2020/01/10 up

スピードワゴン小沢一敬が「最高にシビれる映画の名セリフ」を紹介! 第11回の名セリフは「シャザム!」

「シャザム!」1/25(土)よる8:00他

取材・文=八木賢太郎

 映画を愛するスピードワゴンの小沢一敬さんならではの「僕が思う、最高にシビれるこの映画の名セリフ」をお届け。第11回は、アメコミ映画史上最年少の"ダサかわ"ヒーローが登場するDCユニバースの異色作『シャザム!』('19)。さて、どんな名セリフが飛び出すか?

──今回はDCコミックスのヒーロー、シャザムの映画ですが、小沢さんはDCとかマーベルとかのシリーズは観てますか?

小沢「全部じゃないけど、観てますよ。もちろん、好きなのもあれば、そうでもないのもあるって感じで。「X-MEN」シリーズなんかは好きなんだけど。基本的に俺は、ヒーローものとかファンタジーものは嫌いじゃないから」

小沢一敬さんの他のインタビューはこちら >

──今回の映画版『シャザム!』はいかがでしたか?

小沢「この映画さ、映画館で予告編を何回も観てたのよ。その予告編がコメディ・タッチだったから、そういうつもりで観始めたら、最初の10分ぐらいがすごいシリアスな展開だったでしょ? 俺、間違えて違う映画を観ちゃったかと思って(笑)」

──確かに、あの予告編のノリとは違う始まり方でしたね。

小沢「そうそう。ナメてたっていうか、だいぶ軽めの映画だと思ってたのに、ダーク・ファンタジーみたいな導入だったから。こっちも夢中になって観てたら、途中からちゃんと軽いノリの映画になったよね(笑)。でも、結果的にはよかったよ。とても楽しめる映画だった。エンディングにラモーンズの曲が流れるのも最高だったし」

──ラモーンズの「I Don't Want to Grow Up(邦題:大人になんかなるものか)」でしたね。まさにこの映画のテーマ・ソングにふさわしい曲で。

小沢「俺も子どもの頃はさ、絶対にヒーローになれると思ってたの。ああやって誰かに選ばれる少年だと信じてた(笑)。男の子はみんな絶対どこかでそう信じてたと思うけど。ただ、俺らの時代のヒーローって真面目で真っすぐだったけど、シャザムは斜に構えてて、世の中を俯瞰で見てるじゃない。これってたぶん、いろんなヒーローものを通過してきた人が作ったヒーロー映画なんだろうね。メタ的な構造が、ホラー映画の『キャビン』('11)と似てる。ヒーローものの定番ネタでいちいちボケを入れてたり。だからヒーローものをたくさん観てきた人は、より楽しめると思う」

──それでいて、マニアックに走り過ぎてないから、ヒーローものに興味なかった人でも楽しめますね。

小沢「そうだね。子どもが初めて観るヒーロー映画としても、純粋にハッピーで楽しいし。勧善懲悪だけじゃなく、友情とか家族とかのテーマもちゃんと描かれてるし。あえて褒め言葉として言わせてもらうなら、"最高のB級映画"だよね」

──確かに、そういう感じの位置付けですね。

小沢「笑いの要素も多いし、スピード感とテンポ感がいいから飽きないで観られるし、娯楽のB級映画として最高だと思う。吹替版と字幕版でそれぞれ面白さも違うから、WOWOWで観る人は両方観てほしいね。もちろん欲を言えば『もっとこうしたらよかったのに』って思う部分もあるにはあるんだけど、たとえそこをうまく詰めたところで、決してA級やS級にはならないと思うから、この映画は(笑)」

小沢「あとこの頃さ、俺も年を取ってきたからなのか、10代の主人公っていうものに、ものすごく憧れてるのね」

──それは、どういう意味で?

detail_200110_photo02.jpg© 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. SHAZAM! and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics.

