2020/03/03 up

『コンフィデンスマンJP』ダー子というか、長澤まさみに首ったけ!

『コンフィデンスマンJP ロマンス編』3/7(土)よる8:00他

文=佐々木優

 第5回東宝シンデレラオーディションで、当時、史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、『クロスファイア』('00)で映画デビュー。『ロボコン』('03)で映画初主演を飾り、『世界の中心で、愛をさけぶ』('04)の白血病に侵されるヒロイン役でブレイクして以降は常に第一線で活躍。早くもデビュー20周年を迎える今、長澤まさみは最も輝いている女優の一人といってもいいだろう。

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 いまや人気、実力ともに兼ね備える女優となった長澤のどこに人々は魅了されるのか。身長168cm、すらりと伸びた手足に均整の取れたプロポーション、笑ったときの天真爛漫な愛くるしい表情、それとは対象的にクール・ビューティーさながらの涼やかで強いまなざし。そして健康的な快活さと、憂いを帯びた艶やかさが同居するたたずまい。もちろん、それらはすべて彼女の大きな魅力である。

 だが、その外見的な美しさや雰囲気だけでなく、シリアスからコメディまでを柔軟にこなす演技の幅の広さ、唯一無二の不思議な多面性も忘れてはならない。エンタメ大作はもとより、『海街diary』('15)の是枝裕和監督、『散歩する侵略者』('17)の黒沢清監督といった、世界的に活躍する名匠からのオファーが絶えない理由もそこにある。TVのバラエティなどでのぞかせるふわりとした人柄も相まって、だからこそ彼女は男性のみならず女性にも愛されるのだ。
 WOWOWではこの3月、そんな長澤まさみの魅力に迫るべく5本の代表作をラインナップした。

detail_200303_photo02.jpg『キングダム(2019)』3/6(金)午後4:45他
©原泰久/集英社 ©2019「キングダム」製作委員会

 初放送となる『コンフィデンスマンJP ロマンス編』('19)は、コメディエンヌ=長澤まさみを堪能するにはうってつけの作品だ。古沢良太のオリジナル脚本をTVドラマに続いて映画化した本作で、長澤は天才信用詐欺師、ダー子をノリノリのハイ・テンションで演じている。

detail_200303_photo03.jpg『コンフィデンスマンJP ロマンス編』
©2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

 今回、ダー子が"ワクワクドキドキムラムラペロペロ"したくなるようなオサカナ(ターゲット)に選んだのは、香港経済界の女帝、氷姫ことラン・リウ(竹内結子)が持つ伝説のダイヤモンド。仲間のボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)らとともに、ありとあらゆる手段を駆使した頭脳戦が展開されるのだが、その中でもころころと変わるダー子の豊かな表情、言い換えれば百面相(変顔&ブス顔含む)はまさに長澤の面目躍如だろう。普段のおちゃらけたキャラとミッション遂行中の真剣なキャラとの対比や、元恋人の恋愛詐欺師、ジェシー(三浦春馬)の前で見せる恋する乙女の表情も見逃せない。また、香港といえばの黄色に黒ラインのトラックスーツ、リラックスし過ぎのTシャツ&短パンジャージーをはじめ、シーンごとに変わるダー子のおしゃれかつユニークなファッションも楽しい。

detail_200303_photo04.jpg『コンフィデンスマンJP ロマンス編』
©2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

 アクション女優としての長澤まさみの勇姿を見るなら、原泰久の大ヒット・コミックを佐藤信介監督が映画化した『キングダム』('19)を。古代中国の春秋戦国時代を舞台に、乱世の中で覇権を競う王や武人たちの活躍を描く本作で、長澤は主人公の信(山﨑賢人)と秦国の若き王、エイ政(吉沢亮)に加勢する山の民の王、楊端和を笑顔を封印して熱演。せりふは決して多くないながらも圧倒的な存在感を見せつけ、華麗な剣術やワイヤー・アクションも披露している。

detail_200303_photo05.jpg『キングダム(2019)』
©原泰久/集英社 ©2019「キングダム」製作委員会

 アクションではこれ以外に、久保帯人の人気コミックを同じく佐藤信介監督が実写化した『BLEACH』('18)、黒澤明監督の名作時代劇を樋口真嗣監督がリメイクした『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』('08)にも注目だ。

detail_200303_photo06.jpg『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』3/7(土)よる6:00他
©2008「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」製作委員会

 他にも、『いま、会いにゆきます』で知られる市川拓司の小説を、山田孝之、塚本高史共演で映画化したラブ・ストーリー『そのときは彼によろしく』('07)をラインナップ。ここでは映画『モテキ』('11)などでも見せた、等身大の女性を演じる長澤のチャーミングな魅力を再認識できるはずだ。

detail_200303_photo07.jpg『そのときは彼によろしく』3/7(土)午後4:00他
©2007「そのときは彼によろしく」製作委員会

 5/1(金)にはシリーズの歴代詐欺師が大集合する最新作『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が公開。初夏公開予定の大森立嗣監督作『MOTHER マザー』では、感情と欲望のままに男に体を預けるシングルマザー役で新境地に挑んでいる。さらに2021年公開予定の『シン・ウルトラマン』でも大役を担うなど、待機作もめじろ押しだ。長澤まさみの今後のさらなる飛躍を、一人のファンとして楽しみに見届けたい。


文=佐々木優
映像エンタメ誌やweb媒体を中心に執筆する映画ライター。編集プロダクション、出版社、ピンク映画などを経てフリー。1964年生まれ。


[放送情報]

BLEACH
WOWOWシネマ 3/5(木)午後5:00


キングダム(2019)
WOWOWシネマ 3/6(金)午後4:45
WOWOWシネマ 3/20(金・祝)午前7:40


そのときは彼によろしく
WOWOWシネマ 3/7(土)午後4:00
WOWOWライブ 4/17(金)よる9:30
WOWOWプライム 4/28(火)午前4:50


隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
WOWOWシネマ 3/7(土)よる6:00
WOWOWシネマ 3/30(月)午前11:30


コンフィデンスマンJP ロマンス編
WOWOWシネマ 3/7(土)よる8:00
WOWOWプライム 3/8(日)午後4:00
WOWOWプライム 3/12(木)よる8:00
WOWOWシネマ 3/15(日)午後2:30
WOWOWプライム 4/5(日)午前9:00


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