2019/10/15 up

『ボヘミアン・ラプソディ』 クイーンを超えたクイーン伝説を語ろう 第1回:映画『ボヘミアン・ラプソディ』愛を語ろう

取材・文=八木賢太郎

 第91回アカデミー賞でラミ・マレックの主演男優賞を含む最多4部門を受賞。平成と令和をまたいで日本興収130億円超(配給調べ)のメガ・ヒットを記録した『ボヘミアン・ラプソディ』。伝説のバンド、クイーンの足跡を、天才的ボーカリストだったフレディ・マーキュリーの知られざるプライベートにも迫りながら展望した音楽エンターテインメント作品で、1985年7月13日、英国ウェンブリー・スタジアムにおける"ライヴ・エイド"での約20分のステージを再現したクライマックスはまさに圧巻だ。

 WOWOWでは、本作の放送を記念してクイーンを大特集。それに合わせて、クイーンと『ボヘミアン・ラプソディ』を愛する3人によるスペシャル・トークを企画した。集まったのは、元MEGADETH(メガデス)のギタリストでマルチ・アーティストとして活動中のマーティ・フリードマン、自身のネタでクイーンの楽曲を使用するほどのクイーン好き芸人レイザーラモンRG、そしてかつて音楽専門誌『MUSIC LIFE』『BURRN!』の編集にも携わり本作の字幕監修を務めた増田勇一。『ボヘミアン・ラプソディ』の魅力についてはもちろん、クイーンが音楽界に与えた影響など、それぞれプロの視点から"クイーンを超えたクイーン伝説"を語ってもらった。

detail_191015a_photo05.jpg『ボヘミアン・ラプソディ』10/19(土)よる8:00他
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

レイザーラモンRG(以下RG)「あの~、クイーンの話に入る前に...。僕は今、45歳なんですけど、元々はヘヴィメタルやハードロックが大好きなメタル・キッズでして。だから、メガデスもずっと聴いてたし、『BURRN!』もずっと読んでいて」

マーティ・フリードマン(以下フリードマン)「ハハッ!」

RG「だから、このお2人とクイーンの話をできるなんて、ホントにもう、夢のようなんですよ(笑)」

フリードマン「ありがとうございます」

増田勇一(以下増田)「お2人とも、『ボヘミアン・ラプソディ』はご覧になったんですよね?」

フリードマン「もちろん」

RG「僕は、たぶん日本でいちばん最初にこの映画のプロモーションをした男なんですよ。まだ本編の映像も届いてない段階で、『クイーンの新しい映画が公開されますよ!』って告知したんです、なぜか僕とみちょぱ(池田美優)で(笑)」

増田「へぇ~、そうだったんだ」

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RG「まさかここまでいい映画だと思ってなかったし、ここまで大ヒットするとは、まったく思ってなかったですけど(笑)」

フリードマン「ホント、どの角度から見ても感動の映画。クイーンがどんだけ素晴らしいバンドか再発見したし、この映画、ダサくないし、すごくちゃんとしてる。クイーンの伝説を汚さなかったですね」

増田「ムフフフ、確かに」

フリードマン「あと、僕、ギタリストだから、(本作の音楽総指揮を務めたクイーンのギタリスト)ブライアン・メイのギターのサウンドを、シアターのバツグンの音響で聴けたのは、世界一、気持ちよかった。特にどアタマの、あのギターの音ね」

増田「20世紀フォックスのファンファーレをブライアンが弾いてるやつね」

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フリードマン「そう! あれよりいいギターの音色、ほかにないです。ちょっと、嫉妬感じながら感動してましたね」

増田「あれ、真似したくなるでしょ?」

フリードマン「いや、真似したくないよ。あれよりいい音で弾けないから。やられた~って感じ(笑)」

RG「ブライアンのギターの音って、やっぱり特別なんですか?」

フリードマン「素晴らしいね。彼の演奏、コンセプト、タッチ、すべて。だから、何を弾いても彼が弾いてるって認識できるし」

増田「『あ、ブライアンのギターの音だ』って分かるよね」

フリードマン「だから結構、僕は影響受けてます」

RG「確かにこの映画、音もカッコいいし、ストーリーもいいし、もうボロボロ泣きながら本編を観たんですけど、実は僕がいちばん盛り上がったのは、エンド・クレジットの最後に『字幕監修・増田勇一』って出た瞬間ですよ!(笑)」

フリードマン「えっ? そんなの出たの?」

増田「はい、僕が字幕の監修をやったんですよ」

フリードマン「カッコいい~」

増田「こういう音楽映画の字幕って、よく的外れな日本語訳が出ることがあるじゃないですか」

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フリードマン「そうそう、よくある~」

RG「マーティさん、日本語の文字も読めちゃいますからね(笑)」

増田「ただ、今回の字幕をつくられた風間綾平さんはロック・ファンで、クイーンも大好きな方でしたから、間違いなんか別になかったんですけど、僕が最後の微調整をさせてもらって」