小沢「最近でそれを一番強く感じたのが、将棋の藤井聡太七段。とある将棋のイベントに藤井君が登壇していて、その映像を観てたんだけど、その中にファンからプロ棋士への質問コーナーがあって、『将棋の神様に一つだけお願いをするなら、何をお願いしますか?』っていう質問があったのね。この質問には、登壇した複数の棋士たちの中で藤井君が最後に答えることになるんだけど、まず一人目の棋士は『すべての対局に勝てますように』と答えて、次の棋士は『メンタルを強くしてほしい』と答えたの。そして、3人目は『長く現役でやらせてください』と」

──それぞれ願い事の種類が違ったわけですね。

小沢「そう。で、最後に『では、藤井さんは?』と振られて藤井君が言ったのが...
『そうですね。将棋の神様がいるのなら、一局お手合わせ願いたいです』」

──お~、カッコいい! まさにシビれる名セリフだ!

小沢「もうね、藤井君って、やっぱり生まれながらの主人公なんだって思い知らされた。勝ち続けるとか、メンタルを強くするとか、ずっと現役を続けるとかって、実は自分の努力でなんとかなることなんだよね。だけど、神様と将棋をするって、自分の努力だけでは実現しないじゃん。つまり藤井君は、努力すればできることは全部やってるってことなんだよ。頑張ればできることは、自分でやる人なの」

──発想が違うんですね、根本的に。

小沢「たとえば俺が『お笑いの神様に何か願うなら?』って聞かれたら、やっぱり『M-1で優勝できるネタください』とか『めちゃくちゃ面白い芸人になりたい』とか言っちゃうと思う。だけどそれが藤井君なら、『僕がボケるからツッコんでください』って言うわけでしょ。その発想がないもん。つまり、そんなことを言えちゃう10代の主人公ってものに憧れてるから、この『シャザム!』という映画も俺はとても楽しめたよ、という話!(笑)」

──なんとか無理やり映画の話に戻ってきました。

小沢「いや、この藤井君の話をどこかでしたかったのよ。この『シャザム!』の主人公は決して藤井君タイプではないし、何なら正統派の主人公をバカにしてる男の子でしょ。でも、そんな彼もこの映画の中で成長していくわけじゃん。彼は友情とか家族というものをずっと信用しないで生きてきたけど、最後はそれを信じられるようになる。10代の主人公っていうのは、そうやって成長する余白をまだまだ残してるわけで。藤井君だって、これからまだまだ成長する。そういうのを観てると、ホントにうらやましくなってくるんだよね、最近」

──そんな小沢さんが、今回一番シビれた名セリフは?

小沢「今回はもう、この映画のテーマであり、一番重要なあのセリフしかないでしょ」

──つまり?

小沢「シャザム!」

detail_200110_photo03.jpg© 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. SHAZAM! and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics.

──主人公のビリー(アッシャー・エンジェル)が魔術師シャザム(ジャイモン・ハンスウ)から超能力を授けられるときのキーワードであり、ヒーローに変身したり戻ったりするときの呪文であり、そして、最後に仲間たちに力を分け与えるときの合言葉でもある、「シャザム!」。

小沢「やっぱり、これがこの映画のキモだから。この言葉が何十回と出てくるんだけど、俺が一番好きだったのはどこの『シャザム!』だったのか、みんなで想像しながら観てほしいね(笑)」

取材・文=八木賢太郎

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  • 小沢一敬
    愛知県出身。1973年生まれ。お笑いコンビ、スピードワゴンのボケ&ネタ作り担当。書き下ろし小説「でらつれ」や、名言を扱った「夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き」「恋ができるなら失恋したってかまわない」など著書も多数ある。

「このセリフに心撃ち抜かれちゃいました」の過去記事はこちらから
小沢一敬の「このセリフに心撃ち抜かれちゃいました」

[放送情報]

シャザム!
WOWOWシネマ 1/25(土)よる8:00
WOWOWプライム 1/26(日)午後1:00
WOWOWプライム 1/27(月)よる7:45
WOWOWシネマ 2/2(日)午前9:45
WOWOWシネマ 2/11(火・祝)5:45
WOWOWプライム 2/27(木)午後5:30

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