写真:AP/アフロ
毎年、サプライズや感動的なスピーチなど名ドラマが生まれるアカデミー賞授賞式。今年の第90回もその祭典は生中継されるが、ライブゆえに思いがけないハプニングが流されてしまうこともある。
記憶に新しいところでは、前回第89回授賞式で起きた作品賞受賞作の取り違えだ。プレゼンターとして登場した往年の大スター、ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイに誤って異なる部門の封筒が渡され、作品賞は『ラ・ラ・ランド』と発表された。同作のキャストやスタッフが喜ぶ中で間もなく間違いだったと判明し、ステージ上は騒然! 『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーが「受賞作は『ムーンライト』です」と訂正し、バリー・ジェンキンス監督にオスカー像を渡して、その場を収めることができた。単純な人為的ミスが原因だったようだが、アカデミー史に残る一大事になったことは間違いない。
過去をさかのぼると、招かれざる客が乱入したことがあった。1974年の第46回授賞式で、ステージ上で司会を務めていた名優デヴィッド・ニーヴンの背後を全裸の男性がVサインしながら横切るという事件が発生。なんとアメリカでは、全裸の男性がTVで放送されたのはこれが史上初だったとか。逆に、招かれたものの来場しなかったのが、『ゴッドファーザー』で第45回主演男優賞の受賞を辞退したマーロン・ブランド。授賞式には自分の代わりにネイティブ・アメリカン姿の女性活動家を登壇させ、アメリカ映画における人種差別などについてスピーチさせた。
栄えある賞を得ても、その喜びや反応もさまざま。『戦場のピアニスト』で第75回主演男優賞を獲得したエイドリアン・ブロディは、29歳という史上最年少での受賞がよほど嬉しかったのか、プレゼンターのハリー・ベリーに熱烈なキス! あまりの勢いにハリー・ベリーも苦笑いを見せた。かと思えば、『ザ・ファイター』で第83回助演女優賞に輝いたメリッサ・レオは、感激と緊張のあまり、ジョークを飛ばすつもりで"Fワード"を発する失態をしでかしている。
今年の第90回授賞式で司会を務めるのは、前回に続きトーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」で人気のコメディアン、ジミー・キンメル。会場に集まったハリウッドのスターたちを相手に、どんなジョークを飛ばし、笑いを繰り出し、どんなショーを展開してくれるのだろうか。
WOWOWのアカデミー賞授賞式の生中継でレッドカーペット・リポーターを務めるすみれさんは、「私が一番楽しみにしているのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』で助演女優賞にノミネートされているオクタヴィア・スペンサーですね。彼女とは、『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』で一緒にお仕事をさせていただき、とても親しくしています。ぜひ、受賞してくれると嬉しいですね」と話す。
賞の行方ともども、今回はどんなハプニングが起こるのか、最後の最後まで目が離せそうにない。
取材・文=前田かおり
[放送情報]
第90回アカデミー賞授賞式
WOWOWプライム 3月5日(月)午前8:30 ほか
『ラ・ラ・ランド』
WOWOWシネマ 字幕版 3月3日(土)よる8:00 ほか
『ラ・ラ・ランド』
WOWOWプライム 吹替版 3月4日(日)午後3:30 ほか
『ムーンライト』
WOWOWシネマ 字幕版 3月4日(日)よる10:00 ほか
『ムーンライト』
WOWOWプライム 吹替版 3月7日(水)深夜1:00 ほか
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