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「生中継!第91回アカデミー賞授賞式」2/25(月)午前8:30

 数あるアカデミー賞のカテゴリーの中でも、作品賞や監督賞、主演男優&女優賞などはニュースでも大きく取り上げられるが、マニアックな部類に入るのが視覚効果賞だろう。

 そもそも「視覚効果とは何か」ということすら、理解していない人も多い。「CGを使うヤツでしょ」という答えが返ってきそうだが、視覚効果(ビジュアルエフェクト: VFX)とCGに直接の関係はなく、昔のように光学(オプチカル)合成などの技術を用いていても視覚効果と呼ばれる。簡単にいえば、撮影済みの映像に二次的な効果を加えることだ。

 よく似た言葉に特殊効果(スペシャル・エフェクト: SFX)があり、フィジカル・エフェクト、プラクティカル・エフェクトなどとも呼ばれ、撮影中に爆発を起こしたり、天候操作、建物の倒壊、飛行機&船舶などの揺れ、ワイヤーワーク、アニマトロニクスなどの物理的な仕掛けを施してリアルタイムに表現される効果をいう。

 以前は、特殊効果のスーパーバイザーが視覚効果も兼任することが多かったため、特殊効果賞(Academy Award for Best Special Effects)というカテゴリーで一緒にされていたが、驚くことに1939年から1962年の間は音響効果とも合同だった。そのため昔の米国の映画雑誌には、「業界内でヒエラルキーが高い、音響効果技術者が優遇されている」というコメントも載っていた(こういった扱いは今でも変わらず、映画のエンドクレジットでは視覚効果スタッフが最後の方にやっと出てくるというのが習慣化している)。

 1963年にやっと音響効果編集賞(現・音響編集賞)が分離され、1964年から特殊視覚効果賞(Best Special Visual Effects)となっている。この頃の受賞者を見ると、『メリー・ポピンズ』('64)でマットペインティングを手掛けたピーター・エレンショウや、『ミクロの決死圏』('66)の合成を担当したアート・クルックシャンクがいる一方で、『007/サンダーボール作戦』('65)のスペシャルエフェクトを手掛けたジョン・スティアーズもいるというように、SFX/VFXの両分野のスタッフが混ざってしまっている(極端な例では、監督自身が受賞してしまった1968年の『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリックがある)。

 こういったその他もろもろ扱いを脱したのは、カテゴリーの名称が1977年に視覚効果賞(Best Visual Effects)とされてからだ。そして受賞作となった『スター・ウォーズ』('77)の影響で、映画業界全体における視覚効果への注目も大きくなる(貢献度の割に、その地位は低いままだが)。名称が変わっても、完全に特殊効果技術者が排除されてしまったわけではないが、モーション・コントロール・カメラやオプチカル・プリンターなどの視覚効果用機材が、とてもカッコよく感じられた。

 そして何度も受賞を繰り返した、ジョージ・ルーカス率いるI.L.M.のようなスタジオや、そこでスーパーバイザーを務めたリチャード・エドランド、デニス・ミューレン、ケン・ローストンらの名前がスター扱いされるようになっていく。

 特殊効果賞としてスタートして以来、オスカー受賞者の国はアメリカかイギリスのどちらかだった。だがその状況も21世紀に入って一変する。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作('01~'03)と『キング・コング』('05)、『アバター』('09)で受賞したニュージーランドのWeta Digitalや、『ヒューゴの不思議な発明』('11)を手掛けたドイツのピクソモンド、さらに『ゼロ・グラビティ』('13)のフレームストアや、『インセプション』('10)、『インターステラー』('14)、『エクス・マキナ』('15)、『ブレードランナー 2049』('17)のダブル・ネガティブ(DNEG)、『ジャングル・ブック』('16)のMPCといった英国勢など、米国以外に本社を持つスタジオが多い。米国企業の受賞は、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』('12)のリズム&ヒューズ・スタジオの第85回が最後だが、授賞式の11日前に同社は倒産していた。

 こうなってしまった背景には、視覚効果におけるCGの比率が高まり、コンピューターとソフトさえあれば、世界中どこでもスタジオが作れるようになったことが関係している。そのため、多くの国や州が税制優遇でVFXスタジオの誘致合戦を繰り広げ、米国企業は圧倒的に不利になってしまったのである。

『レディ・プレイヤー1』

detail_190222_photo02.jpg© Warner Bros. Entertainment Inc.

