2018/12/14 up

【2週連続クリスマス・スペシャル!】Vol.1 聖夜にこそスリルが欲しい! 戦慄の"ダーク・クリスマス"ムービー

「グレムリン」12/24(月・休)午前11:45

 普段は離ればなれに暮らしている家族が集まってかけがえのない絆を確かめ合い、恋人たちのロマンチックな気分が最高潮に高まるクリスマス。一年のうちで最も幸福感に満ちあふれたこのシーズンに、もしも血塗られた惨劇が起こったら......。映画史上にはそんな"逆転の発想"で作られたホラーやスリラーが少なくない。ここで紹介するのは、きらびやかなイルミネーションに彩られた世間の浮かれた風潮に逆らうように、「聖夜こそ怖い映画が観たい!」と所望する映画ファンに向けたダークなクリスマス・ムービーの数々である。

 まずはスラッシャー系の猟奇犯罪もの。このジャンルのクラシックな代表格『暗闇にベルが鳴る』('74)は、クリスマスの女子寮にかかってくる不気味な悪戯電話に翻弄される女子学生の姿を描く。サイコキラーの一人称視点を交えた演出が巧妙かつ繊細で、アメリカの有名な都市伝説「ベビーシッターと2階の男」をモチーフにしている点も興味深い。都会のオフィスビルで聖夜の残業を終えたOLがストーカー男によって地下駐車場に監禁される『P2』('07)、ATMに立ち寄った男女3人が正体不明の犯罪者を相手に絶望的なサバイバルを繰り広げる『ATM』('12)の2作品は、意表を突いたワン・シチュエーションの恐怖劇。両親の留守中に憧れの美少女に告白しようと目論む少年の家に謎の侵入者が現れる『ベター・ウォッチ・アウト:クリスマスの侵略者』('16)は、クリスマス・コメディの大ヒット作『ホーム・アローン』('90)の暗黒バージョンというべきトリッキーな仕掛けにド肝を抜かれる衝撃作だ。

『グレムリン2 新・種・誕・生』

detail_181214a_photo02.jpg© Warner Bros. Entertainment Inc.

 クリスマスに大暴れするモンスターと言えば、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、ジョー・ダンテ監督の『グレムリン』('84)が真っ先に思い浮かぶ。チャイナタウンからやってきたクリスマス・プレゼントのキュートな動物モグワイが、水に触れてあれよあれよという間に増殖し、凶悪怪物グレムリンに変貌していく様がグロテスクなSFXとブラックユーモア満載で描かれる。続編『グレムリン2 新・種・誕・生』もバッグス・バニーやランボーが登場するなどダンテ監督の奔放なアイデアが弾けた快作なので、WOWOWでの一挙放送で見ておきたい。ヨーロッパの伝説上の精霊が猛威を振るう『クランプス 魔物の儀式』('15)は、『グレムリン』風のエグい1980年代ホラー・テイストが炸裂するダーク・ファンタジー。欧米ではクリスマス定番のお菓子であるジンジャークッキーを殺人モンスターに仕立てた『ジンジャーデッドマン』('05)は、悪趣味ホラーの鬼才チャールズ・バンドが放った怪作だ。

 スプラッタ映画が大流行した1980年代には、善良なるサンタクロースが"鮮血のプレゼント"を運んでくるトラウマもののクリスマス・ホラーが数多く作られ、『サンタが殺しにやってくる』('81)、『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』('84)などが世間の良識派からの批判もお構いなしに人気を博した。21世紀になってからも邪悪なサンタ映画は時折作られており、なかでもスペインのTVシリーズの一編『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト クリスマス・テイル』('06)はインパクト絶大。枯れ井戸の穴に落ちて動けないサンタ姿の女性を見つけた子供たちの無邪気な行動が、後半のまさかの陰惨な展開を招き寄せていくストーリーには究極の残酷童話の趣がある。

 そしてサンタの"本場"たる北欧フィンランドで製作された『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』('10)は、奇想天外なアイデアの冒険ホラー・コメディ。北フィンランドの山の中に封印されていたサンタの妖精が掘り起こされて甦るという物語だが、豪雪が吹き荒れるなかゾンビのようにうようよと迫ってくるサンタ軍団を素っ裸の老人たちが演じているのだから凄い。一度観たら忘れられないそのシュールな光景は、クリスマスの奇跡か、それとも悪夢か。ぜひご覧あれ!

※次週「Vol.2」では、心温まる王道のクリスマス映画を特集します!

文=高橋諭治

[放送情報]

グレムリン
WOWOWシネマ 12/24(月・休)午前11:45

グレムリン2 新・種・誕・生
WOWOWシネマ 12/24(月・休)午後1:45

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