3月3日から全国順次公開となります『一陽来復 Life Goes On』の話をさせていただきたいと思います。これは東日本大震災の被害に遭った東北3県の小さな地域の方々を追った心温まる、心の復興ドキュメンタリーなんです。僕は藤原紀香さんと共にナレーションを担当しました。東北は僕にとっては地元でもあります。
作品ではいろんな地域で家族を亡くした方々、農業、漁業に携わっている方々のことを描いています。例えばお子さん3人を一度に亡くされた方は「生きていて地獄を感じるんだなと思った」と語りながらもいろんな支えがあって、今は希望を見出して少しずつ前に進んでいる、そういう希望の映画でもあります。それから漁をしている方は「大変な被害に遭ったけども、海が50年若返った。ここで人間は環境に負荷のかからないようにして、人間が及ぼしてきた影響のことを考えるべきだ。こういう時こそ自分たちは学ぶことがあるはずだ」とおっしゃっていました。その地域に住んでいない人間、いや日本人、人間すべてに関わることだなと思いました。
ドキュメンタリーですからストーリーや有名なスターの出演がある訳ではありませんが、画面に映った人々の言葉が心に刺さってきます。思ったのはどんなに素晴らしい脚本家が書いたり、名優が話す台詞よりも、いま困難に立ち向かって前に向かって生きている人の言葉は説得力があるということです。
監督はユン・ミアさんという方で、これまでドキュメンタリーのプロデューサーを務めてこられて、これが初監督ということです。女性ならではのすごく優しい目線で、東北の人々を見守るように描いているので、最後にはすごいほっこりした気持ちになれると思います。
お近くの映画館で上映される際は、ぜひご覧いただければと思っています。
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