2018/11/30 up

『ソウ』シリーズと『リング』シリーズに見る恐怖の発生装置

「ジグソウ:ソウ・レガシー」12/15(土)深夜0:00

 今も昔も、スリラーは人気のジャンル。作り手は、常に観客を怖がらせるための新しい発想を追い求めている。21世紀以降も、斬新なスリラーは数多く生まれているが、そんな中でマスターピースと呼べるスリラーを挙げるならば、『ソウ』シリーズ、そして『リング』シリーズということになるだろう。

 ソリッド・シチュエーション・スリラーなるジャンル名を生み出した『ソウ』シリーズの面白いところは、"死のゲーム"というアイデアだ。場所も分からぬ廃屋の浴室で目覚めた、2人の男。足かせで拘束された彼らは浴室の対称の位置に置かれ、部屋の中央には死体が転がっている。そしてレコーダーに吹き込まれた声が告げる―「さあ、ゲームを始めよう」。彼らが強いられるのは、ジグソウと名乗る謎の男が仕組んだ命懸けのゲームだ。勝てば生き延びることができるが、敗者に待つのは死...。2004年に公開された第1作は、そんな設定で世界中の観客を熱狂させたばかりか、その後、多くの亜流作品が作られることになった。

 設定だけではない。『ソウ』シリーズには大きな3つの柱がある。1つ目は、驚くべき結末が待つストーリー展開。ほとんどの作品で"ゲーム"は2つ以上行なわれており、それらが平行して描かれるのだが、その展開はスリリングそのもの。時に時間軸を入れ替えて語られるトリッキーな構造も面白い。2つ目は、目を覆うばかりのバイオレンス。顔面を砕く箱型の装置や、2つの氷塊が頭を挟み打ちにする仕掛けなど、凝った殺人装置は観る者をハラハラさせるに十分。ちなみに、7年ぶりの最新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』('17)には、これらの装置のコレクターが登場する。

 そして3つ目は、ゲームを仕掛けるジグソウというシリアルキラーのキャラクター。これはある意味、シリーズ最大の魅力と言えるだろう。天才的な頭脳を武器にゲームを仕掛けてくるこの殺人鬼は末期がんに冒されており、それゆえに命の価値を理解していない人間を次々とターゲットにする。命の有り難みを理解できればゲームの勝者となるが、それができなければゲームオーバー、すなわち"死"が待っている。このようなある種の哲学を持っているのが、ジグソウなのだ。第3作の『ソウ3』('06)で彼は息絶えるが、その後も後継者たちの犯行が続くのは、カリスマ性の表われとも言えるだろう。

『ジグソウ:ソウ・レガシー』

detail_181130_photo02.jpg©2017 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved Photo credit: Brooke Palmer

 もうひとつの人気シリーズ『リング』は日本の観客には、おなじみだ。見た者は1週間後に必ず死ぬ"呪いのビデオ"の恐怖奇談。原作である鈴木光司のベストセラー小説が日本で映画化されたのは1998年で、その後シリーズ化されたが、2002年には『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督によってハリウッド・リメイクされ、『ザ・リング』となって、やはり大ヒットを記録。このリメイク版も、日本版『リング』の中田秀夫監督をハリウッドに招聘(しょうへい)して続編が製作され、恐怖は広く世界へと伝染していった。これは、オカルト映画の新境地を開いたと言っても過言ではない。

 恐ろしいのは、なんといっても、そのビジュアルだ。ビデオの中に潜む怨霊"貞子"の黒髪と、その隙間からのぞく鋭い目。ハリウッド版では"サマラ"という名に変更されたが、そんなルックスの恐ろしさは、しっかり踏襲されている。ビデオの中で井戸からはい出してきて、さらにはモニター画面からもはい出してくる衝撃のビジュアルは、悪夢的としか言いようがない。

『ザ・リング/リバース』

detail_181130_photo03.jpg©2017 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 『ソウ』のジェームズ・ワンは現在も『死霊館』ユニバースを作り続け、中田秀夫監督も『スマホを落としただけなのに』など現在もスリラーを撮り続けている。そんな彼らの原点としても興味深い両シリーズ。単品で観るよりも、シリーズを俯瞰して観たほうが、恐怖の発生装置の在り方が見えてきて、より楽しめるに違いない。

 文=相馬学

[放送情報]

ソウ
WOWOWシネマ 12/8(土)深夜0:45

ソウ2
WOWOWシネマ 12/9(日)深夜0:15

ソウ3
WOWOWシネマ 12/10(月)よる11:00

ソウ4
WOWOWシネマ 12/11(火)よる11:00

ソウ5
WOWOWシネマ 12/12(水)よる11:15

ソウ6
WOWOWシネマ 12/13(木)よる11:15

ソウ ザ・ファイナル
WOWOWシネマ 12/14(金)よる11:45

ジグソウ:ソウ・レガシー
WOWOWシネマ 12/15(土)深夜0:00

リング
WOWOWプライム 12/25(火)深夜0:00

リング2
WOWOWシネマ 12/30(日)午前11:15

リング0~バースデイ~
WOWOWシネマ 12/30(日)午後1:00

ザ・リング
WOWOWシネマ 12/30(日)午後2:45

ザ・リング2[完全版]
WOWOWシネマ 12/30(日)午後4:45

ザ・リング/リバース
WOWOWシネマ 12/30(日)よる7:00

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