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2018/05/22 up

「友罪」佐藤浩市が語る罪の意識の複雑さ 「解答はあるが、正解はない」

 薬丸岳の同名ベストセラー小説を『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化した『友罪』。さまざまな罪にさいなまれる人々を描く本作で、佐藤浩市は交通事故を起こし、人を死なせてしまった息子の罪を背負うタクシー運転手、山内修司の終わりのない苦悩を体現している。

「自分の世代の感覚かもしれないけど、ある種の集落、村落の意識は小さな島国にはありますよね。何かあったら、それは個人のものではなく、一族郎党が背負っていかなければいけない。そういった意識があるがゆえに、たとえ禊(みそぎ)にはならなくても、贖罪の念の中で生きていくしかない。山内はそう決めた。笑っちゃいけないと。誰に見られているか分からないからと。自分たちが幸せであってはいけない。そういう生き方こそが贖罪なのだと。それは勝手な解釈だよね。被害者の家族にとっては何の慰めにもならない。だけど彼はそういう生き方を選んだ。"解答"はいくつもあるかもしれないけど、"正解"がないことじゃないですか。だから、すべては『そうするしかない』ということだと思うんです。ただ、映画の最後、山内自身も思いもよらなかったことが起こる。そこは観て下さる方に届いてほしいと思いますね」

 罪の意識をどう取り扱い、どう選択していくか。それが本作では問われている。

「犯罪という轍(わだち)を超えた瞬間に、被害者の家族、加害者の家族の喜びと悲しみ、嬉しさ、憎しみが生まれる。すべて表裏なんですよ。絶対、同じ方向を向かない。すべてが真逆の方向に向くしかない。ただ、いまの時代は二元論しかない。勝ち負けとか、白か黒かとかで物事が判断されている。でもそうじゃない部分も人間にはあるのだということです」

 罪の問題は決して二元論に回収されない。そのような単純なものではない。

「そこに何が横たわっていたかということは、当事者じゃなければ分からなかったりする。それを解きほぐしていく。浮かび上がらせる。そのことによってなぜそれは起こったのかを周りが考えなければいけない。なのに、いまは『起きたこと』についてしか語られない」

 ある事件について考えることは人間について考えることにほかならない。ところが、ネットでの言論は行為を糾弾し、結果を断罪するばかりだ。「物事を深く考える余裕がないのかもしれない。殺伐としているんですかね」と佐藤は嘆く。その上で、映画に仮託する。

「どう受け取るか。どう読み解くか。それは観る人の経験値によっても違うと思います。何らかのかたちで持ち帰っていただけたら、この映画にも意味が生まれると思います」

 そんな佐藤はWOWOWの6月ラインナップを眺めると目を細めた。

「あ、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、やってくれるんですね。『心が叫びたがってるんだ。』もある」

 いずれも佐藤の息子、寛一郎の出演作だ。奇しくも寛一郎は『友罪』の瀬々敬久監督、渾身の自主制作映画『菊とギロチン』(7月7日劇場公開)にも出演している。佐藤浩市もまた、瀬々監督がインディーズで撮り上げた大作『ヘヴンズ ストーリー』に出演した。
※『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『心が叫びたがっているんだ。』は既に公開されているが、撮影は『菊とギロチン』が先に行なわれた。

detail_180522a_photo02.jpg©2017 映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 ©超平和バスターズ

「『菊とギロチン』を試写で観て瀬々さんに言ったんです。『あなた、よく映画1本目の新人を使ったね』と。あんまり親がこういうこと言っちゃいけないけど、やっぱり1本目って絶対、1本目なんですよ。特別なものなんです。作品を重ねていくと、経験を積んで、いろんな引き出しは増える。素養もあるようになる。でも、1本目の、ある意味、手足が不自由な中でやった表現って、絶対その後には出てくるものじゃないんですよ。だから瀬々さんには感謝しています。瀬々さんにシゴカれてよかったなと。結果的にそうなったわけだけど、2本目以降が先に公開されたこともありがたかったし」

 俳優には、新人の時にしか生まれない輝きがある。『ナミヤ』『"ここさけ"』には寛一郎のかけがえのない瞬間が映っている。

取材・文=相田冬二
撮影=坪田彩


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