180406_photo02.jpg©空知英秋/集英社 ©2017映画「銀魂」製作委員会

 福田作品のもう一つの特徴は、役者たちがそれまでに見せたことのない一面を出す点。「HK/変態仮面」シリーズでは、今やNHK大河ドラマで主演する鈴木亮平が女性もののパンツを被り、ほぼ全裸で暴れまわる。ドラマ『アオイホノオ』で暑苦しい漫画家志望の若者を演じた柳楽優弥は、後の福田監督作でもさまざまな表情を見せている。佐藤二朗やムロツヨシ、安田顕といった個性派役者を完全に開花させたのも福田監督の功労だ。映画『俺はまだ本気出してないだけ』で取材した際、福田監督はキャスティングに関して「"あの人がこれをやるの?"と、振り幅を持たせたいと考えている」と語っていた。確かにどの作品でもその傾向ははっきり見て取れる。それが、今度は役者がどんなことをやるのかという福田作品の楽しみの一つになっている。

detail_180406_photo03.jpg© あんど慶周/集英社・2013「HENTAI KAMEN」製作委員会

 福田作品の魅力は、役者たちが"本気"でギャグやパロディを演じ、付随するアクションやドラマにも"本気"で挑むことで最先端の笑いを提示しつつ、日本人が俳優に対して抱く親しみや愛着を最大限に生かした「俳優の成長ドラマ」をも構築している点にある。舞台という役者の魅力が最大限に発揮されるフィールドで軌跡を残してきた福田監督ならではの強みが、作品にあふれているのだ。

文=横森文

[放送情報]

『HK/変態仮面』
WOWOWシネマ 4/13(金)よる7:00ほか

『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』
WOWOWシネマ 4/13(金)よる9:00ほか

『銀魂』
WOWOWシネマ 5/26(土)よる8:00ほか

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