2018/03/01 up

第90回は女性候補者数が史上最多! アカデミー賞の女性列伝

 いよいよ間近に迫った第90回アカデミー賞授賞式。その時々の社会的な風潮にモロに影響されるハリウッドだけに、昨年から高まっている「♯MeToo」「Time's Up」など映画界のセクハラ問題告発のムーブメントが、賞の行方に少なからず影響しそうな気配だ。

 例えば、監督賞にノミネートされた『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ。女優としても活躍する彼女にとっては初監督作にしてノミネートという快挙であり、女性監督としては5人目のノミネートとなるが、これまでに受賞したのは第82回の『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグローだけ。1月には第52回全米映画批評家協会賞で作品賞と監督賞ほかを受賞するなど、批評家にウケがいいことから、2人目のオスカー女性監督誕生があるかもしれない。

 実際、今回は女性候補者数が2016年と並んでアカデミー賞史上最多タイで、俳優部門以外でノミネートされた女性は40人に上る。特に注目を集めているのは女性として初めて撮影賞にノミネートされた『マッドバウンド 哀しき友情』の撮影監督レイチェル・モリソンだ。男性優位とされる環境の中でノミネートされたことはアカデミー賞の歴史にはっきりと刻まれる。ただし、同部門には『ブレードランナー2049』のロジャー・ディーキンスがいる。『ショーシャンクの空に』に始まり、今回の第90回でなんと14回目のノミネートとなった、生ける伝説とも言えるカメラマンなのだ。果たして、オスカー像を手にするのはどちらだろうか。
 そのほか、編集賞で『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』のタチアナ・S・リーゲル、音響編集賞に『ベイビー・ドライバー』のメアリー・H・エリスらの名前も挙がっている。裏方として活躍してきた女性たちが今回、どれだけ日の目を見るのか、目が離せない。

 WOWOWのアカデミー賞授賞式の生中継でレッドカーペット・レポーターを務めるすみれさんも、「近年、白人ではない人を主役にする作品が増えたり、本来は男性が主役だったはずの作品を女性にしたり、いろんな動きが出てきていますよね。今回の作品賞にノミネートされた作品をみると、『スリー・ビルボード』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『レディ・バード』が女性を主人公にしています。しかも、それぞれ男性に助けられるのではなくて、自分の力で困難を乗り越えていく強い女性たち。ハリウッドに結構、フェミニズムのムーブメントが来ている感じがしますよね。そんな中で、一体、どの作品がアカデミー賞を受賞するのか、興味深いですね」と話す。

 3月5日(日本時間)、オスカー像を手にした女性たちからどんな喜びのスピーチを聴くことができるのか、じっくりと見守りたい。

取材・文=前田かおり

detail_180301_photo02.jpg「ハート・ロッカー」©2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

[放送情報]

『ハート・ロッカー』
WOWOWシネマ 字幕版 3/3(土)午前8:45
WOWOWライブ 吹替版 4/21(土)よる8:00 ほか

毎回必ず"何か"が起こる!? 歴代アカデミー賞ハプニング集

写真:AP/アフロ

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