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カテゴリ「その他」の記事

「ジグソウ:ソウ・レガシー」12/15(土)深夜0:00

 今も昔も、スリラーは人気のジャンル。作り手は、常に観客を怖がらせるための新しい発想を追い求めている。21世紀以降も、斬新なスリラーは数多く生まれているが、そんな中でマスターピースと呼べるスリラーを挙げるならば、『ソウ』シリーズ、そして『リング』シリーズということになるだろう。

 ソリッド・シチュエーション・スリラーなるジャンル名を生み出した『ソウ』シリーズの面白いところは、"死のゲーム"というアイデアだ。場所も分からぬ廃屋の浴室で目覚めた、2人の男。足かせで拘束された彼らは浴室の対称の位置に置かれ、部屋の中央には死体が転がっている。そしてレコーダーに吹き込まれた声が告げる―「さあ、ゲームを始めよう」。彼らが強いられるのは、ジグソウと名乗る謎の男が仕組んだ命懸けのゲームだ。勝てば生き延びることができるが、敗者に待つのは死...。2004年に公開された第1作は、そんな設定で世界中の観客を熱狂させたばかりか、その後、多くの亜流作品が作られることになった。

 設定だけではない。『ソウ』シリーズには大きな3つの柱がある。1つ目は、驚くべき結末が待つストーリー展開。ほとんどの作品で"ゲーム"は2つ以上行なわれており、それらが平行して描かれるのだが、その展開はスリリングそのもの。時に時間軸を入れ替えて語られるトリッキーな構造も面白い。2つ目は、目を覆うばかりのバイオレンス。顔面を砕く箱型の装置や、2つの氷塊が頭を挟み打ちにする仕掛けなど、凝った殺人装置は観る者をハラハラさせるに十分。ちなみに、7年ぶりの最新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』('17)には、これらの装置のコレクターが登場する。

 そして3つ目は、ゲームを仕掛けるジグソウというシリアルキラーのキャラクター。これはある意味、シリーズ最大の魅力と言えるだろう。天才的な頭脳を武器にゲームを仕掛けてくるこの殺人鬼は末期がんに冒されており、それゆえに命の価値を理解していない人間を次々とターゲットにする。命の有り難みを理解できればゲームの勝者となるが、それができなければゲームオーバー、すなわち"死"が待っている。このようなある種の哲学を持っているのが、ジグソウなのだ。第3作の『ソウ3』('06)で彼は息絶えるが、その後も後継者たちの犯行が続くのは、カリスマ性の表われとも言えるだろう。

『ジグソウ:ソウ・レガシー』

detail_181130_photo02.jpg©2017 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved Photo credit: Brooke Palmer

 もうひとつの人気シリーズ『リング』は日本の観客には、おなじみだ。見た者は1週間後に必ず死ぬ"呪いのビデオ"の恐怖奇談。原作である鈴木光司のベストセラー小説が日本で映画化されたのは1998年で、その後シリーズ化されたが、2002年には『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督によってハリウッド・リメイクされ、『ザ・リング』となって、やはり大ヒットを記録。このリメイク版も、日本版『リング』の中田秀夫監督をハリウッドに招聘(しょうへい)して続編が製作され、恐怖は広く世界へと伝染していった。これは、オカルト映画の新境地を開いたと言っても過言ではない。

 恐ろしいのは、なんといっても、そのビジュアルだ。ビデオの中に潜む怨霊"貞子"の黒髪と、その隙間からのぞく鋭い目。ハリウッド版では"サマラ"という名に変更されたが、そんなルックスの恐ろしさは、しっかり踏襲されている。ビデオの中で井戸からはい出してきて、さらにはモニター画面からもはい出してくる衝撃のビジュアルは、悪夢的としか言いようがない。

『ザ・リング/リバース』

detail_181130_photo03.jpg©2017 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 『ソウ』のジェームズ・ワンは現在も『死霊館』ユニバースを作り続け、中田秀夫監督も『スマホを落としただけなのに』など現在もスリラーを撮り続けている。そんな彼らの原点としても興味深い両シリーズ。単品で観るよりも、シリーズを俯瞰して観たほうが、恐怖の発生装置の在り方が見えてきて、より楽しめるに違いない。

 文=相馬学

[放送情報]

