2019/02/26 up

斎藤工×板谷由夏 映画工房#374『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 観る側にも痛みが伴う映画

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」3/10(日)よる9:00

斎藤工さんと板谷由夏さんが、話題の映画の魅力を語りつくす映画情報番組「映画工房」。今回は、兄の死を機に帰郷した男性が、おいや元妻との交流を通して自身が抱える過去のトラウマと向き合っていく『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(16)を取り上げます。
第89回アカデミー賞で脚本賞に輝き、主演のケイシー・アフレックも本作で主演男優賞を受賞しました。

板谷「製作はマット・デイモンですね。彼が自ら監督、主演をするつもりで企画を立ち上げたところ、脚本が完成した頃にはスケジュールが忙しくなっていたため、脚本のケネス・ロナーガンに監督をオファー。さらに主演も難しくなり幼なじみで親友のベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックに主演を譲ったという...」
斎藤「そのことによってすべてがうまくいきましたよね。」
板谷「そう思います」

ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーが倒れたという知らせを受け故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。兄の死を悲しむ暇もなく、遺言で16歳になるおい、パトリックの後見人を任された彼は、パトリックの面倒を見るため町にとどまることに。しかし彼にとって故郷とは、自身が心を閉ざすことになった、ある悲しい過去を思い出させる場所だった。2人の感想は?

斎藤「ケイシー・アフレックの魅力の一つが、せりふのいらないところ。彼の表情がすべてを物語っています。男優賞を取る方たちが評価されているのは、何かを放っているときじゃなくて、何かを受け止めているときの演技だと思っています。例えば雪かきしながら電話で話すシーンは、その内容は音としては聞こえないけど、いい知らせか悪い知らせかというのが表情で分かる。ミシェル・ウィリアムズもそのスペシャリストみたいな人で、ミシェルは出番が少ないにもかかわらず、徹底的な心情描写でそこに見えない時間を見せてくれました」
板谷「凝縮してね」
斎藤「2人のやりとりとか、せりふが必要無いくらい表情ですべてが伝わってくるというところがまずすばらしい映画だと思います。あとは構成がすごい。現在から過去への入り方がとても印象的で、作為的で、それがすべてハマっていると感じます。"見せない"というのがポイントで、その分こっちが思い描いていくという導かれ方をした挙げ句の、これです! っていう、最も残酷なやり方。あの一連の流れが客観から主観に引きずり込んで、痛みを伴う映画鑑賞になる」
板谷「そうね。いきなり痛みがくるよね。体感する。その痛みだらけの男が、おいっ子と一緒に過ごす時間、あの2人の何も言わないけど心が通じ合っている感じが、すごく好きだった」

WOWOWシネマで放送される特集を、そのジャンルの詳しい人に聞く企画「私の知らないセカイ」。今回は3月5日から始まる特集【映画に出会う![光と色彩の巨匠 チェン・カイコー]】に合わせて、日中映画研究者の方にチェン・カイコー監督の魅力を語っていただきます。

最近あまり映画を観ていないあなたにこそ観てほしい作品を、映画解説者の中井圭さんが紹介する、「ナカイの1本 ナカチョイ」のコーナー。今回は『トゥモロー・ワールド』(06)を紹介します。

『トゥモロー・ワールド』
WOWOWシネマ 3/4(月)よる9:00

detail_190226_photo02.jpgA UNIVERSAL PICTURE©2006 UNIVERSAL STUDIOS

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【話題の映画やWOWOWシネマならではの特集の魅力を、映画好きの俳優、斎藤工と板谷由夏が語りつくす。映画との新たな出会いを提供する映画情報番組・映画工房】

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