撮影=中川容邦
2月17日に放送開始の「連続ドラマW『バイバイ、ブラックバード』」に出演する城田優。彼はその中で、主人公・星野(高良健吾)の行動を見張る物語のキーパーソン、初の女性役"繭美"を演じている。
「非常にエキセントリックな、規格外の役柄ですね。まず、"見た目"からアプローチしました。エステに行って、脱毛をし 、髪と眉をブロンドに染め、爪にはネイル......と、外見を女性に寄せていったのですが、難しかったのは"内面づくり"です。最初本読みの時に、僕のイメージする繭美を監督(=森義隆)に見せたら、『もっととげとげしく演じてほしい』と言われまして。そこでキャラクターの掘り下げを徹底させ、とげとげしさを押し出すとともに『なぜ、破壊性を帯びた言動になったのか』を考え、複雑な繭美像をつくっていきました。星野もそうですが、繭美も回を追うごとに新たな一面が見えてきて、最後まで目が離せなくなると思いますよ!」
今回の「繭美」に象徴されるように、受け手の記憶に焼き付く演技が際立つ俳優であり、またミュージカルやドラマの演出家としての顔も持つ城田。ふだん見る映画はオールジャンル、えり好みをしないが、とりわけゾンビ映画に造詣が深く、15分のショートフィルム『Breed in 10 hours』を監督したことも。そんな彼がお気に入りの作品、さらには独自の映画観について語ってくれた。
「『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』や『キングコング:髑髏島の巨神』も楽しかったのですが、イチ押しは未知の生命体との"ファースト・コンタクト"を描いたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』です。前作の、メキシコの麻薬戦争をテーマにした『ボーダーライン』がとてもすばらしかったので、その次回作ということで注目していたら、やっぱりクオリティが高かった。新しいSF映画でしたね。SFっていうとCGが満載の映像で、非現実的なストーリーを突き進んでいくような印象がありますけど、これはヒロインを通して現実の言語や時間、記憶の概念に揺さぶりをかけ、しかも『ボーダーライン』と同じくリアルな肌触りを与えてくれる作品でして。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はこの"リアルな肌触り"がSFになってもブレず、崩れない点がすごいなあと思いました。それでいてファンタスティックな、映像的な面白さもしっかり盛り込まれており、リアルとファンタジーが渾然一体となるのは、映画の醍醐味です。
「メッセージ(2016)」© 2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.
僕は思い立ったら映画館に足を運ぶタイプで、朝いちばんに早起きして行ったり、レイトショーに駆け付けたり。自分の部屋にも100インチのスクリーンがあって、結構サウンドにも凝っているのでホームシアターも充実しています。海外ドラマも大好きで、『ダーク・エンジェル』『LOST』『24 -TWENTY FOUR-』『DEXTER/デクスター』『メンタリスト』といった人気シリーズはだいたい踏破しましたね。今でも続いている『ウォーキング・デッド』や『HOMELAND』は、もちろん"次回"が待ち遠しい。そういえば今度の『バイバイ、ブラックバード』にも海外ドラマみたいな"後を引く感"が備わっていて、一度観たらやめられなくなりますよ、きっと。
映画というのは僕にとっては、無限におもちゃが増えていく"おもちゃ箱"みたいなもの。職業的に、製作の裏側だとか仕組みがある程度分かるようになっても、それでもいつの間にかその世界に入り込んでしまい、ワクワクドキドキさせられるものなんですよね!」
取材・文=轟夕起夫
[放送情報]
連続ドラマW バイバイ、ブラックバード
WOWOWプライム 2月17日(土)スタート 毎週土曜よる10:00(全6話)
『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』
(吹替版)WOWOWライブ 2月10日(土)よる9:00
『キングコング:髑髏島の巨神』
(吹替版)WOWOWプライム 2月18日(日)よる7:00ほか
『メッセージ(2016)』
(字幕版)WOWOWシネマ 2月17日(土)よる8:00ほか
(吹替版)WOWOWプライム 2月18日(日)午後1:00ほか
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