 だが今年は、I.L.M.が『レディ・プレイヤー1』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の3本でノミネートされており、久々に米国にオスカーが戻ってくる可能性もある(とはいえ、これらの作品に関わっているスタジオは多く、国籍も多様である)。また英国勢では、『ファースト・マン』のDNEG(現在はインド資本)や『プーと大人になった僕』のフレームストア(現在は中国資本)などもあって、オスカーの行方は予断を許さない。

文=大口孝之

[放送情報]

レディ・プレイヤー1
WOWOWシネマ 2/22(金) 深夜1:00
生中継!第91回アカデミー賞授賞式
WOWOWプライム 2/25(月) 午前8:30

「モーリス」2/24(日)よる11:30

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  • 文=よしひろまさみち

    映画ライター。「sweet」「an an」ほか、女性誌、情報誌などで連載。テレビやラジオなどの番組でも映画紹介を担当している。

 同性愛、ことボーイズ・ラブの映画は、'80年代から女性に支持されているジャンル。'80~'90年代はよく「禁断の愛」なんてキャッチコピーをつけられていたけど、もうそんなの昔の話ですよね~。というか、ぶっちゃけ今、ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなどの性的マイノリティを描いた映画に「禁断の~」なんてキャッチコピーつけたら、あたしを筆頭に大激怒ですよ。だって、禁じられてないんだもの。性自認ができている大人同士の愛に禁断なんてありません(子どもはダメよ)。

 とはいえ、ボーイズ・ラブの映画となると、それが禁じられている、もしくは偏見や差別にさらされることを嫌って隠れてコソコソ、という背徳感込みで、抑圧された中での恋愛にときめきを感じるというのも否定はできないのよね。となると、舞台設定は'80年代以前、もしくは宗教的背景があって同性愛を認めるわけにはいかん、という設定じゃないとダメ。
その点での傑作といえば『モーリス』('87)。これが日本で公開されたときのことは忘れられません。若き日のヒュー・グラントの姿がTVスポットでバンバン流れ、シネスイッチ銀座に大行列&立ち見御礼。いやー、よかった。何がよかったって、同性愛が犯罪とされていた時代の物語が持つ背徳感に反比例した映像と俳優たちの美しさが、素直に高い評価を受けたこと。またぬれ場ありなのに、高校生でも観に行けたこと(それはあたし)。物語自体はアルアルなのに、とにかく美しいのが見どころ(失礼......でもゲイだから、という話でもない初恋引きずり物語だもの)。これは、もうジェームズ・アイヴォリー監督のなせる技。
ジェームズ・アイヴォリー監督は、現在御年90歳の巨匠。『眺めのいい部屋』('86)の大ヒットの後『モーリス』を撮ったこともあって、『モーリス』はかなり注目を浴びたのよね。そんな監督自身もゲイ。パートナーとは彼が亡くなるまで公私を共にした、1920年代生まれのアメリカ人としてはかなりハイカラなお方(なんと40年以上交際!)。だからよね、マイノリティに対する視線が優しいの。彼の手掛けた作品はどれもそうだもの。『日の名残り』('93)にしたってアイデンティティゆえに孤独を味わうマイノリティを描いた傑作。彼やパートナー、そして友が味わってきた差別や偏見を、肌身で感じているから、「性的マイノリティだから」とくくらぬところで、マイノリティに対して優しいまなざしを投げ掛けてくれる、そんな作風。

『君の名前で僕を呼んで』

detail_190215_photo03.jpg©Frenesy , La Cinefacture

 それゆえに、アイヴォリー監督が脚色を手掛けてオスカーを獲得した『君の名前で僕を呼んで』も、ひたすらに美しい情景と青年たちを映し出す大傑作。監督は『サスペリア』のリメイクに挑んだルカ・グァダニーノだけれども、脚本から伝わる優しくて温かなまなざしは、エリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)の関係性と、'80年代にしてはえらくリベラルなエリオの両親のキャラクターに表れているもの。確かにボーイズ・ラブ、というジャンルには入るけど、ぜひともそれだけじゃないところをちゃんとくみ取って!

[放送情報]

君の名前で僕を呼んで
WOWOWシネマ 2/24(日)よる9:00
モーリス
WOWOWシネマ 2/24(日)よる11:30

「犬ヶ島」2/17(日)よる9:00

 ウェス・アンダーソンを映画監督と形容するとき、英語のFilmmakerやDirectorではなく、フランス語のAuteur(オトゥール)という言葉がふさわしい。作家性の強い、芸術的で個性的な作品を放つ彼はアメリカ人ながら、そのテイストはヨーロッパ映画寄り。世界の偉大なクラシック作品の数々にオマージュをささげつつ、独自のストーリーテリングと世界観を追求し続けているのだ。

 ウェス・アンダーソン作品の特徴として、独特のオフビートなユーモアとペーソスが挙げられるが、それがただの一部のシネフィルに向けられたアート映画ではなく、商業的にも成功を収めているところが特筆すべきポイントだろう。あまたの批評家賞を受賞し、アカデミー賞には4作品で9つの部門にノミネートされた経験を持ち、2014年の監督作『グランド・ブダペスト・ホテル』などは全世界で約1億7400万ドル(※1)も稼ぎ出したのだ。世で幅広く受け入れられている、唯一無二の芸術的な現代映像作家といっていいだろう。

