2018/02/26 up

高良健吾の心に響いた映画は傷ついたあのヒーローの最終章!

 伊坂幸太郎作品の初の連続ドラマ化! 2月17日よりついにスタートした連続ドラマW「バイバイ、ブラックバード」(全6話)。主演の高良健吾は、多額の借金を抱えた5股男・星野一彦役で登場し、不思議な魅力を湛えた"伊坂ワールド"を牽引していく。
 「星野本人には多分、5股という意識はなくて、目の前の女性から求められるとつい、それに応えたくなっちゃう人間だと思うんですよ。相手が何か困っていたら手を差し伸べ、助ける......つまりは人のいいヤツで邪気がないんです。"ある組織"に莫大な借金を作り、連れ去られてしまいそうになるのですが、その前に5人の恋人全員に会い、直接別れを告げようとする。根は責任感のある男じゃないかな」
 "ダメンズ"だが人の懐にスルっと入ってきて、どこか憎めないキャラクター。"ある組織"から派遣された監視役、繭美(城田優)とのやり取りがすこぶるユニークな、ひねった「バディ物」でもある。演出を担当した森義隆監督と組むのは、高校の野球部の補欠部員にスポットを当てた青春ムービー『ひゃくはち』('08)以来。
 「10年前、森監督が『ひゃくはち』を手がけたときは28歳で、今、僕は29歳......当時監督は僕よりも一歳若くてあんな素晴らしい映画を撮ったのか、と嫉妬しましたね(笑)。監督が『ひゃくはち』の後に発表された『宇宙兄弟』('12)や『聖の青春』('16)も当然追いかけて見ていますが、語り口は淡々としているのに作品の熱量はどんどん増してきている。今回の『バイバイ、ブラックバード』もクールな味わいなのに芯はホット。一つひとつの台詞を大切にしながら、森監督とは10年ぶりにとても良いセッションができました」
 変幻自在の実力派アクターとして着実に歩を進める高良だが、さてプライベートの"シネマライフ"についてきくと、映画は新旧、邦洋、ジャンルを問わず、分け隔てなく何でも見るという。WOWOW の3月のラインナップからオススメを伺ってみると、あの作品が!
 「(ラインナップを一通り眺めて)あっ、『聖の青春』や『ラ・ラ・ランド』も放送されるんだ。これもどちらも見てほしいけれど、特に推したいのはジェームズ・マンゴールド監督の『LOGAN/ローガン』ですね。ヒュー・ジャックマンの当たり役、強靭な肉体と超人的な治癒能力を持ったミュータント、"ウルヴァリン"ことローガンの物語の最終章なのですが、『X-MEN』シリーズの中で一番面白かったです。ローガンってこれまで婚約者を筆頭に、自分の近くに身を寄せてきた大切な人たちをたくさん亡くしているんですよね。だから他人に対して心を閉ざすようになってしまった。この映画では"ローラ"という名の11歳の身寄りのない少女を託されて、初めは冷たく接するんです。そういう過去があるから。この子にも危険が及ぶんじゃないかって。だけどもやっぱり放ってはおけない。その葛藤が痛いほど伝わってきましたね。一緒に旅をする、今回体重を約10キロ落としたプロフェッサーX役の名優パトリック・スチュワートの演技もとても滋味深かったです」
 ヒュー・ジャックマンが"ウルヴァリン"を演じたのはこれで9作目。17年間をかけて、同じ役柄を育て、共に生きてきた。
 「うらやましいですね。僕の場合、連ドラだったら3カ月から3カ月半、朝ドラや大河ドラマならば1年近く一つの役と過ごせますが、17年というのは想像できないレベル。人生の年輪を役として焼き付けてもらえるわけで、しかもこの傑出したファイナルですから、この『LOGAN/ローガン』でシリーズを締めくくれたヒュー・ジャックマンは、最高だったと思います」

取材・文=轟夕起夫
撮影=中川容邦

[放送情報]

『バイバイ、ブラックバード』
WOWOWプライム 毎週土曜よる10:00(全6話) ほか

『聖の青春』
WOWOWシネマ 3/9(金)午後4:30

『ラ・ラ・ランド』
WOWOWシネマ 字幕版 3/3(土)よる8:00 ほか
WOWOWプライム 吹替版 3/4(日)午後3:30 ほか

『LOGAN/ローガン』
WOWOWシネマ 字幕版 3/17(土)よる10:00 ほか
WOWOWプライム 吹替版 3/18(日)深夜0:00 ほか

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