2018/11/30 up

斎藤工×板谷由夏 映画工房#361『希望のかなた』 "間"を巧みに描いたユーモアあふれる作品

「希望のかなた」12/3(月)よる11:00

斎藤工さんと板谷由夏さんが、話題の映画の魅力を語り尽くす映画情報番組「映画工房」。今回は、名匠アキ・カウリスマキ監督の『希望のかなた』を取り上げます。内戦の続く祖国シリアを逃れ北欧フィンランドにたどり着いた青年カーリドと、彼を雇い入れるレストランオーナーのヴィクストロムの触れ合いを通じ、世界的なテーマとなりつつある難民問題をユーモアと深い人間性をもって真摯に描く。主演は自身も難民経験を持つシリア人俳優シェルワン・ハジ。長編初主演ながら本作でダブリン国際映画祭最優秀男優賞を受賞。

斎藤「カウリスマキ監督の作品は、年間を通しても頻繁に観るような位置になかったりしません?」
板谷「しますよ」
斎藤「ただ、観たときに、ジム・ジャームッシュ監督もそうですが、その作品の"時間"に、最初の1枚の絵から引き込まれていく」
板谷「いきなり連れて行かれちゃうよね」

1983年に『罪と罰』で監督デビュー以来、熱狂的なファンを増やし続けているアキ・カウリスマキ監督。日本では1990年公開の『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』で注目されて以降、すべての監督作が公開されている。本作は2011年に発表した"難民3部作"の第1作『ル・アーヴルの靴みがき』に次ぐ第2作に当たり、べルリン国際映画祭の監督賞にも輝いた。

斎藤「カウリスマキの作品は、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』を最初に観ました」
板谷「私もです」
斎藤「登場人物に表情がないですよね。無表情で、無愛想な人たちという描かれ方だからこそ、そこに自分を見てしまう。シリア難民と、日本人って、近くはないと思うのですが。そこに写るのは"自分"の瞬間があったりする」

独特なユーモアセンスで知られる監督。作中で2人が注目したのは、レストランオーナーのヴィクストロムが保健所の検査員に「ベテラン従業員もいる」と銘打って厨房を見せるシーン。実際はやる気のない調理人が手にタバコを持ち、ヴィクストロムと検査員を待ち受ける。

斎藤「かなり笑える場面もいっぱいありますよね」
板谷「笑えます、笑えます」
斎藤「特に我々、日本人にはサービスカットのような展開もあります。僕、吉本のお笑い養成学校に去年、今年と通っていて、お笑いの"いろは"みたいなものを学んだのですが、アキ・カウリスマキ監督も、(お笑いのいろはを)使っていて」
板谷「たとえば?」
斎藤「タバコ吸ってるじゃないですか。いきなり」
板谷「吸ってた」
斎藤「一番の売りだったポイント(従業員)が、タバコを吸っているところを見せた後の"間"。"..."みたいな"間"を巧みに描いている。お笑い的にも見事です。振りとオチがすごくしっかりしています」

今回は、12/8(土)~12/20(木)放送「クリスマス直前! 珠玉のラブストーリー」特集に合わせてスタッフが街に出て「クリスマス」意識調査を行ないました。

最近あまり映画を観ていないあなたにこそ観てほしい作品を、映画解説者の中井圭さんが紹介する、「ナカイの1本 ナカチョイ」のコーナー。今回は『15時17分、パリ行き』(18)を紹介します。

『15時17分、パリ行き』
WOWOWシネマ 12/9(日)よる9:00

detail_181130a_photo02.jpg©Warner Bros. Entertainment Inc.

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【話題の映画やWOWOWシネマならではの特集の魅力を、映画好きの俳優、斎藤工と板谷由夏が語りつくす。映画との新たな出会いを提供する映画情報番組・映画工房】

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