ソウ
WOWOWシネマ 12/8(土)深夜0:45

ソウ2
WOWOWシネマ 12/9(日)深夜0:15

ソウ3
WOWOWシネマ 12/10(月)よる11:00

ソウ4
WOWOWシネマ 12/11(火)よる11:00

ソウ5
WOWOWシネマ 12/12(水)よる11:15

ソウ6
WOWOWシネマ 12/13(木)よる11:15

ソウ ザ・ファイナル
WOWOWシネマ 12/14(金)よる11:45

ジグソウ:ソウ・レガシー
WOWOWシネマ 12/15(土)深夜0:00

リング
WOWOWプライム 12/25(火)深夜0:00

リング2
WOWOWシネマ 12/30(日)午前11:15

リング0~バースデイ~
WOWOWシネマ 12/30(日)午後1:00

ザ・リング
WOWOWシネマ 12/30(日)午後2:45

ザ・リング2[完全版]
WOWOWシネマ 12/30(日)午後4:45

ザ・リング/リバース
WOWOWシネマ 12/30(日)よる7:00

「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」12/9(日)午後2:45

 10代~20代前半の若手俳優にインタビュー取材をすると、"憧れの俳優"としてかなりの確率で名前が挙がる「山田孝之」。長髪&無精ヒゲで主人公の宿敵キャラに挑んだ『クローズZERO』あたりから、ドラマ版『WATER BOYS』や『世界の中心で、愛をさけぶ』で築き上げてきた、いわゆるヤサ男なイケメン枠を超越。以降は作品ごとに役作りを徹底し、まさにジョニー・デップにも匹敵するカメレオン俳優ぶりを見せている。

 そして『GANTZ』シリーズのような2部作の大作からアート系全開な『ミロクローゼ』まで、その柔軟な作品選びもさることながら、2017年はカンヌ国際映画祭出品を目指す映画製作のシニカルなモキュメンタリー『山田孝之のカンヌ映画祭』から派生した、自身の名をタイトルにした『映画 山田孝之3D』が公開。現在の日本で、間違いなく唯一無二の特異な俳優といえるだろう。

「闇金ウシジマくん」

detail_181122_photo02.jpg©2012 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん」製作委員会

 そんな彼の大きな転機となったのは、'10年放送のTVシリーズ第1期から始まり、後に4本の劇場版が公開された『闇金ウシジマくん』シリーズである。真鍋昌平の人気コミックの実写化で、彼が演じた闇金業者"カウカウファイナンス"社長、丑嶋馨は、何度も裏社会の修羅場を乗り越えてきた生粋のアウトロー。冷静沈着かつ物怖じしない心臓の持ち主という点では、どこか『クローズZERO』の芹沢の延長上といえるかもしれない。だが、外見はまったく違うウシジマ社長を演じるために、山田は圧を感じさせるほどの恰幅の良さ、フチなしの丸メガネや顎ヒゲ、ダボついたヒップホップ系ファッションなどを忠実に再現した。あまりにまっすぐなうえ殺気すら放つ眼差しなど、その"ミリ単位の役作り"は原作ファンからも絶賛されるほどで、まさにハマり役となった。

 さらに、シリーズ最終作となった『―ザ・ファイナル』では、山田自身「初めて感情を作った」と語ったほどであり、それまで金を貸し、貸した金は確実に回収する闇金の行動原理のみで動いてきたウシジマが旧友を気遣う、これまで見せなかった人間らしい一面を見せてくれる。そんな彼のカリスマ的な芝居熱は、林遣都(『1作目』)をはじめ、菅田将暉、窪田正孝、門脇麦(以上『Part2』)、山田裕貴(『Part3』)、間宮祥太朗(『ザ・ファイナル』)など、同じ現場にいた後輩俳優にも影響を及ぼしている。つまり、現在の彼らの活躍に大きく繋がる"青田買いシリーズ"としても改めて楽しむことができるのだ。

「闇金ウシジマくん Part3」

detail_181122_photo03.jpg©2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

 何かと話題になる"人気コミックの実写化"だが、山田自身も、最初の転機となった『クローズZERO』で共演した小栗旬、さらに'11年からのTVドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズなどのコラボが続く福田雄一監督らと共に、「キャスティングや脚色によって、いかに面白くできるか?」という、コミック原作の実写化について回る問題に対して、常に真摯に向き合いながら作品に挑んでいる重要人物といえるだろう。

 ちなみに、今回WOWOWで一挙放送される劇場版『闇金ウシジマくん」シリーズを手掛けた山口雅俊監督は、フジテレビのプロデューサーとしてTVドラマ『ロング・ラブレター~漂流教室』『ランチの女王』など、ブレイク前の山田を抜擢した人物。と同時に、過去に中居正広主演でドラマ化された『ナニワ金融道』や常盤貴子&深津絵里主演の連ドラ『カバチタレ!』といった、不可能とも思われた金融コミックの実写化を成功させてきた人物でもある。つまり、コミック原作の実写化に対して熟知した考えを持った両者による運命的なコラボだったからこそ、『闇金ウシジマくん』の実写化は、興行的にもファンからの評価的にも成功したのだろう。

文=くれい響

[放送情報]

闇金ウシジマくん
WOWOWシネマ 12/8(土)午後0:00

闇金ウシジマくん Part2
WOWOWシネマ 12/8(土)午後2:15

闇金ウシジマくん Part3
WOWOWシネマ 12/9(日)午後0:30

闇金ウシジマくん ザ・ファイナル
WOWOWシネマ 12/9(日)午後2:45

「スリー・ビルボード」11/18(日)よる9:00 ほか

 映画『スリー・ビルボード』は、第90回アカデミー賞で主要6部門にノミネートされ、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)と助演男優賞(サム・ロックウェル)を獲得した。これは作品が優れている証明であることはもちろん、キャストの演技が素晴らしい映画であると思ってもらって間違いない。