 そんなウェス・アンダーソンの最新作が『犬ヶ島』。近未来のディストピアな日本を舞台にしたSFコメディ・ドラマ・アニメーションだ。アンダーソンは過去に『ファンタスティック Mr.FOX』('09)を監督しており、アニメ映画は今回が2作目だが、前回は"狐"(イヌ亜科)で今回は"犬"(イヌ属)。実写で動物を主演に据え、かつ演技指導するのは難しいので、このチョイスは納得でもある。その2本のアニメは共にストップ・モーションだ。ストップ・モーションは、人形などの静止した被写体を少しずつ動かしながら撮影し、まるで動いているかのように見せるアニメの撮影技術。代表作として『ウォレスとグルミット』や『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』('93)、『コララインとボタンの魔女』('09)、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』('16)などがある。『犬ヶ島』の撮影では、なんと2万の背景キャラクターの顔と、アニメ化できる1千体以上の犬と人間の人形を製作したという。驚異的な数である。おかげで、スピード感あふれる同作の中で個性的なキャラクターたちが、幅広いさまざまな表情を見せてくれるのが非常に味わい深い。CGアニメ全盛の今、あえてオールドスクールな手作業が生み出す人間味あふれるストップ・モーションを選ぶのがこだわりの職人、ウェス・アンダーソンらしい。

 高校生時代に『羅生門』('50)を既に鑑賞していたアンダーソンは、黒澤明を「ジョン・ヒューストンやオーソン・ウェルズと並ぶ真のオーソリティー(権威)」と呼び、多大な影響を受けている。それは『犬ヶ島』を観ても顕著で、本作には多くの場面で黒澤明にオマージュがささげられている。まずはタイトル。『犬ヶ島』(Isle of Dogs)は、'49年の『野良犬』(Stray Dog)を連想させるが、ストーリーも前者はアタリ少年が犬ヶ島に追放された愛犬スポックを捜しにいくのに対し、後者は刑事が盗まれた拳銃を探し奔走するという"主人公が失われた大切な何かを探す"部分で共通している。ゴミの島である犬ヶ島は『どですかでん』('70)の舞台となる不思議な街を彷彿とさせられる。本作のヴィランである小林市長の顔は、『天国と地獄』('63)の三船敏郎さながらである。劇中では『七人の侍』('54)と『醉いどれ天使』('48)の音楽を使用している。最後に序盤の、ヒーロー的な犬たちと邪悪な犬たちが対峙するシーンは構図も含め、まさに世界の黒澤の代表作のひとつ『七人の侍』のワンシーンそのものである。

 第91回アカデミー賞長編アニメ賞部門(※2)にもノミネートされている『犬ヶ島』。大学時代に日本映画をこよなく愛し、14年前に初めて日本を訪れて以来、ずっと日本を舞台にした映画を撮りたいと考えていたアンダーソンの念願が叶った本作で、悲願のオスカー初受賞なるかも注目である。

小林真里(映画評論家/映画監督)

(※1)世界興収はBox Office Mojoより
(※2)第91回アカデミー賞は2019年2月24日(日本時間25日)に発表予定。

[放送情報]

犬ヶ島
WOWOWシネマ 2/17(日)よる9:00

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4月20日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画 「夜は短し歩けよ乙女」4/8(日)午前9:00 「ガルム・ウォーズ」3/24(土)よる10:00 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」3/24(土)深夜2:00 「LOGAN/ローガン」3/17(土)よる10:00 「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」4/30(月・休)午後2:00 「機動警察パトレイバー 劇場版」3/25(日)午前5:20 「美女と野獣(2017)」4/14(土)よる8:00
©Disney Enterprises,Inc. 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」3/10(土)よる8:00
©2017 MARVEL 「映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城」3/11(日)午後1:45
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1983 「イニシエーション・ラブ」3/9(金)よる7:00
© 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会 撮影=神保達也、ヘアメイク=鈴木麻水美、スタイリスト=大沼こずえ、衣装=ADORE 「幕が上がる」©2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講 談社 パルコ 写真:AP/アフロ 撮影=坪田彩 ©2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved. 写真:ロイター/アフロ
「生中継!第90回アカデミー賞授賞式」3/5(月)午前8:30~(同時通訳)3/5(月)よる9:00~(字幕版) 撮影=中川容邦 「バレンタインデー(2010)」2/14(水)よる6:45
© Warner Bros. Entertainment Inc. ©Disney Enterprises, Inc. 「チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」©2017映画 「チア☆ダン」製作委員会 「セブン[吹替補完版]」2/10(土)午前11:25 「帝一の國」2/24(土)よる8:00
「帝一の國」©2017 フジテレビジョン 集英社 東宝 ©古屋兎丸/集英社

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