フリードマン「ってことは、字幕は最初から最後まで納得できた?」

増田「うん。ただ、文字数の制限っていうのが結構厳しくて。昔の映画の字幕は読み切れないぐらい長かったんだけど、今の字幕はシーンごとに何秒間で何文字までって制限があって。だから、例えば曲のタイトルとか入っちゃうと、それだけで使い切っちゃうんですよ」

RG「『ボヘミアン・ラプソディ』ってタイトルだけで、だいぶ長いですもんね(笑)」

増田「そう。だから、かなり意訳になってるところも多いんだけど、とにかくテンポを崩さないように、臨機応変にやってましたね」

RG「今回の映画で僕が驚いたのは、ブライアン・メイ役のグウィリム・リーさん。ものすごく似てましたよね」

増田「似てましたねぇ」

RG「ほかのメンバーもみんな似てましたけど」

フリードマン「だから、すぐ信じちゃったんですね。みんな似てるから、納得して、すぐ映画の世界に入り込んじゃった」

増田「違和感がなかったですよね。僕、ロジャー役のベン・ハーディさん以外の3人のキャストが来日した時にインタビューさせてもらったんですけど。そのとき僕が『こういう音楽モノ映画は、どんなに演奏シーンを頑張っても、僕らが見たら俳優さんにしか見えないことが多いんです』って言ったんです。そうしたら、3人ともみんな黙っちゃったんだけど、その後に『だけど、この映画はそんなことないですね』って言ったら、急に大喜びで『ありがとう! ありがとう!』って」

detail_191015a_photo06.jpg『ボヘミアン・ラプソディ』© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

RG「上手いな~、増田さん(笑)」

増田「でも、ホントに演奏シーンも違和感なかったですよ。マーティさんから見たら、違うよって部分があったかもしれないけど」

フリードマン「いや、そんなことない!」

増田「なかったですか?」

フリードマン「もう、完全に信じ込んだ。それは撮り方が上手かったから。ギターの教則ビデオじゃないから、映画だから、そんなにきれいに手元まで見せなくていいから。彼らは完全にバンドマンに見えたよ。だから、ホントに演奏してるかどうかなんて関係なくなっちゃう」

増田「いや、プロ中のプロのマーティさんにそこまで言ってもらえたなら、安心しましたよ(笑)」

フリードマン「ギタリストから見ても、全然分からなかった」

増田「あの4人が、本物のバンドに見えましたもんね」

RG「見えましたねぇ」

増田「もちろん、最初に出てきた時は、『フレディ、そんなに似てないな』とも思うワケですよ。ところが、観ているうちにだんだん違和感なくなって、最後には『こっちのほうが本物なんじゃないかな?』って思っちゃうぐらい(笑)」

detail_191015a_photo07.jpg『ボヘミアン・ラプソディ』
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RG「僕はこの映画を観て、フレディってこんなに歯が出てたんだって気付いちゃって。それまでフレディを出っ歯だと思ったことがなかったのに、この映画で本人が出っ歯を気にしてたことまで知って。おかげで、今や本物のほうの映像を観ても、歯が気になって仕方ないですね(笑)」

増田「でも、主演のラミ・マレックのフレディの成り切りぶりは、すごいですよね。文句のつけようがないというか」

フリードマン「ホント、すごかった。もともとフレディ・マーキュリーは、そんなにメディアに出てくる人じゃなかったんですよ。だから、映画の中でしゃべってるシーンとか観ても、『本人と違う!』って思わなかった。例えば、あれがエアロスミスのスティーヴン・タイラーだったら、彼はいつもメディアに出てるから、俳優が真似しても『っぽくない!』って思うよ(笑)」

detail_191015a_photo08.jpg『ボヘミアン・ラプソディ』
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RG「ただ心配なのは、ラミ・マレックさんが上手すぎたから、彼が今後、別の映画に出ても、俺らは『フレディ・マーキュリーだ!』って思っちゃう」

フリードマン「ですね~! ちょっと困るんじゃない?」

※第2回では、3人が稀代のボーカリスト、フレディ・マーキュリーの魅力を語り合い、"バンドあるある"で大盛り上がり!

「第2回:クイーンの天才ボーカリスト、フレディの魅力とバンドあるあるを語ろう」記事はこちら>

「第3回:クイーン・サウンドの魅力を語ろう!」記事はこちら>



「マーティ・フリードマン×増田勇一×レイザーラモンRG Special Talk」の過去記事はこちらから
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[放送情報]

ボヘミアン・ラプソディ
WOWOWシネマ 10/19(土)よる8:00
WOWOWプライム 10/20(日)午後1:00
WOWOWプライム 10/24(木)よる7:30
WOWOWシネマ 10/27(日)午前10:55
WOWOWシネマ 10/31(木)よる9:00
WOWOWシネマ 11/7(木)午後3:00
WOWOWシネマ 11/15(金)深夜0:45
WOWOWプライム 11/24(日)午後3:30
WOWOWライブ 11/30(土)午前9:40

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