 殺された娘の犯人が見つからないことに業を煮やし、町の警察と対立する母親を演じたフランシス・マクドーマンドは、過去に『ファーゴ』でも第69回アカデミー賞主演女優賞に輝いている、押しも押されもせぬ大女優。『スリー・ビルボード』でも大本命と目されていたので、受賞は誰もが順当だと思ったはず。助演男優賞のサム・ロックウェルもまた、差別主義者の警官を白黒曖昧に妙演して下馬評通りに初のオスカー像を手にした。

 この助演男優賞部門で面白かったのは、ロックウェルがオスカーを争ったライバルが、同じ『スリー・ビルボード』に出演していたウディ・ハレルソンだったこと。ハレルソンはロックウェルが演じた警官の上司である町の警察署長を演じており、この年のアカデミー賞では、上司と部下が一緒にノミネートされていたことになる。

 2人が演じた役は、一見正反対だ。ロックウェルの役どころは、感情の高ぶりが抑えきれず、ところかまわず暴力を振るってしまう粗野な田舎者。対してハレルソンは、事件の犯人が見つからないことを責められても、冷静に受け止める度量の大きい年長者。署長にとって、問題ばかり引き起こすロックウェル演じる年下の警官は悩みのタネのはずなのだが、署長はあくまでも寛容な態度で見守っている。

 そのうち分かってくるのは、署長が年下の警官の中に、かつての自分を重ねていたのではないか、ということ。似た者同士だったからこそ、欠点ばかりのロクデナシの中に美点を見つけ、そのおかげでロックウェル演じる警官は劇的な変化を遂げることになるのだ。そんな師弟関係を、あくまでもぶっきらぼうに、ウェットな2人の感動シーンを一切入れることなく表現した演出も演技も本当に素晴らしい。

 実はハレルソンもロックウェルも、個性派俳優であることがある意味で足かせとなり、アクの強いキャラにばかりキャスティングされる傾向があった。ハレルソンの名を世に知らしめたのは、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の暴力と殺人を繰り返すサイコ野郎と、ポルノ雑誌でのし上がった男の破天荒一代記『ラリー・フリント』だった。ロックウェルは、膨大な本数の映画で宇宙のスチャラカ大統領や自称CIAスパイのテレビマンなど振り切ったキャラを演じてきたし、そのどれもが陰と陽のどちらにも転ぶ狂気を秘めていて、とにかくこの2人に"ヤバい役"を振っておけば安心、という風潮すらあった。

 ところが『スリー・ビルボード』では、2人の強烈な個性を活かしつつも、あくまでも田舎住まいの等身大の庶民の姿を演じさせていて、その狙いはみごとに的中している。2人が持っている不穏な空気が――特にロックウェルに関しては、前述した"ヤバさ"が映画前半の人間的な拙さに直結していて、だからこそ後半の転調がより一層際立ってくるのだ。

 つまり『スリー・ビルボード』は"ヤバい"名優2人が、その演技力の高さと深みを最良の形で発揮したケースであり、ハレルソンやロックウェルのファンにも、そして今まで彼らを気にしていなかった人たちにとっても、彼らのベストアクトを満喫できるまたとない作品なのである。

文=村山章

[放送情報]

スリー・ビルボード
WOWOWシネマ 11/18(日)よる9:00 ほか

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4月20日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画 「夜は短し歩けよ乙女」4/8(日)午前9:00 「ガルム・ウォーズ」3/24(土)よる10:00 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」3/24(土)深夜2:00 「LOGAN/ローガン」3/17(土)よる10:00 「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」4/30(月・休)午後2:00 「機動警察パトレイバー 劇場版」3/25(日)午前5:20 「美女と野獣(2017)」4/14(土)よる8:00
©Disney Enterprises,Inc. 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」3/10(土)よる8:00
©2017 MARVEL 「映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城」3/11(日)午後1:45
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1983 「イニシエーション・ラブ」3/9(金)よる7:00
© 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会 撮影=神保達也、ヘアメイク=鈴木麻水美、スタイリスト=大沼こずえ、衣装=ADORE 「幕が上がる」©2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講 談社 パルコ 写真:AP/アフロ 撮影=坪田彩 ©2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved. 写真:ロイター/アフロ
「生中継!第90回アカデミー賞授賞式」3/5(月)午前8:30~(同時通訳)3/5(月)よる9:00~(字幕版) 撮影=中川容邦 「バレンタインデー(2010)」2/14(水)よる6:45
© Warner Bros. Entertainment Inc. ©Disney Enterprises, Inc. 「チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」©2017映画 「チア☆ダン」製作委員会 「セブン[吹替補完版]」2/10(土)午前11:25 「帝一の國」2/24(土)よる8:00
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